自社のさらなる飛躍、社会的信用の獲得、そして優秀な人材の採用を目指し、IPO準備を進められている、あるいはこれから検討したいとお考えの経営者様は多いことでしょう。しかし、IPO市場を取り巻く環境は今、大きな転換点を迎えています。かつてのような「IPOを目指す=グロース市場への新規上場」という状況が大きく変化しています。
今回は、2026年上半期(1〜6月)の最新IPOマーケット動向を振り返りながら、今後中小企業がどのような戦略で自社の継続的発展のため、そのプロセスとしてIPO準備を進めるべきか、具体的な定量データを交えて解説いたします。
1. 2026年上半期のIPO全般の状況
まず、2026年上半期におけるIPO全般の状況について俯瞰してみましょう。定量的なデータを見ると、市場のパラダイムシフトが明確に表れています。
(グラフ内のデータは当社調べ)
2026年上半期、東京証券取引所の一般市場(プライム、スタンダード、グロース)への新規上場企業数は合計17社にとどまりました。これは昨年の同期間と比較して11社の減少となっており、IPO市場全体のハードルが上昇していることを如実に示しています。内訳としては、プライム市場が0社、スタンダード市場が6社、そして新興企業向けであるグロース市場が11社でした。
一方で、大きな躍進を見せているのがプロ投資家向け市場である「TOKYO PRO Market(東京プロマーケット)」です。同期間における東京プロマーケットへの新規上場企業数は24社に達しました。これは昨年の21社からさらに増加しており、「一般市場全体の新規上場企業数(17社)」を単独市場で上回る結果となっています。
(グラフ内のデータは当社調べ)
つまり、現在のIPO市場は「一般市場への上場が減少し、東京プロマーケットへの上場が増加している」という明確なトレンドが存在しています。IPO準備を進めるにあたっては、この「逆転現象」がなぜ起きているのかを正しく理解しておく必要があります。
2. 2026年上半期のグロース市場の状況
次に、多くのスタートアップや中小企業が最初の目標としてきた「グロース市場」の現状を深掘りします。2026年上半期のグロース市場への新規上場は11社であり、前年同期の18社から大幅に減少しました。
この減少の背景にある要因として、上場案件の「大型化」と「審査の厳格化」が考えられます。グロース市場の上場維持基準が100億円ということから、主幹事証券によりますが、新規上場(IPO)のタイミングから時価総額100億円以上が求められるケースも多く、比較的大型なIPOが市場の中心となり、従来多く見られた時価総額数十億円程度の「小型IPO」が減少している傾向にあります。また、東証からのガバナンス強化の要請も影響しています。上場準備会社に対しては、内部通報体制の整備や不正リスクの厳格な確認が求められており、主幹事証券会社や監査法人の審査目線も一段と厳しくなっています。監査法人においても上場準備に求められる管理体制のレベルは年々高度化しています。
結果として、グロース市場への上場は、業績規模・管理体制ともに極めて高い水準が求められるようになっており、一般的な中小企業がいきなり目指すには非常に高いハードルとなっているのが現状です。
3. 2026年上半期のTOKYO PRO Marketの状況
こうした一般市場のハードル上昇を背景に、中小企業の有力な選択肢として確固たる地位を築いているのが「TOKYO PRO Market(東京プロマーケット)」です。前述の通り、2026年上半期は24社が上場を果たし、活況を呈しています。
2026年上半期に東京プロマーケットへ上場した企業の業績規模を見てみると、売上高の中央値は約20億円、経常利益は1億円〜1.5億円程度となっています。また、社長の年齢層は40代から50代が8割以上を占め、従業員数100名以下の企業が約3割を占めています。特定の業種に偏ることもなく、サービス業や情報・通信業をはじめ、不動産、小売、建設業など、日本経済を支える多様な優良中小企業が上場を実現しています。
東京プロマーケットがこれほどまでに支持される理由は、一般市場で求められる厳格な数値基準(株主数や利益額など)がないため、自社の成長フェーズに合わせた柔軟な上場が可能だからです。東証から承認された上場支援・審査機関である「J-Adviser」が中心となって上場準備を主導するため、一般的なIPO準備と比較してスケジュールが読みやすく、主幹事証券の引受審査による遅延リスクも低減されます。
多くの経営者は、東京プロマーケット上場を通じて「知名度・信用力の向上」「採用力の強化」「社内管理体制の整備」を実現しています。そして、ここで盤石な経営体制と社会的信用を築いた後、グロース市場やスタンダード市場へステップアップ(市場変更)していくというルートが、これからのIPO戦略の新たな「王道」になりつつあります。
4. 2026年上半期を踏まえて今後のIPO市場の動向見込み
これまでの状況を踏まえ、今後のIPO市場の動向と経営者が取るべきアクションについて考察します。
結論から申し上げますと、一般市場(特にグロース市場)の審査厳格化と大型化のトレンドは、今後も継続・定着していくと見込まれます。投資家保護と市場の信頼性確保の観点から、ガバナンス体制の不十分な企業の上場はますます難しくなるでしょう。
したがって、これからIPO準備をスタートする、あるいは現在準備中の企業は、「自社がどの市場を目指すのが最も現実的で、かつ企業成長に寄与するのか」を再考する必要があります。いきなり高い壁であるグロース市場を目指してIPO準備が長期化し、社内が疲弊してしまうリスクを避けるためにも、まずは東京プロマーケットへ上場し、上場企業としての「ブランド」と「体制」を早期に獲得する戦略が極めて有効です。
<事例:船井総研がJ-Adviser、F-Adviserを担当して上場>
J-Adviserの指導のもとで東京プロマーケットへの上場準備を進めることは、将来的な一般市場への上場を見据えた最適な「入口市場」としての役割も果たします。自社の現在地を正しく把握し、変化するマーケット環境に適応したIPOロードマップを描くことこそが、上場を成功に導く最大の鍵となります。
本コラムでお伝えした通り、IPO市場は今、かつてない変化の波に直面しています。
「自社は上場できるのか?」
「IPO準備には具体的に何から始めればいいのか?」
「J-Adviserとどのように連携すれば良いのか?」
といった疑問をお持ちの経営者様に向けて、個別に気軽にご相談可能な機会をご用意しています。
J-Adviser資格を有するIPO専門コンサルタントが、本記事では語りきれなかった「失敗しないIPO準備の秘訣」や「東京プロマーケットを活用した最速上場ノウハウ」を豊富な事例とともに徹底解説いたします。
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