クロワッサン専門店の繁盛店の差別化ポイントは・・・?
そもそも繁盛店をどう定義付けるのかですが、我々船井総合研究所では差別化の8要素を使って、それぞれ順にお話をお伝えさせていただいています。8要素は上から立地、規模、ブランド力、商品力、販促力、接客力、価格力、固定客力と続いていきます。右側にそれぞれの考え方を書いているのですが、上の立地、規模、ブランド力の三つが戦略的差別化要素と我々呼んでおりまして、これはどういう意味かと言いますと、出店後は変えることができないということです。一度お店を出してしまうと、お店の場所を変えることは難しいですし、店舗の規模を変えることは難しいので、特にこの三つに関しましては我々重要視して見ているポイントです。
では、その下の五つの部分の④~⑧に関しましても重要なのですが、このような順番で書かせていただいている通り、上から順に重要になってきます。特に商品力についてはクロワッサン専門店では日常的に食べるクロワッサンを取り扱うので、その味ももちろん大事ですが、それ以上にここで買い物をすることによってお客様に満足していただけるかという商品のポイントなども非常に重要になってきます。
この講座は約1時間という限られた時間でして、それぞれをお話ししてしまうと非常に時間が掛かってしまいますので、先程言いました出店後に変えることが難しい①立地、②規模そして③ブランド力、変えられるものの中でも特に重要な④商品力、商品に付随する⑦の価格についてもお話させていただければと思います。あと、8要素には書いていませんが、クロワッサン専門店の実際の収益についても講座で詳しくお話をさせていただければと考えています。
Q.どこに出店すればよいの?
最初に、ではどこに出店すればいいのというところでして、どこに出店するかを選ぶにあたり、場所という面もそうですし、あとはどのような物件に入ればいいのかというところです。この辺りをまずはお話をさせていただければと思います。
おススメの立地パターン
成立の立地と言いますか、クロワッサン専門店を出店いただく場所でおすすめのパターンがいくつかありまして、大きく分けて郊外ロードサイド型と都心の繁華街型の二つがあります。こう見るとロードサイドでも都心でもいけると思われるかと思います。我々もクロワッサン専門店を研究する前は、どちらかと言うと、人手の多い場所でしか難しいと考えておりましたが、郊外のロードサイドでも多くの成功事例があるので、大きく考えてこの二つで出店立地選定いただければと考えております。
ただ、こちらは立地によって展開方法が異なってくるのが、クロワッサン専門店の立地ごとの業態の違いでもあり面白い部分でもあります。
まず、郊外のロードサイド型で言いますと、基本的には目的集客を集めていく立地となっています。ですので、そこに出した時に果たして十分なマーケットがあるのかという判断に対しましては、そこの商圏人口を使うことになります。また、ロードサイドで幅広くお客様を集めるので、物件の坪数も多くなるのですがその分商品の品ぞろえもしていただく必要があります。
続いて、都心の繁華街型ですが、こちらに関しましては商圏人口ではなく、お店の前の通行量や乗降客数が重要になります。またこちらで言いますと、特に集客をどうするかと書いていますが、まずは衝動来店で集客をしていくという違いがあります。このあたりを次のところから詳しくお話をさせていただければと思います。
ロードサイド型の前提となるマーケットの有無
まずはロードサイド型で出店いただく際の前提を言いますと、そこに出店した時にそのお店の周辺にクロワッサン専門店として成り立つだけのマーケットがあるのかが非常に重要となってきます。我々がこういった店舗出店のお手伝いをさせていただいている際に、こちらの方程式を使っておりまして、売上=マーケットサイズ×商圏人口×シェア率が売上の方程式になります。これはどういうものかと言いますとまずはマーケットサイズです。こちらは一人当たりのクロワッサン専門店で消費する金額の平均でして847円という数字が出ています。そこに、商圏人口を組み合わせますと、その地域のクロワッサン専門店の商圏のマーケットサイズが分かります。そこからどれだけシェア率を取っていけるのかが我々が店舗の売上を推測する際に使っている要素になっています。
簡単に言いますと、商圏人口が仮に1万人いると言いますと、そこでのクロワッサン専門店のマーケットは847万円となると考えていただければと思います。
ロードサイド型の立地選定について
先程申し上げました商圏の規模でどれだけシェア率を取っていけるのかをランチェスターの法則に基づいて考えています。それぞれのシェア率に名前があるのですが、地域でしっかりと認知されているお店では約7%~11%のシェア率を取っていると言えます。特に、地域一番店のシェア率は約31%~26%取っていると言えます。地域にクロワッサン専門店がない地域ではトップのシェア率である31%を獲得できるシェア率として計算に用いています。
これを商圏人口と照らし合わせて考えていきますと、トップシェア率の31%を獲得できると仮定した場合、商圏人口が11万人いれば単店で年商3,000万円目指していけますし、商圏人口が19万人の場合単店で年商5,000万円を目指せます。ロードサイド型は、地方や店舗の場所によっても少し変わってきますが、商圏は自動車で10分~15分を想定いただければと思います。皆様がイメージいただきやすいように言い変えますと約半径5キロから10キロ圏内が商圏にあたるとお考えいただければと思います。
