「グループ経営人材育成」が必要となる背景
- 近年は人口減少に伴う市場の縮小など、市場の変化が激しく、単一事業での持続的成長が難しくなっています。そのような背景から、複数事業でリスクを分散し、経営資源を最適配分することで環境変化へ迅速に対応し、グループ全体の企業価値を最大化する必要性が高まっています。
- 複数の事業を経営するためには複数の経営人材が必要となっている一方で、適切な「グループ経営人材」の育成が追いついていな企業が多く見られます。
グループ経営とは
- 親会社が複数の子会社・関連会社を一つの組織体として捉え、グループ全体の視点から経営戦略を立案し、ヒト・モノ・カネといった経営資源を最適に配分すること。また、事業間の相乗効果を創出し、グループ全体の企業価値を最大化していくこと
- グループ経営
- 親会社は子会社、ひとつひとつで経営判断を行うのではなく、グループ全体としての最適解を追求する必要があります。

- グループ経営人材育成のポイント
- グループ全体の視点でシナジーを創出する次世代リーダーの育成で、計画的な異動や研修を通じ、経営スキルとネットワークを育むことが重要です。
✓ 視座の向上⇒個別最適から全体最適へ。グループの理念やビジョンを深く理解する
✓ 戦略的な人事異動⇒事業や部門を越えた異動を計画的に行い、多角的な視点と経験を積む
✓ 経営スキルの習得⇒財務や法務等の経営知識に加え、実践的な研修を実施
✓ キャリアステップの創造⇒経営人材以外のキャリアステップも用意し、活躍し続ける環境を整備する
よくあるご相談内容
- グループ経営人材育成コンサルティングはこのような方におすすめです。
No.
対象
主な状況
1
事業承継の前のオーナー企業
- 代表の引退を控え、後継者へのバトンタッチを目前にしている
- 次期経営者の経験・スキル不足で、グループ全体の経営が不安である
- 番頭格はいても、次世代の経営幹部が育っていない
- 後継者がリーダーシップを発揮できず、古参社員との間に溝がある
2
多角化により事業領域を
拡大する企業
- 複数の事業分野に進出しているが、グループ全体での統制が課題となっている
- 各事業会社を指導・監督できる本社人材が不足している
- 事業間の壁が厚く、グループとしてのシナジーが生まれない
- 多角化した事業全体を束ね、成長戦略を描ける人材がいない
3
事業ポートフォリオの変革を
迫られている企業
- 主力事業が成熟期を迎え、新規事業の創出が急務となっている
- 新規事業をゼロから立ち上げ、牽引できるリーダーがいない
- 事業の選択と集中など、非連続な経営判断ができる人材が不足している
4
ホールディングス経営の
高度化を目指す企業
- ホールディングス体制へ移行したが、本社機能が形骸化している
- 本社と事業会社の役割分担が曖昧で、経営が非効率
- グループ横断での人材の最適配置や計画的な育成ができていない
- 次世代のグループ経営を担う人材プールが形成されていない
5
次世代の経営幹部候補が
不足している企業
- 現在の経営陣は盤石だが、5年後、10年後を担う人材が見当たらない
- 経営者視点を持つ人材が育たず、部門最適から抜け出せない
- 管理職はいても、経営を任せられる幹部候補がいない
- 経営人材の要件定義や計画的な育成(サクセッションプラン)がない
グループ経営人材育成の主な論点
- グループ経営人材の育成には多面的な側面がありますが、頻出する主な論点を整理しました。
- 後継者育成計画(=サクセッション・プラン)の作成には企業の今の状況だけでなく、今後のグループの方針まで含めた計画の作成が必要になります。
サクセッション・プランとは
- サクセッション・プラン(後継者育成計画)とは、企業の将来を担う経営者や幹部など、重要ポジションの後継者を計画的に育成するための仕組みです。あらかじめ後継者候補を選定し、必要な知識や経験を積ませることで、突然の欠員が生じた際のリスクを最小限に抑えます。これにより、事業の継続性を確保し、組織の持続的な成長を目指すものです。
「グループ経営人材」育成の際に
検討すべき主な項目
✓ 前提条件の整理
- グループ本部の方針や組織体制、必要人数などの前提条件の整理
✓ 人材要件の定義検討
- 「グループ経営人材像」を定義づけ、どのポジションにどのような能力を持った社員が必要かを明確にする
✓ 育成プランの作成
- 「グループ経営人材像」を踏まえ、どのように「人材像」に合った社員を育成するのか計画を作成する
✓ 候補者の選定と選抜
- 育成プランに合わせて、「グループ経営人材」候補者を選定・選抜する
✓ 育成プログラムの検討
- 「グループ経営人材」に対して適切な研修プログラムを検討する
✓ キャリアステップの検討
- 「グループ経営人材」となるキャリアステップの検討と同時に、そうでないキャリアステップも設計する
✓ 育成プログラムの運用体制検討
- 上記の体制を常にブラッシュアップし続けられる体制を検討する
グループ経営人材の前提整理
- グループ経営人材の育成に当たっては、自グループがどのような目標(売上等)に向かっていくのかをイメージする必要があります。また、それに合わせてどのような部署が必要となり、そこに何人必要となるのかという前提条件を整理します。

