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企業紹介
株式会社関東製作所様は、1948年設立のものづくり企業として、長年にわたり金型製作を核に事業を広げてこられました。現在はプラスチック成形、射出・ブロー金型の製作、金型メンテナンス、自動加工機・自動組付け機・自動検査機の製作、さらには開発支援までを手がけ、設計段階から量産立ち上げまでを一貫して担える体制を築いています。グループ全体では年間230型の金型製造、20シリーズの製品立ち上げ実績を有し、国内に加えてインドネシアでも事業を展開するなど、着実に事業領域を拡張されています。
当初の出発点はガラス瓶用金型でした。その後、時代の流れとともにプラスチック分野へ進出し、特にブロー成形用金型では自動車向け空調ダクトなどの分野で実績を重ねてこられたといいます。
さらに現在は顧客の要望を形にするまでを横断的に担い、「こんな商品を作りたい」という声に対して、構想段階から応えられる企業へと進化されています。
同社の強みは単一の加工技術にとどまらず、製品づくり全体を俯瞰しながら最適な方法を提案できることにあります。金型メーカーとして培ってきた技術を土台に、自動化設備や省人化提案まで拡大し、顧客にとっての「部品の供給者」にとどまらない存在になっています。
こうした総合力があるからこそ、同社では近年、従来の受託型のものづくりだけでなく、新たな顧客との接点づくりや、次の成長を見据えた営業基盤の構築にも本格的に取り組まれていました。
当時の課題と船井総研の選定理由
教育課題を起点とした成長基盤の再構築
船井総研との取り組みが始まった契機は、教育制度の見直しでした。
社員数が100名を超える規模となる中で、渡邉社長は人材育成の高度化が必要であると認識されていましたが、社内から挙がってくる施策案は資格取得を中心とした内容が多く、経営として求めていた「企業の成長に直結する教育」とは方向性に差があったといいます。
渡邉社長が求めていたのは資格取得支援にとどまらず、企業として目指す方向性や、ものづくり企業として今後どのように成長していくべきかまでを含めた教育設計でした。
つまり単発の研修実施ではなく、経営方針と連動した人材育成の仕組みづくりが課題となっていたのです。
こうした背景から複数のコンサルティング会社に相談する中で、渡邉社長が船井総研を評価したのは、一般的な階層別教育の提案にとどまらず、製造業という業種特性を踏まえた提案を行った点でした。
多くの会社が「新入社員向け」「管理職向け」といった教育メニューを提示する中で、船井総研は「製造業としてどのような組織を目指すべきか」という視点から提案を行っており、そこに大きな違いを感じられたといいます。
渡邉社長も、「業界に対する理解が深く、当社の実態に即した議論ができる点が大きかった」と振り返られており、現場理解に基づく提案力への信頼が選定の決め手となりました。
さらに、当時の本質的な課題は教育制度の未整備だけではありませんでした。
既存取引を着実に積み上げてきた一方で、中長期的な成長を見据えると、より広い市場との接点づくりや、自動車業界への依存度を相対的に下げる視点も必要になっていました。
教育課題への対応は、単なる人材育成施策ではなく、将来の事業拡張や営業基盤再構築に向けた第一歩でもありました。
支援の内容
理念・行動指針の言語化と浸透支援
初期フェーズで取り組まれたのは、経営理念および行動指針の策定でした。
毎月1回、幹部メンバーによる議論の場を設けながら、「会社として何を目指すのか」「どのような価値観で行動すべきか」を明文化していくプロセスが進められました。
議論は数か月にわたって重ねられ、表現や内容を磨き込みながら、最終的には各拠点のメンバーを一堂に集めて発表する機会も設けられました。これは単なる理念文の整備ではなく、事業拠点の拡大や事業領域の多様化が進む中で、組織としての判断軸をそろえるための重要な施策でした。
