1.ご支援前の課題
紙の日報運用による「どんぶり勘定」と現場の負担
これまでは紙の日報で作業実績を管理しており、作業者が終業時に記憶を頼りに記入していたため、時間の正確性に欠ける「どんぶり勘定」になりがちでした。また、記入の手間そのものが現場の負担となっていました。
データ化へのタイムラグと「真の原価」のブラックボックス化
紙の日報を事務スタッフが基幹システムに手入力していたため、データの反映にタイムラグが生じ、入力ミスも発生していました。
その結果、リアルタイムな進捗把握ができず、「どの案件・どの工程で、本当に利益が出ているのか(赤字なのか)」という正確な個別原価がブラックボックス化していました。
複雑な作業パターン(複数人・同時作業など)の管理
製造現場特有の「1つの製品を複数人で作業する」「1人が複数の製品を同時に加工する(按分)」「急な応援に入る」といった複雑な作業パターンを、紙の日報で正確に記録・計算することは極めて困難でした。
2.ご支援内容と結果
株式会社 DAISE様へは、「既存の生産管理システムと連携した現場用タブレット日報システムの構築と定着化支援」を行いまし
た。
現場に極限まで寄り添ったタブレットUIの開発
■支援内容
現場の作業者が「迷わず、ストレスなく」使えるよう、徹底的にUI(画面操作)にこだわった日報アプリを開発しました。
バーコード入力によるマスタ呼び出しや、テンキーによる直感的な操作を実現し、キーボード入力を極力排除しました。
■支援定性効果
「ITツールに不慣れな作業者でも簡単に使える」と現場に受け入れられ、紙からのスムーズな脱却に成功しました。
複雑な作業時間の「自動計算・按分機能」の実装
■支援内容
「+複数の指令書を同時に作業」「+応援作業」などの専用ボタンを実装。親となる行を選択するだけで、裏側で自動的に作業時間を割り算(按分)し、各工番・担当者ごとに正確な実作業時間を割り出す仕組みを構築しました。
■支援定性効果
これまで把握しきれなかった「本当の作業時間」が秒単位で正確に記録できるようになり、属人化していた作業の評価が客観的なデータとして蓄積されるようになりました。
生産管理システムへのリアルタイム連携と「完全自動化」
■支援内容
タブレットで「開始」「終了」「中断」のボタンを押した瞬間に、そのデータがリアルタイムで既存システムへ送信されるAPI連携を構築しました。
■支援定量効果
事務スタッフによる日報の手入力作業が完全にゼロになり、大幅な業務効率化とコスト削減を実現しました。
また、入力ミスも撲滅されました。
現場定着のための説明会・ダッシュボード構築
■支援内容
現場にタブレットを導入する際、現場の全社員に向けて取り扱い説明会を実施しました。
また、日々入力漏れがないか実績データから入力率を確認できるダッシュボードを構築してフィードバックを実施しました。
■支援定量効果
高齢社員や外国人留学生にも少しずつ定着し、定着率100%の社員も。
3.船井総合研究所を選んだ理由
一番の理由は、船井総研さんが「製造現場の実情をよく把握している」という点でした。
実は当社には、過去にデジタル日報を導入しようとして現場に馴染まず、挫折してしまったという前例がありました。一般的なITベ
ンダーさんは、どうしても製造業務そのものを知らない方がシステムを作ることになるため、完成したものが現場の実情からかけ離れたものになりがちです。
それに対して船井総研さんの場合は、コンサルタントの方が日頃から数多くの製造現場を直接見ておられるので、業界のリアルな
空気感や実際の現場の動きをしっかり把握されていました。「船井総研なら、以前の失敗事例を踏まえた上で、現場が本当に使
えるシステムを一緒に作っていけるのではないか」と感じ、ご支援をお願いすることに決めました。
4.船井総研に頼んで良かったこと
一般的なパッケージにはない、現場の要望に合わせた柔軟な小回り対応
一般的なパッケージシステムやベンダーさんだと、こちらが要望を出しても「技術的にできない」「コストがかかりすぎる」と言われたり、「システム側に業務を合わせて我慢して使ってください」と突き返されたりするのが当たり前です。
しかし船井総研さんの場合は、非常に小回りを利かせて対応してくれました。もし技術的に難しい部分があっても、ただ断るのでは
なく「それならこういう代替案はどうですか?」と、当社の業務でどうしても外せない重要なポイントをしっかり押さえた提案を常に返してくれました。
正直、開発の途中段階では「本当に現場で使い物になるシステムが完成するのだろうか」と不安になる瞬間もありましたが、蓋を開
けてみれば、細かな不便さや操作性のズレをすべて当社の現場にアジャストした、まさに“現場に即した”理想のツールを作っていた
だけました。
「自分ごと」として取り組んでくれた現場社員の教育基盤
また、船井総研さんから「他社に比べて現場への定着が驚くほど早い」と言っていただけたのですが、これには当社が長年積み重ねて
きた『社員教育』のベースが活きたと思っています。
当社では、上から新しいツールをポンと押し付けられても現場が困惑するだけだと分かっていたので、毎年、現場主導で「改善提案を行うための勉強会・研修」を何年も継続して続けてきました。
日頃から「どうすればもっと現場が良くなるか」を自分ごととして考える社内カルチャーがあったからこそ、今回新しいタブレットが現場に入ってきた際も、作業者自らが「ここはもっとこう改善したらどうか」と意欲的に意見を出し合い、スムーズな早期定着へと繋がりました。
当社の目指す方向性に二人三脚で寄り添い、目的意識を同じくして最短距離で現場定着まで導いてくれた船井総研さんには、本当に感謝しています。
5.今後の展開・展望
現場のデジタル化(データの正確な収集・蓄積)という第1フェーズを達成した今、次なる目標は「蓄積されたデータを利益に変え
る」ことです。
今後は、生産管理システムにリアルタイムで溜まり続ける正確な時間データとマスタを連携させ、経営陣や工場長がパッと見て状況
がわかる「リアルタイム予実・利益ダッシュボード」を構築します。
これにより、「想定工数と実績の差異」や「利益のボトルネックとなっている工程」を瞬時に特定し、将来的にはデータに基づいた精
度の高い「生産計画」の自動立案を目指して、さらなるDX推進に取り組んでまいります。
6.担当コンサルタント(支援者)コメント
DAISE様は前述にもあったように驚くほど現場への定着が早く、タブレットの修正点やフィードバックも現場から大量に上がってきました。
これはDAISE様が常日頃から意識されている社員教育の賜物であると感じました。
社員の皆様のご協力もあり、半年間という短い期間の中で「タブレットの構築」「現場への展開・定着」「既存システムとのデータ連
携」まで完遂することができました。
DXの取り組みは最終的に動くのは現場の方々になるので、現場が納得していない取り組みはほとんど成功しません。
その点、DAISE様は現場の皆様が同じ方向を向いて走ってくださったからこそ、ここまで大きなインパクトにつながったと思います。
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