独居高齢者を取り巻く現状―老人ホーム・病院の受け入れ拒否が社会問題に!
早速講座に入っていきたいと思いますが、まず皆様に押さえていただきたいのが独居高齢者を取り巻く現状についてです。今、独居高齢者の方の老人ホームや病院の受入れ拒否が大きな社会問題の一つになっています。これはどういう話なのかといいますと、老人ホームや病院に入る際には、皆様がご自宅や集合住宅をお借りする際と同じように身元保証人を老人ホームや病院側から求められるかたちになります。こうした老人ホームや病院に入居や入院を希望される高齢者の方の中で身元の保証人がいない、いわば身寄りのいない高齢者の方が受け入れを拒否されることが一つの社会問題として起こっています。これを言い換えますと、身寄りのいない高齢者の方は、医療サービスや介護サービスを受けたくても自由に受けることができなくなってしまっていると言えると思います。
では、どうして老人ホームや病院は高齢者の方の身元の保証人がいないと受け入れを拒否するのかというお話ですが、家賃を保証してほしいわけではありません。老人ホームや病院側が身元の保証人を必ず要求する理由としては、老人ホームや病院のサービスは、基本的に家族の協力を前提にしてサービスが組まれているからです。例えば皆様の身内の中で、老人ホームや病院に入居された方が恐らく1人はいると思います。その方々が入居や入院した際に、例えばお着替えを持って行く、支払いをしたのは恐らく皆様のご家族なのではないかと思います。また、老人ホームや病院は高齢者が入るところになりますので残念ながらご逝去してしまうケースもあります。そうした際に、老人ホームや病院側がお葬式まで行ってくれるのかというとそういうわけではなくて、基本的にはご家族側が必ず葬儀まで手配をして納骨まで行うかたちで身元の引き受けは必ず家族が行うことになりますので、身元の引受人がいないと老人ホームや病院はお部屋やベッドが空きませんので次の方は受け入れられないということになってしまいます。だからと言って勝手に葬儀ができるかというと勝手にはできませんし、お部屋の片付けも勝手に処分できるかというとそうはいきませんので、こうした経営の課題をクリアできないので、身寄りのいない方の受け入れを老人ホームや病院は拒否しているというのが一つの実態です。
この問題を解決するのが、今日皆様にご紹介させていただく身元保証ビジネスです。これは身元保証サービスと言い換えますが、この身元保証サービスは身元保証会社という会社が高齢者の方から事前に実費で200万円をお支払いいただいて、そのお金で高齢者が本来受けるべきサポートを家族の代わりに提供していく、これが身元保証サービスということになります。いわば身元保証サービスというのは、高齢者の家族の代わりを務める、もしくは第二の家族を務める事業になるので、皆様がどういうふうに思い描いているかわかりませんが名前を書くだけではないということを抑えていただければと思います。では具体的に老人ホームや病院に入院、入居したときも含めて、家族の代わりになる身元保証サービスはどういうサービスを提供するのか全貌について見ていきたいと思います。
独居高齢者を取り巻く現状―身元保証人に求められる役割
身元保障人に求められる役割はこちらに書いてある六つになります。まず一つ目が、身上保護です。これは施設や病院の手続や医師の代理表明、このような手術をしてほしい、このような医療行為は提供してほしくないなど、昨今延命治療が話題になっていますが、延命治療を拒否することをちゃんとお医者様に伝えるのが医師の代理表明です。そして、一番ボリュームが大きいのが生活支援です。着替えや日々の買い物は基本的には高齢者の方の場合は、ご家族が手伝っているケースが非常に多いのではないかと思います。身元保証サービスは、こうした家族の代わりになって、生活支援も代行して提供していくかたちとなります。そして3つ目が、死後事務です。病院や老人ホームを中心としてお亡くなりになったあとの身元の引き受けや葬儀、納骨の手配です。日本は勝手に死体を捨てることはできませんので、基本的には葬儀、納骨をするところまで必ず実施しなければいけないので、死後事務は基本的には家族の協力が絶対に必要になります。そして、連帯保証です。病院や老人ホームの家賃や医療費などの支払いの保証もご本人さんがご逝去して払えないとなった場合、代わりに支払う必要が出てきますのでこうしたところも身元保証人の役割になります。そして5つ目が、損害保証です。施設や病院の中で物や他人に危害を加える、損害を与えた場合の保証も保証人のサポートする役割になります。最後、財産管理です。財産管理に関しましては、ご家族が行うだけでなく弁護士の先生や司法書士の先生が入る成年後見制度や任意後見制度などもありますが手続きの取継ぎは基本的には保証人に求められる役割になってきます。この六つを包括的にカバーすることが身元保証人には求められます。ただ、身元保証事業者としてこれらの全部を一人でサポートできるかというと、もちろんそうではありません。では、身元保証事業者が自社で行わなければいけないところと誰かと連携して行わなければいけないところは、どういう区分になるのかというのがこちらのスライド資料になります。