- 「グループ経営人材」は、所謂「管理職」と異なる役割を求められます。
- したがって「管理職」をそのまま続ければ、いつか「グループ経営人材」になれるわけではなく、計画的な育成プランを作成し、継続的に育成し続ける仕組みづくりが重要です。
「管理職」と「グループ経営人材」の主な違い
項目 | 管理職 | グループ 経営人材 |
---|---|---|
役割 ミッション | 担当部門の業績目標達成 業務の効率的な遂行 | グループ全体の 企業価値最大化 将来の経営者育成 |
視座 視野 | 部門最適 中短期的視点 | 全社最適 長期的視点 |
責任範囲 | 管轄組織と部下 | 全ての ステークホルダー (株主、顧客、従業員など) |
求められる スキル | 管理能力 問題解決能力 業務遂行力 | 構想力 変革推進力 リーダーシップ |
育成パス | OJT 階層別研修 | 計画的な 後継者育成 (サクセッションプラン) |
グループ経営人材の要件定義
- グループ経営人材に求められるスキルや能力をひとつずつ細分化していく必要があります。
- 自社においてグループ経営人材には身に着けてもらいたい要素を抽出し、自社に必要な「グループ経営人材像」を社内で共通認識を持てるような状況にします。

グループ経営人材候補者の選定
- グループ経営人材候補となり得る社員のノミネーション(=指名)を行います。
- このハイポテンシャル人材について、どのような要件があれば候補になるのかそのノミネート方法や基準を明確にし、社内へ周知する必要があります。

方法 | 基準 | 判断材料 |
---|---|---|
1.実績評価 | - 直近1年の評価が上期および下期ともに〇点以上である | 人事評価の結果 |
2.役職者推薦 | - 課長以上クラス - 全社に貢献するような取り組みなどの影響力 | 人事評価の結果 |
3.360度評価 | - 360度評価において、〇点以上である | 360度評価の結果 |
4.適性検査 | - 適性検査により、要件を満たすことができるか定量的に判断する | ツールの結果 |
グループ経営人材候補者の選抜
- ハイポテンシャル人材は、アセスメント(=評価・査定)を通じてグループ経営人材としての適性を判断されます。
- アセスメントによる選抜の過程では、その方法や基準も策定する必要があります。

方法 | 基準 | 判断材料 |
---|---|---|
1.実績評価 | - 直近2年の評価が上期および下期ともに〇点以上である | 人事評価の結果 |
2.360度評価 | - 360度評価において、〇点以上である | 360度評価の結果 |
3.適性検査 | - 適性検査により、要件を満たすことができるか定量的に判断する | ツールの結果 |
4.研修・実践評価 | - 研修・OJT内容により、評価基準を定める | 研修等の結果 |
5.課題評価 | - プロジェクトにおいて求められる成果をあげることができたか | 課題の成果報告 |
6.ビジョンプレゼン | - 明確性、魅力性、実現可能性、独自性、社会性などの観点で評価する | プレゼンテーション |
グループ経営人材育成の全体像
- グループ経営人材に求める要件を満たせるよう、育成プログラムを策定します。選抜を経て研修などのOFFJTと、実務を踏まえたOJTを経験し経営幹部へと成長していきます。
- 各役職に合わせたプログラムと同時に、支援プログラムを用意し複数の育成体制を構築します。

グループ経営人材候補者育成研修
- 自社内においてグループ経営人材の要件定義を踏まえ、その要件を満たすために必要な研修を設定します。研修は座学に限らず、グループワークやOJTも想定されます。
グループ経営人材候補者育成のための研修テーマ例

キャリアステップイメージの検討
- 戦略的なサクセッションプランを作成する際は複数のキャリアステップを想定するか、一定のキャリアステップに絞り込むのかの判断が必要です。また、経営人材には向かなくても事業会社にて活躍し続けられる人材のキャリアステップも検討する必要があります。

育成プログラムの運用体制
- グループ経営人材候補に対する育成プログラムの実施にあたってはその成果を最大限とするべく事務局や現経営陣がサポートを行う必要があります。
- 継続的にグループ経営人材育成を行うためには、この運用体制の見直しをし続ける体制づくりがポイントです。

