2026年3月25日、船井総研がJ-Adviser/F-Adviserとして伴走してきた山口県の株式会社田村ビルズグループ様が、東京証券取引所(TOKYO PRO Market)および福岡証券取引所(Fukuoka PRO Market)へ、全国でも極めて稀な「二市場同時上場」を果たされました。
このニュースは地方の、それも歴史ある企業がどのような未来を描くべきかという問いに対し、一つの明確な答えの提示になるのではないしょうか。同社の事例を通じて、今注目を集めるキーワード「老舗ベンチャー」としての成長戦略について、船井総研の視点でお伝えしたいと思います。
1. 140年の伝統を脱ぎ捨てず、ベンチャーの翼を得る
「老舗」と「ベンチャー」。一見すると対極にある言葉ですが、今この二つを掛け合わせた「老舗ベンチャー」という経営スタイルが、中小企業の生き残り戦略として大きな注目を集めています。
田村ビルズグループ様は、明治12年(1879年)創業。大津郡三隅町(現在の長門市)の食料品店「田村屋」から始まった、140年以上の歴史を持つ超老舗企業です。しかしその中身は驚くほど革新的です。建材販売から産業廃棄物処理、そして不動産・建築、さらにはITを駆使した不動産テック事業へと、時代のニーズに合わせて「業態転換」を繰り返してきました。
老舗が持つ「地域からの信頼」や「安定した経営基盤」という資産を活かしつつ、ベンチャー企業のような「スピード感」「成長意欲」「デジタル活用」を取り入れる。この融合こそが、同社が売上高76億円を超える規模まで急成長し、二市場同時上場を成し遂げた原動力です。
2. 船井総研への新卒入社を経て「6代目社長」の軌跡
田村社長はかつて船井総合研究所に新卒で入社され、コンサルタントとしての基礎を磨かれました。その後山口県の家業に戻り、専務等を経て6代目の社長に就任されました 。明治12年(1879年)創業の食料品店「田村屋」から始まり、建材販売、産業廃棄物処理、そして現在の不動産・建築事業へと、時代の変化に合わせて業態を変えてきたのが、田村ビルズグループの歴史です。
田村社長は家業に戻ってから船井総研で学んだ経営メソッドを現場に落とし込み、「フィロソフィ」を浸透させ、売上高76億円を超える企業グループへと成長させました。そして今回その集大成の一つとして「上場」という選択をされたのです。
田村社長は歴史ある家業にコンサルティングのノウハウを注入し、さらには古巣である船井総研のコンサルタントを積極的にご活用いただき、地方の古い組織を、自律的に動く「老舗ベンチャー」へと作り変えたのです。これは先代から経営を引き継いだ後継者の方や、伝統を重んじる地域の有力企業の皆様にとって、最も参考にすべきプロセスと言えるでしょう。
3. なぜ今、地方企業に「IPO(上場)」が必要なのか
「上場なんて、うちはまだ先の話だ」
「地方の非上場企業で十分やっていけている」
――そう考える経営者の方も多いかもしれません。
しかし田村社長が上場申請の背景として掲げた目的は、非常にシンプルかつ切実なものでした。
それは「信用力と知名度の向上」です。
今、地方の中小企業が直面している最大の経営課題、それは「人材の確保」です。
「どれだけ良い事業をしていても、学生や優秀な中途人材に社名を知ってもらえない」
「親御さんに『その会社で大丈夫なの?』と言われて内定を辞退されてしまう」
こうした地方特有の採用の壁を突破する最強の武器が「上場企業」という冠です。
上場とは証券取引所という第三者機関によって「この会社は透明性が高く、継続的に成長する仕組みがある」とお墨付きをもらうことに他なりません。
田村社長はこの「信用」をテコにして、さらなる優秀な人材を採用し、資金調達を多様化させることで、次の100年も地域を支え続ける体制を構築しようとしています。
IPOはゴールではなく、「老舗ベンチャー」として今後さらに持続的に成長するための手段なのです。
(上場日当日 船井総研グループ東京本社「サステナグローススクエア TOKYO」東京ミッドタウン八重洲にて 左 船井総研 代表取締役真貝 中 田村ビルズグループ代表取締役 田村社長 右 船井総研HD 代表取締役中谷)
4. 後継者・2代目社長こそ「IPO」を武器にするべき理由
船井総研のIPOコンサルタント、J-Adviserとして、多くの後継社長様とお話しする中で、共通して聞かれる悩みがあります。
「先代が築いた基盤はありがたいが、社内が旧態依然としていて変革が進まない」
「身内経営の限界を感じているが、どうやって組織化すればいいかわからない」
こうした悩みに対する処方箋として、IPOの準備プロセスは極めて有効です。
上場を目指す過程では、必ず「内部管理体制の整備」や「ガバナンス(企業統治)の強化」が必要になります。これは言い換えれば「社長一人のカリスマ性に頼る経営」から「組織が自律的に動き、社会に貢献し続ける経営」へと脱皮する、最高の経営改善プログラムなのです。
田村社長も、山口県内において「住」に関わるサービスをワンストップで提供する独自のビジネスモデルを確立し、全国展開も可能な不動産テック「スモーラ」を生み出すまでになりました。
5. 船井総研が提唱する、地方企業の「新しい上場のカタチ」
船井総研は、今回J-Adviser(TOKYO PRO Market)だけでなく、F-Adviser(Fukuoka PRO Market)としての資格も取得し、田村ビルズグループ様の同時上場を支援しました。
これは、地方企業が「日本の中心(東京)」と「地元の経済圏(福岡・山口)」の両方で評価され、より発展のきっかけにしていただきたいという想いとつながります。TOKYO PRO Marketのようなプロ投資家向け市場は、一般の市場に比べて柔軟な上場基準を持ちながら、上場企業としての社会的地位を得ることができます。
6. 結び:次は貴社の番です
「うちの会社には、まだ早い」
そう思った時こそ、一度自社の未来を想像してみてください。
140年続いた伝統という重しを、高く飛ぶためのバラスト(重し)に変えることができるか。
それとも時代の変化という荒波に飲み込まれるのを待つのか。
田村ビルズグループ様が示したのは、「地方の老舗企業でも、志一つで上場企業になれる」という勇気ある事実です。先代から受け継いだ大切な事業を、さらに100年、200年と発展させていくための唯一無二の道。それが「老舗ベンチャー」という進化の形の一つではないでしょうか。
もし貴社の中に
「このままでは終わらせたくない」
「もう一段上のステージへ、社員と共に行きたい」
という想いが少しでもあるなら、ぜひ私たちにご相談ください。
次は貴社と共に実現できる日を、心より楽しみにしております。
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| 執筆者: IPO支援部 マネージング・ディレクター 宮井 秀卓 みやい ひでたか |
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