基本的には身上保護と生活支援に関しては自社で対応しなければいけません。それ以外の死後事務の例えば葬儀者と連携、中には石材店と墓じまいの提携をすることもあります。あとは、納骨先のお寺との提携も提供するサービスの範囲内というかたちになってきます。続いて、連帯保障です。こちらに関しましては、事前にお金を支払っていただいて、そのお金を管理するので弁護士や司法書士の先生と連携していく部分になります。損害保障に関しましては、今お話しした連帯保障と同じような対応になりますし、保険事業者さんと連携をして対応していくこともあります。最後は財産管理です。通帳の管理に関しましては基本的には弁護士や司法書士の先生の専門職の方の管理が必須ですので、この部分に関しましては弁護士や司法書士の先生と組んでいくという流れで身元保証ビジネスや身元保証サービスは構成されているという点を皆様には抑えていただければと思います。続いて、次はこの身元保証サービスを必要としている層は、どれくらいいるのかについて一緒に見ていきたいと思います。
独居高齢者を取り巻く現状―独居高齢者の数は約700万人!その数は、年々増加し続けている
まず、身元保証サービスを利用する可能性のある方は、冒頭でお話しさせていただきました通り、ほとんどの場合が独居高齢者になります。もしくは高齢者夫婦の中でも子どもや親族がいない方は身元保証サービスの対象になってきますが、大部分は一人暮らしの高齢者です。スライドに映し出されている資料が独居高齢者のグラフになります。日本には2022年現在は約700万人の独居高齢者がいるという推計結果が出ています。グラフを見ていただければ分かる通り、その数は右肩上がりで年々増加していくことが見て取れると思います。ただし、一人暮らしの高齢者の方が全員が全員身元保証サービスを必要とするのか、家族の協力が得られないかというとそういうわけではありません。
独居高齢者を取り巻く現状―独居高齢者の3割はいざという時に頼れる人がいない
では、独居高齢者の中で身寄りのいない方、もしくは家族のサービスを受けられない、もしくは受けたくないと考えられている方がどれくらいいるのかについてですが、その数値がこちらのスライド資料になります。独居高齢者の約3割の方は、緊急時に頼れる人がいないことが内閣府の調査の推計の中で出ています。赤枠で囲んである中が約3割を示しているのですが、注目していただきたいのは、その上の、友人や近所の人、その他の人、ヘルパーなどの介護サービスの人というかたちで、家族や親族には頼りたくないと考えられている方も非常に多くいらっしゃいまして、今追加で課題になっているのが家族や親族がいても身元保証サービスを必要とする人が非常に増えている点です。次はそれについて見ていきたいと思います。
独居高齢者を取り巻く現状―家族がいても、身元保証サービスを必要とするケースが多い
高齢者のニーズと家族のニーズに分けて、家族・親族がいても身元保証サービスを必要とする高齢者が多いというところを見ていきたいと思います。
まず、高齢者のニーズです。高齢者のニーズとしましては非常に単純で、例えば遠方の家族に迷惑をかけたくない、そもそも仲が悪い息子や娘に保証人をお願いできないということです。高齢者の方と関わっていますと、家族と疎遠、頼れる親族家族がいない、約30年連絡を取っていないというケースは非常に多いです。そうした高齢者の方が、家族に頼むくらいなら身元保証事業者にお願いしたいと言ってくるケースは非常に多いです。
そして、次に家族のニーズです。今の時代は友働きが当たり前の時代です。育児だけでも忙しい中、親の介護や生活支援までとてもではないが手が回らない方も多いです。あとは非常に多い都市部一極集中のかたちで、遠方のため施設や病院から緊急で呼び出されても駆けつけることができないので、そうした場合、身元保証サービスを使うケースは増えています。このように家族がいても身元保証サービスを使うニーズは今非常に増えているということが本日抑えてほしい点の一つです。
独居高齢者を取り巻く現状―身元保証サービスを必要としている人は独居高齢者だけでも全国で約200万人
では、ここまでをまとめたいと思います。身元保証サービスを必要としている人は、約2022年現在で約700万人の独居高齢者の数がいます。そのうちいざというときに頼れる方がいないと回答した方が30%ですので、少なく見積もっても200万人以上の方が身元保証サービスを必要としているという現状ですので、この数は一つ抑えておいていただきたいです。もちろんこの中には高齢者夫婦やヘルパーや友達を頼れば大丈夫と思っている人たちの数は含まれていませんので、見た目以上にこの数は多いのではないかと推測できると思いますのでそこも併せて抑えていただきたい点です。
身元保証ビジネスの役割―三方のニーズに対応するビジネスモデル
次に、身元保証ビジネスの役割について整理をしていきたいと思います。身元保証サービスは高齢者から見た際には、身寄りがいない、誰かに頼れないという場合、第二の家族になる事業ですし、家族からしたら本当は自分の両親は自分で看たいが、駆けつけられない家事や育児で忙しい場合のサポートをしてくれる事業者です。
また、介護施設や病院に関しましては、利用料の未払いなどに悩んだりすることや健全な運営が難しくなっているところをサポートする事業ですので、高齢者にとっても介護施設や病院にとっても、そしてご家族、親族にとっても非常に良い事業モデルである、三方良しの事業モデルであるというところを改めて抑えていただきたいです。続いて、身元保障事業のターゲットについて見ていきたいと思います。
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