サポート内容 | 担当 | 概要 |
---|---|---|
目標設定 支援 | 経営陣 | - 育成プログラム開始前およびアセスメント後に、個々の候補者が自身の課題に応じた具体的な行動目標を設定するためその設定について、サポートを行う |
企画・運営 | 事務局 | - プロセスに沿った育成の実行および次年度以降のプログラム検討に活かすべくプログラムの満足度、内容の理解度、実務への活用状況等を集約する |
進捗管理 | 事務局 | - 目標に対する進捗報告や、研修実施後のアンケート等を通じて、各候補者の状況を把握し、経営陣へ報告を行う |
候補者 サポート | 事務局 | - 育成期間中の相談窓口となり候補者からの問い合わせや意見など各種相談の一次対応をおこなう。必要に応じて、経営陣にエスカレーションし、対応する |
グループ経営人材育成コンサルティングの主な流れ
- コンサルティングの一例です。企業の状況に応じたカスタマイズを行います。
- 1.現状分析と育成方針の策定
- 育成の前提整理求める人物像の設定経営幹部人材要件定義
目的
- - 育成プログラムの土台となる、あるべき経営人材像と育成の全体方針を明確にする
主な検討内容
- - グループとしての経営方針や今後の成長戦略の整理する
- - 将来の事業に必要な能力・スキルを明確にし、グループとしての「求める人物像」を明確にする
- 2.育成プログラムの全体設計
- 育成プログラム
成長イメージの策定育成スケジュールの策定育成プロセスの設計キャリアステップの構想目的
- - 定義した人材要件を満たすため、長期的かつ体系的な育成の枠組みを構築する
主な検討内容
- - OJTとOFF-JTの効果的な組み合わせをどう設計するか
- - 育成スケジュールはどの程度の期間を想定するか
- - 経営人材育成のキャリアステップと、そうでない場合のキャリアステップをどうするか
- 3.育成・選抜方法の具体化
- 候補者選定方法の策定研修メニューの開発アセスメント方法の策定
目的
- - 具体的な候補者の選抜基準、研修コンテンツ、評価手法を開発・策定する
主な検討内容
- - 選抜・評価に用いるアセスメント基準をどのように設定するか
- - 具体的な研修の内容および実施方法をどうするか
- - 複数の評価結果を、最終的な登用判断へどう反映させるか
- 4.運用体制構築と導入支援
- 運用体制の構築候補者サポート体制の整備導入に向けた
アクションプランの策定目的
- - 策定した育成プログラムを組織内で円滑に導入し、継続的に運用・改善していくための体制を確立する
主な検討内容
- - 事務局の担当部署と権限をどう設定するか
- - プログラムの成果をどう測定し、次期改善に繋げるか
- - 関係者へプログラムの目的をどう説明し、協力を得るか
アウトプットイメージ
- アウトプットイメージは下記の通りです。
グループ企業体制図
グループ経営組織
人員の拡充スケジュール
成長ステージ毎のグループ経営組織
船井総研の特徴
- 経験豊富なグループ経営に関するコンサルタントと船井総研の業種専門のコンサルタントがチームを構成しサポートいたします。
豊富な経験・実績
中堅企業の戦略(グループビジョン・グループ戦略策定)、組織(グループ組織構造改革、グループ本部機能整備)、人事(経営幹部人材キャリアパス・育成プログラム設計)の、企画・立案から現場への落とし込みまでを、20年超の対応実績を有するコンサルタントを中心としたコンサルティング体制でご支援します
高い専門性
中堅企業・大企業の多種多様な企業様とお取引いただいております。豊富な経験・実績に裏打ちされた、グループ経営コンサルティングの品質を備えており、グループ経営に関わる様々なニーズに即したソリューションを提供できます
一気通貫のサポート
グループ経営を俯瞰し全体を統括するコンサルタントを中心に、テーマ・ソリューションごとの専門コンサルタントが一体となり、グループ経営の全工程で専門性×一貫性を担保した対応ができます
経営層・現場レベルとの合意形成を重視した推進プロセス
戦略立案から現場への落とし込みまでの実績・経験を有しており、トップダウン、ボトムアップ両面からのアプローチへの対応が可能です。落としどころを見据えた合意形成を図ることで納得感のあるプロジェクト推進を行います
徹底した伴走支援
数多くの中堅企業・大手企業のご支援の経験から、場合によっては一部の業務を代行することも可能です。目標の達成に向けて当社で可能なあらゆるサポートを行います
“ワンストップ型” グループ経営コンサルティングサービスを実現
机上の空論ではない、
成果創出にこだわったコンサルティングが実現可能な体制を構築
資料ダウンロード
- 本ページの内容は以下からダウンロードできます。
- 【資料目次】
① 「グループ経営人材育成」が必要となる背景
② よくあるご相談内容
③ グループ経営人材育成の主な論点
④ グループ経営人材の前提整理と要件定義
⑤ グループ経営人材候補者の選定・選抜
⑥ グループ経営人材育成の全体像
⑦ グループ経営人材候補者育成研修
⑧ キャリアステップイメージの検討
⑨ 育成プログラムの運用体制
⑩ グループ経営人材育成コンサルティングの主な流れ
⑪ アウトプットイメージ
⑫ 船井総研の特長
⑬ ご相談の流れ