この取り組みの意義は、経営理念を策定したこと自体にあるのではなく、企業としての方向性を明確にし、それを社員が共有できる状態をつくったことにあります。渡邉社長も、「教育支援から始まった取り組みではあったが、その前提として会社の目指す方向を明確にすることが不可欠だった」と受け止めておられます。
その結果、教育は単なる知識やスキルの付与ではなく、会社としての考え方や行動基準を浸透させる仕組みとして再定義され、理念・行動指針の整理によって、以降の人材育成や組織づくりに一貫性を持たせる土台が整ったといえます。
また、この初期支援は後の展開にもつながっており、次に取り組むべき成長テーマや、外部市場との接点拡大に向けた議論へとスムーズに移行することができました。
教育のみにとどまらず、事業成長まで見据えた伴走へと発展していった点が、本プロジェクトの大きな特徴です。
デジタルマーケティングへの移行
顧客接点を再設計する営業基盤強化
理念浸透に関する取り組みが一定の区切りを迎えた後、船井総研から新たに提案されたのが、デジタルマーケティングの導入でした。
自動車関連を主軸とするBtoB製造業では、既存顧客との継続取引が事業の中心となる一方で、新規顧客開拓は構造的に難易度が高い傾向にあります。同社においても、当時は「新規顧客開拓は、数年に一社出ればよいという状況でした」と振り返られており、従来の営業手法だけでは中長期的な成長に限界があるという認識がありました。
こうした状況を踏まえ展示会出展、Webサイト刷新、メールマガジン配信、マーケティングオートメーションの活用を組み合わせながら、顧客接点全体を再設計する取り組みが始まりました。
単発の施策を積み上げるのではなく、見込み顧客との接点創出から情報取得、育成、商談化までを一連の流れとして捉え直し、営業活動全体を仕組みとして再構築していったのです。
なかでも象徴的だったのが、展示会の位置づけを見直したことです。
展示会を単なる商談や受注の場と捉えるのではなく、見込み顧客情報を獲得し、その後のデジタル施策へ接続する起点として再定義しました。渡邉社長も、「展示会はその場で商品を売ることが目的ではなく、デジタルマーケティングを確立するための一つの手段でした」と語られています。さらに、「展示会で最も重視していたのは、ハウスリスト、つまり顧客情報を集めることでした」とも話されており、展示会を起点に継続的な関係構築へつなげる設計思想が明確にありました。
実際には、展示会で獲得した名刺情報をハウスリストとして蓄積し、メールマガジン配信やWebサイトへの誘導につなげることで、継続的な接点形成を図っていきました。
さらにWeb上の行動分析を通じて、顧客がどの情報に関心を持ち、どのページを閲覧しているのかを把握し、その内容を次の提案やフォロー施策へ反映する流れも整備されたことで、営業活動は個々の担当者の経験や勘に依存するものから、データに基づいて設計・改善できるものへと変化していきました。
その結果、同社のWebサイトは会社案内を掲載する媒体ではなく、見込み顧客が課題解決のためにアクセスし、相談へとつながる営業資産へと進化しました。
SEOも大きく改善し、射出成形関連のキーワードで上位表示されるようになったほか、コーポレートサイトに加えてソリューションサイトやオウンドメディアも活用することで、幅広い検索ニーズへの対応が可能となっています。
渡邉社長は、「今では、お客さまのほうから『こういう課題をどう解決したらいいか』という問い合わせをいただけるようになりました」と話されており、顧客側から具体的な相談が寄せられる状態へと変化してきたことがうかがえます。
加えて、問い合わせの裾野も大きく広がり、従来の主力であった自動車業界に加え、建材、半導体、原子力関連など、これまで想定していなかった領域からも引き合いが生まれているといいます。
渡邉社長も、「以前は自動車業界が7〜8割を占めていましたが、今では幅広い業界からお問い合わせをいただけるようになっています」と語られており、デジタル施策が単なる情報発信にとどまらず、新たな市場との接点創出に機能していることを示す成果となっています。
Zohoの導入と成果
情報統合による営業・経営基盤の高度化