都心・繁華街型の立地選定について
続きまして、都心型の立地選定についてですが、都心方に関しましては、店頭の通行客数と、店舗の近くの駅の乗降客数が目安となってきます。店頭の通行者数を我々は携帯電話会社の位置情報データによって算出をしていまして、乗降客数に関しましては、各鉄道会社が情報を公開していますので、目安としても皆様お調べいただきやすいと思いますが約10万人です。10万人をイメージしにくい方もいらっしゃると思いますが、都心の繁華街や首都圏のベッドタウンの代表駅や政令指定都市の中心駅はクリアできますが、駅としての場所は限られていますので、皆様の出店される場所がよほど都心でない限りは、ロードサイド型の商圏をご確認いただければと思います。改めて、都心繁華街型で出店する場合は、この辺の部分もしっかりお調べいただく必要があります。
立地選定について
商圏人口や通行者数以外にも注目すべき立地特性があります。
まずは世帯年収でして、クロワッサン専門店はいわゆる通常のパン屋さんのクロワッサンやスーパーやコンビニで売られているクロワッサンよりは高価に売っていくものになります。専門店としての付加価値もありますので、価格は高く販売いただきたいですが販売していくためには世帯年収が高い地域に出店する必要があります。
続いて、日常利用シーンです。こちらは先程の店頭の通行量などにも近い部分がありますが、例えば日常でもよく使う場所の駅などももちろんそうですし、スーパーやコンビニのように日常的に買い物をする場所の近くに出店していただくと売上が高くなる傾向があります。あとは先程言いました店舗前の通行量もそうですし、競合性の面では近くにクロワッサン専門店があるかないかもそうですが、それ以外に近くにパン屋さんがあるかもお考えいただく際のポイントになってきます。
立地選定に関しましては、先程言いました店頭通行量のような人流データやあとはそこの商圏人口のような人口データ、この二つの側面からデータを活用して立地選定をしていく必要があります。人流データの面で言いますと、店前の通行量もそうですし、どの道路沿いが良いかもありますし、道の上り方向か下り方向どちらがいいのかもあります。あとは商圏内の年齢別の人口や商圏内のこの辺りのほうが所得の高いエリアだなというような特性もあります。この辺りは、ビッグデータを活用して出店の立地選定を我々もサポートさせていただきますので立地選定の際には、勘だけではなくて最新のデータ技術を用いて選定をしていただければと思います。
物件選定のポイント
続きまして、物件編です。どのような物件を選ぶのが、クロワッサン専門にとって向いているのかというお話です。
大きく分けて三つのポイントがございます。一つ目が、看板で業態の訴求等ができるような間口が大きく看板が付けられるかという点です。二つ目が、オープンキッチンで実演性訴求が可能かという点です。そして三つ目が、店舗の機能にあった広さがあるのかという点です。
物件の間口について
それぞれのお話をさせていただきますと、こちらが店頭の間口のイメージ図です。私たちがお店を無意識に選ぶ時、特にお店の前を通りかかって選ぶ際は、何のお店かがわからなければ入るのは難しいと考えています。「ここ〇〇屋さんだ、これ買いたかったから行ってみようか」となりますが、まずこの〇〇屋さんかをわかるようにするためには看板を大きくしなければならないです。特にロードサイドで言いますと、大きくないと視認も難しいので間口が広くて横に店名のロゴが大きく出せる点やタペストリーのような大きな一枚物の布やポスターなどで業態を表わしていくことが重要です。文字を書いていただいたり、イラストや実際の商品写真をわかりやすく見えるように飾っていただくことによって、しっかりと業態の訴求が可能です。
店舗の実演性訴求
続いてが実演性訴求という部分です。こちらに関しましては、どちらかと言うと、今後お店を選んでから設計する段階でお考えいただく部分にはなりますが、売り場や店舗の外から厨房の部分が見えるように設計する必要があります。こちらの図で言いますと、薄い水色で書かせていただいていますが、厨房と売り場をガラスで仕切って中が見えるようにすることやガラス窓を店舗外にも設置することで、ここで作っている。焼きたてが食べられるという訴求をすることができます。
もう一つの部分が、ダクトを店舗前に出して焼きたての香りで衝動集客をしていただきたいです。クロワッサンは商品の特性として焼きたての瞬間にバターの非常にいい香りがしますのでバターの香りで「いい匂いがするね、ちょっとお腹すいたし行こうか」というように、特に店頭の通行量が多い繁華街立地、駅前立地などでは匂いでも集客をしていく面が非常に大切になってきます。
実際に私は様々なクロワッサン専門店を見ておりまして、そこでお客様の動きなども当然見ているわけですが、お客さんが二人で歩いていらっしゃる方がいてお店の前をすっと通りかかりますと「いい匂いするね」と意外と会話の中でお話をされているのです。このようなコロナのマスク社会でも意外とバターの匂いを皆様しっかり感じられているのだなという点も面白かったポイントではあるのですが、意外と皆様周りの匂いは敏感だと思いました。目や耳は今やスマホ、あるいは音楽を聴くなどの形で歩いている方もいらっしゃるので、その側面だけに訴求をしていくのではなく、普段あまり使っていない感覚の一つである嗅覚に訴えかける側面も衝動来店を促すうえで一つ重要なポイントだと考えています。
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