地域コングロマリット経営における新規事業選定
地域コングロマリット経営とは、「特定の地域で複数の事業体を持つ経営」のことです。
それだけだと「多角化経営」と変わらないように思えますが、地域コングロマリット経営は単に事業を増やしていくのではなく、
①事業間シナジーを重視し、会社全体としてLTVを高める
②主力事業に依存せず複数の柱を持つことで、急激な外部環境の変化などによるリスクを分散する
③会社のブランディングが進み、採用力が高まる。事業責任者ポストが生まれ、経営幹部が育つ
これらのようなポイントを押さえることで、「地域になくてはならない存在」を目指すのが特徴です。
では、地域コングロマリット経営を念頭に置いて新規事業を選定する際、どのように考えればよいかというと、基本的には、「飛び地」を避け、「隣接地」を狙うことをおすすめしています。つまり、既存事業と共通項がある領域を優先するのです。
これは、言うまでもなく、既存事業と何の関連もない事業を立ち上げるのは非常に難しいからです。また、上記の「①事業間シナジーを重視し、会社全体としてLTVを高める」につながらないからでもあります。
では、「事業間シナジー」には、どのようなものがあるのでしょうか。下図は、事業間シナジーを4つに分類したものです。
このように、「売上向上」「コスト削減」「資金効率」「知識移転(転用)」といったシナジーを得られる新規事業を選択するのが、地域コングロマリット経営であるといえます。
「予想外の事業間シナジー」も地域コングロマリット経営の魅力
ところでおもしろいのは、いざ新規事業に参入してみると、当初は想定していなかった事業間シナジーが得られることがあることです。
具体例をご紹介しましょう。ある住宅リフォーム会社は今期、同社における史上最高売上を記録しただけでなく、来期以降の成長イメージを描くことができたという、理想的な一年となりました。というのも地域コングロマリット経営を意識して今期立ち上げた新規事業、「中古リノベ事業」が、いきなり絶好調だからです。
これは「中古住宅の売買仲介」と「リフォーム」を組み合わせた事業なのですが、社員2名がオープン4ヶ月で3,600万円の粗利を上げる活躍を見せているのです。来期は早くも2拠点体制にする予定で、今後同社の成長エンジンとなるのは間違いないでしょう。
ところで中古リノベ事業は、「仲介案件を数多く手掛けるほど、リフォーム売上も上がる」というプラスの効果を生み出します。つまりリフォーム事業側から見ると、新たな集客ルートが加わったということになるのですが、これは当初から想定していた事業間シナジーです。
しかしいざ事業を始めてみると、得られるシナジーはこれだけではありませんでした。
少々専門的な話になってしまい恐縮ですが、中古リノベ事業で発生するリフォームには、一般的なリフォームと大きく異なる点があります。
それは、「住みながら工事ではない」ということです。
住み慣れたわが家をリフォームする一般的リフォームの場合、よほど大掛かりな工事でなければ、施主(お客様)が生活しながら工事を進めます。しかし中古リノベ事業で発生するリフォームは、売買される住宅のリフォームですから、工事の期間中はまだ施主が住んで(引っ越してきて)いません。これが、「住みながら工事ではない」が意味するところです。
施主がそこで生活しながらの工事なのか、そうでないのかは会社にとって工事の進め方に大きな差があります。少し想像していただくとわかると思いますが、住みながらの工事のほうが、注意・配慮すべき事柄が格段に増えるので、難しいのです。
一方、住みながら工事ではない場合、誤解を恐れず言えば新規開拓した協力会社や職人を「試す」ことができます。もし万一、技術やマナーに難があったとしても、そこに施主はいませんから、問題やクレームになる前に指摘・指導、あるいは交代したりして、きちんとリカバリーができるのです。
多くのリフォーム会社では、施工を担当する協力会社や職人が慢性的に不足しているため、新規開拓がかなり重要な課題です。ただ新しい職人は技術やマナーが未知数ですから、やみくもに開拓すればいいというわけではありません。
その不安が、中古リノベ事業によって解消できるというわけで、これは、同社が当初は想定していなかった事業間シナジーであり、うれしい誤算だったのです。
これはあくまで一例にすぎませんが、船井総合研究所は現場密着型の伴走支援をしているため、このような事例が毎日のように蓄積されています。
「思いもよらぬ事業間シナジー」まで加味した上で新規事業のご提案ができることも、船井総合研究所による地域コングロマリット経営コンサルティングの強みなのです。

