船井流マネジメント戦略編―マネジメントとは?
ここからは船井流マネジメント戦略編と題して、自社の事業戦略を徹底的に業務に落とし込むために経営トップ本部が行うべきマネジメント、それから各店舗の店長さんが行うべきマネジメントについて解説をさせていただきます。
皆さんはマネジメントという言葉を聞いて何を思い浮かべますでしょうか。先ほどの佐々木社長のマネジメントのお話でもあったと思いますが、10年前にもしドラという言葉が流行語大賞のノミネートに入っていたのが懐かしいです。「もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら」というドラッカーが書いたマネジメントに関する本を野球部の女子マネージャーが読んで、公立高校の弱小野球部を立て直して甲子園を目指していくお話がありました。10年前はそのもしドラを機にマネジメントという言葉が注目を浴びたのですが、マネジメントは結構身近な言葉だと思います。船井総研ではこちらのマネジメントという言葉を実行力を最大限に高めること、パフォーマンスの最大化と定義をしております。
マネジメントには2種類ございます。本部を中心に組織づくりを進めていくこと、そして二つの管理を徹底することがトップマネジメントと言われるものです。そして三つの管理を徹底していくことがストアマネジメントになります。マネジメントはこの2種類があるということを頭に入れておいてほしいなと思います。このトップマネジメント、ストアマネジメントについてそれぞれどういうことをすべきか、何をマネジメントすべきかについてこれから解説をさせていただきます。本セミナーを聞いていただいている方も自社はしっかりとできているのかを心の中で確認しながら聞いていただけたら幸いでございます。
船井流マネジメント戦略編―経営者、経営本部が押さえるべきトップマネジメント
まずは経営者、経営本部が押さえるべきトップマネジメントということですが、こちらは四つございます。一つ目は組織体制の構築。二つ目は数値分析をオンタイムで実施できる環境づくり。三つ目は数値管理。四つ目は目標管理になります。
一つ目の組織体制の構築ですが、こちらは自社の事業戦略であり、差別化戦略です。こういったところを徹底させるうえで最初に取り組むべきことです。組織は戦略に従うという言葉がありますが、エリッツ様の成功事例でもありました通り戦略を徹底するうえでどのような組織体制がいいかを考えて、自社の賃貸仲介部門改革のファーストステップとして自社が定める戦略に相応しい組織体制をまず構築していく、考えていく必要があります。実際にエリッツ様は来店前の顧客対応で一番になるという戦略のもと、集客に特化するWeb戦略チーム、そして反響来店率・実来店数を上げていくためのメール反響対応チームをそれぞれ確立されたことになります。
二つ目ですが、数値分析をオンタイムで実施できる環境づくりが必要になってきます。エリッツ様はオンタイムですぐに任意の期間での数値集計を算出することができます。エリッツ様であったり、他の競合他社に勝っているような大きい会社様などはやはり自社の経営指標であったり、オンタイムですぐに出すことができる環境が整っているのです。
三つ目は数値管理と呼ばれるものになります。数値管理とは任意の期間、対象の数値集計が出せることになります。自社では現在どのように帳票や日報というものをまとめて管理されているでしょうか。自社の経営指標、例えば昨月の売上がどれぐらいだったか、昨月の反響数、今月の第一週目の反響数、反響来店率がいくつだったかがすぐに出てこない会社様は帳票をExcelファイルで管理していて、会議前に各部門から上がってきたExcelファイルを慌てて集計して手入力をするということをやっている会社様のケースがやはり多いです。数値実績をすぐに出せる、見れる環境だと実際に自社で戦略のもと取り組んだことが効果として数値というデータを裏付けに効果測定を行えたりもするので、クラウドで帳票をしっかり管理してローカルファイルではなくクラウド上で管理をして、そして数値実績の集計が自動で行えるような環境づくりをしっかりと整えていく、整備していくことが競合他社に勝っていくうえで非常に必要になってきます。
四つ目が目標管理と呼ばれるものになります。こちらの目標管理は自社の現在の立ち位置と目標値を比較するという意味になります。ここが常に目に触れていること、そして自社で定めたKPI・KGIだったりと実績を比較できていることが非常に重要です。目標から逆算して、あと何件成約しなければならないか、そのためにはあと何件お客様に来店してもらわなければならないのかなどを目標から逆算してしっかりと対策をすることができるようになります。目標管理をしていると、そういった各経営指標を目標値と比較することで自社は今何ができていないか、何がボトルネックになっているのかをしっかりと分析できて分かるようになるといったところが目標管理をすることのメリットになります。エリッツ様は本部のほうで売上目標を前年対比の107%成長として設定されています。55店舗を合わせた全体の売上目標について、本部のほうで佐々木社長主導で管理されていることもあったりします。
船井流マネジメント戦略編―店長が押さえるべきストアマネジメント
今までがトップマネジメントのやるべき四つのことについて解説をさせていただきましたが、続きまして店長、エリアマネージャーなどのいわゆる中間管理職の方が押さえるべきストアマネジメントについて解説させていただきます。こちらは行動管理・顧客管理・進捗管理の三つの管理をマネジメントの役割として行っていただきたい、行っていくべきだと挙げさせていただいております。
一つ目は行動管理です。店長さんは自社の店舗のスタッフさんの時間を自分の時間と思ってどのように使うか、どのように営業スタッフさんの全体の時間を使い倒すかをしっかりコントロールしていくことが重要になります。そのためには店舗のスタッフさんの時間を業務レベルで管理できるシステムを活用していきながらコントロールしていきます。各業務におけるスタッフさんの時間が可視化されるのでコントロールしやすくなっていきます。なので行動管理というのは店長さんがスタッフ全員の時間をしっかりとコントロールすることが重要になります。
二つ目が顧客管理になります。お客様の顧客情報を集約して一元管理を行うことが顧客管理の意味になります。顧客の情報が色々なファイルやツールシステムに散乱している会社様は少なくないのではないでしょうか。後ほど解説をさせていただくデジタルツールを活用していくうえでの自社を次のレベルへと引き上げる情報活用最大化の取り組みというのがこの顧客管理をしっかり指導していないとできないので、まずは様々なお客様に対する希望条件や反響物件の傾向・入居時期・入居人数等の一顧客の情報というのを一つのシステムやファイルなどで店長さんがしっかりと一元管理をすべきというのが顧客管理になります。
三つ目は進捗管理になります。店長さんが店舗のスタッフさんの未対応タスク、期日過ぎのタスクを無くすといったいわゆるぬけ・もれ・おくれを無くしていくことを指します。成熟期における賃貸仲介店舗の運営において賃貸競合他社にしっかり勝っていくためには属人的な営業力に頼らない、一定の業務レベルを持つ、それからクオリティを落とさないといったことが非常に重要になります。こういった優秀な営業マンに多くの業務、役割を与えているケースの会社様はまだまだ多いと思いますが、それでは差別化戦略の徹底ができないので競合他社にしっかり勝っていくことができません。佐々木社長の講座でもありました通り、2:6:2の法則があったかと思います。どんなに優秀な営業マンを一カ所に集めても、営業成績は2:6:2のいわゆる優秀層、中間層、もう少し頑張ってほしい層のように分かれてしまう法則などもあったりしながら優秀な営業マンを1人でも多く抱えていく、育てていくといった店舗運営の方針よりも、自社での2:6:2のいわゆる「6」の中間層の部分の方々の業務レベルをいかに落とさないかが今は競合他社に勝つために必要になってきます。なので2:6:2の「6」の業務レベルを落とさない、ぬけ・もれ・おくれをなくしていくというのが店長さんの進捗管理の役割となります。・・・▼続きはこちら