「成長と永続」は、すべての企業にとっての至上命題であるといってよいと思います。
これに関して、私は「2つの『25』仮説」というものを紹介しています。文字どおり、「25」がキーナンバーとなる経営仮説です。
1つめは、「25年仮説」です。これは、「社長の寿命は25年」というものです。
ここでいう「寿命」とは、在任期間のことです。中小企業において、社長はおおよそ25年毎に交代(承継)しているということです。
2026年9月24日に開催した「2代・3代つなぐ 100年企業サミット」のゲスト登壇企業、AWABIYAホールディングス様(水産仲卸・製造小売業)を例にとって見てみましょう。
同社は創業429年の超・老舗で、現在の社長はなんと18代目。現社長が就任されたのが8年前ですので、「421年÷17代」で、1代平均24.8年と、ドンピシャなのです。
また、私が担当しているある支援先(建築・不動産業)は、創業143年で、現社長は5代目。「143年÷5代」で1代平均28.6年と、当たらずも遠からず、なのです。
もちろん、例外もたくさんありますので、「社長の平均在任期間はざっくり言うと25年」という程度の認識でよいと思います。
それにしても、なぜ25年なのでしょうか。ひとつは、「40歳前後で社長になり、65歳前後で引退」といったような、年齢的な要因があるでしょう。
もうひとつは、環境的な要因です。四半世紀もたてば、デジタル化や市場環境など、社会の仕組みがガラリと変わります。その大きな波に対応するため、新しい発想を持つ次の世代へのバトンタッチが必要になります。
長期政権は専制化や組織の硬直化を生むことになりえますので、やはり25年前後で交代していくのが健全なのでしょう。
実は、この「25年仮説」は、私が考え出したものではなく、ある支援先(旅館業)の社長が教えてくれたものです。
その社長は2006年に代表に就任されたので、今年でちょうど20年です。25年仮説に基づけば、あと5年前後で事業承継ですよということになりますので、いま、長男とそういう話を進めているといいます。
長男は今年、新卒で人材紹介会社に就職されたのですが、いずれ父親の旅館を継ぐ意志を固めているようです。現在の人材紹介会社で5年ほど社会人経験を積み、父の旅館に戻って3年ほど下積みをしたうえで社長交代、という筋書きを描いているそうです。
もちろん、すんなりと合意形成がなされたわけではなく、何度も議論し、衝突することもあったそうですが、それを経て今は親子が同じ方向を向いているというのは、とても良いことだと思います。
25年仮説は、いつ頃から事業承継の準備を始め、いつ頃に交代するのかを決める目安になるかもしれません。
さて、2つめは、「25億仮説」です。これは、「企業規模は、社長1人で25億。以降、経営幹部1人につき+25億」というものです。
この仮説に基づけば、たとえば100億企業を目指すなら、優秀な経営幹部を3人つくらなければならないということになります(社長で25億、経営幹部25億×3人で75億)。
そのためには、もちろん、いわゆる「プロ採用」など外部から招聘するという手もありますが、やはり「再現性のある経営幹部育成手法」を確立する必要があるといえるでしょう。
経営幹部の育成について、私は、次の3つがポイントであると考えています。
① 心理的安全性の高い社風づくり
② 権限付与と信賞必罰の人事
③ 経営幹部教育の仕組み
ここでは、このうち③について、少し深掘りをしてみたいと思います。
社員教育は、「実地教育」と「教育制度」の2つに分けられます。私は、このうちメインとなるのは日常業務を通じての教育、つまり実地教育だと思います。ここに教育制度が加わることにより、教育の精度が高まり、育成のスピードが上がるというわけです。
その教育制度ですが、新入社員や若手社員向けの教育研修は充実しているものの、管理職や幹部候補に向けての教育研修はほとんどない、という会社が多いのではないでしょうか。
そして実は、ここが100億企業化できる会社とそうでない会社との分かれ目ではないかとも思うのです。
年商174億のある支援先(石油・ガス販売業)は、「社長勉強会」「幹部塾」「マネジメントゲーム研修」など、管理職や幹部候補向け研修を多彩に運用しています。
また、年商206億の支援先(建築・不動産業)も、部長が対象の「社長レビュー」を週1回、課長以上が対象の「ラダーミーティング」を月1回のペースで開催するなど、管理職・幹部候補向けの教育に余念がありません。
こうして見ると、管理職・幹部候補を対象に「PMVVの共有」と「経営・マネジメントスキルの向上」を図る教育制度の運用こそ、「再現性のある経営幹部育成手法」の重要パーツであるといえるのではないでしょうか。
以上、本コラムでは、「2つの『25』仮説」についてお話ししました。皆様の会社の事業承継や経営幹部育成の参考にしていただけますと幸いです。