デジタルマーケティングを推進する中で、次の課題として顕在化したのが顧客情報管理の複雑化でした。マーケティングオートメーション、SFA、CRM、名刺管理、基幹システムなど、複数のツールを個別に運用していたことで情報が分散していたのです。
加えて、社名表記の差異といった細かな不整合によってデータ連携が不完全となり、営業現場の運用負荷も高まっており、渡邉社長も、「DXを進める中でソフトが増え、しかもそれぞれが分断されていたため、現場では二重、三重の入力が発生していました」と振り返られています。
こうした状況を受け、同社では情報基盤の統合が必要であると判断し、Zohoの導入に踏み切られました。
本プロジェクトによる最大の成果は、顧客情報や営業活動の進捗を一つの流れとして把握できるようになったことです。
受注速報や問い合わせ状況、新規案件の進行状況が日常的に可視化されるようになり、従来は月1回の営業会議で初めて把握していた情報を、日々の業務の中で確認できる環境が整いました。
その結果、従来は状況共有や報告が中心だった会議が、現在では「次に何を打つべきか」「どこに追加アプローチを行うべきか」といった具体的なアクションを検討する場へと移行しています。
渡邉社長は、「会議は情報を集める場ではなく、次の打ち手を議論する場に変わりました」と語られており、情報収集そのものではなく、判断と実行に時間を振り向けられるようになったことが、組織運営上の大きな前進となっています。
また、その効果として、年間の取引社数は着実に増加しており、従来の自動車業界中心の顧客構成から、より多様な業種へ接点が広がりつつあります。
もちろん導入・開発の過程では要件整理に時間を要し、既存システムとの整合に苦労した時期もありましたが、最終的には自社が目指す運用形態に近い形で仕組みを構築することができました。
現在では、営業活動の効率化に加え、経営判断の迅速化と精度向上にも寄与する存在として、同社の成長を支える重要な情報基盤となっています。
今後の展望
自動車依存を超える成長戦略へ
今後の展望として渡邉社長が意識されているのは、自動車業界への依存度を相対的に引き下げながら、より持続的で安定した事業基盤を構築していくことです。
電気自動車をはじめとする市場環境の変化や開発計画の見直しなど、業界全体の先行きが不透明さを増す中、従来型の受注構造のみに依拠した成長には限界があるという認識を持たれています。
そうした状況を踏まえ、同社では月間5万セッション規模のWeb流入や、蓄積されたハウスリスト、継続的に配信しているメールマガジンといったデジタル上の接点を、今後の成長を支える重要な経営資産としてさらに強化していく方針です。
その中で渡邉社長は、「金型そのものだけで差別化するのは難しくても、顧客とのつながり方にはまだ大きな可能性がある」と語られています。
ものづくりの技術力を土台としながらも、今後はプラスチック関連顧客の潜在ニーズをより深く把握し、必要に応じて他社との連携も視野に入れながら、提案できる商材や価値領域を拡張していくお考えです。単一の製品供給にとどまらず、顧客の課題解決に資する提案の幅を広げていくことで、業種の裾野を広げ、事業ポートフォリオの多様化を図っていく方向性が明確になっています。
さらに今後は、AIをはじめとする新たなテクノロジーの活用も視野に入れられています。
議事録作成や商談内容の要約、次の打ち手の示唆、Web来訪者とのコミュニケーション支援など、営業生産性の向上と顧客体験の高度化につながるテーマについても、積極的に取り組んでいく構想です。これまで築いてこられた金型・成形・設備・開発支援を横断するものづくりの総合力に、デジタルマーケティングと情報活用の力が重なることで、同社の成長戦略はさらに広がりを見せようとしています。
今回の取り組みは、足元の営業基盤強化にとどまらず、次の時代の製造業として進化していくための中長期的な土台づくりとして、大きな意味を持つものとなっています。
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