コンタクトセンター向けクラウドサービス提供事業者として、センター運営を支えてきたNTTビジネスソリューションズ。生成AIの発展を背景に、AIを活用した運営高度化を推進する中で、分析業務の属人化や複数チャネルをまたいだ課題把握の難しさを、現場の重要課題として捉えていました。
その解決に向け、COPCに基づく運営改善の知見を持つ船井総研と連携し、AIとCOPCの視点を組み合わせた分析支援サービス「コンタクトセンター運営支援AIエージェント」を開発。クラウドサービス事業者としての技術基盤に、現場改善の知見を組み込んだ製品開発の軌跡を紹介します。
企業紹介
NTT西日本株式会社様(取材当時はNTTビジネスソリューションズ株式会社様)は、ビジネスユーザーに対する情報通信システムの提案・構築・サポートを手がける企業です。ICTを通じて多様な顧客課題の解決を支えてきた同社は、既存のソリューション提供にとどまらず、変化する市場ニーズをとらえた新たな価値創出にも取り組んでいます。
その取り組みの一つが、「コンタクトセンター運営支援AIエージェント」です。
コンタクトセンター運営支援AIエージェントは、IVR、CRM、FAQなど複数システムに点在するデータをもとにAIが分析を行い、利用者との対話を通じて、コンタクトセンターにおける課題や改善の気づきを得られるサービスです。
複数チャネルの状況把握が難しい、分析の手法が担当者ごとにばらつく、分析や報告に追われ改善活動に手が回らない――そうした現場の悩みに対し、AIを活用してコンタクトセンター全体の運営支援を高度化することを目指しています。
コンタクトセンター運営支援AIエージェントの開発背景・当時の課題
構想の原点
島田氏:
私たちはこれまでも、コンタクトセンター向けのシステム提供を続けてきました。
ただその延長線上で既存価値を高めていくだけではなく、「新しいビジネス、新しいサービスに自ら着手しよう」という思いが強くなっていきました。
AI活用が広がっていくなかで、より具体的にお客様の業務の中を分析し、そこにある課題を見つけ出し、改善につなげるようなサービスができないか――そう考えたことが、コンタクトセンター運営支援AIエージェント開発の出発点です。
一方で、お客様の業務や現場の課題を理解しているつもりでも、まだ十分ではない部分もある。
だからこそ、業務課題に詳しい方に伴走してもらいながら形にしていく必要性を感じていました。
松井氏:
私たちだけでつくろうとすると、どうしてもBIツールのような発想に寄ってしまうところがありました。コンタクトセンターの現場で何が起きていて、どのKPIをどう見れば本当の課題にたどり着けるのか。
そこを業務の文脈まで含めて落とし込まなければ、お客様の中にコンサルティング的な視点を持つ人がいないと使いこなせないシステムになってしまいます。
コンタクトセンター運営支援AIエージェントで実現したかったのは、分析に詳しい人だけのためのツールではなく、現場の方が自然に使いながら、定量的に課題を把握できる仕組みでしたので、開発当初の最大の課題は「システムとしてつくる」こと以上に、「現場で使える形に翻訳する」ことにあったと感じています。
島田様
プロシード(船井総研)の選定理由
不足領域の補完
島田氏:
今回の開発で必要だったのはシステムの知見だけではなく、私たちが普段接しているお客様の現場で、どのような課題が起きやすいのか、どのような考え方で改善していくのかといった、業務コンサルティングの視点が欠かせませんでした。
コンタクトセンターという業界は、電話だけ見ていればよいわけではなく、FAQやチャット、IVRなども含めて全体を捉える必要があります。そうした現場の知見を、どうソリューション開発に反映させるか。その不足領域を補ってくれる存在として、プロシードに期待しました。
松井氏:
私たちが特に魅力を感じたのは、プロシードが“コンサルタントの頭の中でやっている分析”をシステムに落とし込む視点を持っていたことです。
たとえばKPIをどう解釈し、どこに課題を見出し、何を改善の優先順位にするのかといった考え方は、単にデータを並べるだけでは再現できません。
プロシードのように、コンタクトセンターの業務コンサルを実際に担っている方々と伴走しながら、その知見をコンタクトセンター運営支援AIエージェントに組み込めれば、お客様の中に専門家がいなくても使えるサービスになると考えました。
プロジェクトの概要
共創の進め方
松井氏:
COPCのフレームワークをどうコンタクトセンター運営支援AIエージェントに反映させるかが大きなテーマだったと思います。
コンタクトセンターの運営状態は、センターごとの事情が異なるため、「良い」「悪い」を一概には言いにくいので、世界標準のフレームワークであるCOPCを活用し、AIが分析した結果を客観的な基準に照らして評価できるようにしていきました。
さらにプロシードからは電話だけでなく、オムニチャネルやFAQの指標など、現場のコンサルティングで得た複合的な視点も提供いただきましたので、コンタクトセンター運営支援AIエージェントは一つのチャネルだけを見る分析ツールではなく、コンタクトセンター全体を横断して課題を深掘りできる設計へと進化していきました。
松井様
プロジェクトの成果
知見の実装
松井氏:
今回の取り組みを通じて、私たち自身の視点にも大きな変化がありまして、これまではお客様から「こういうシステムをつくってほしい」と要望を受け、それを形にするのが主な役割でした。
しかしAI活用を前提にした新サービスでは、お客様の業務を棚卸しし、どこをAIに任せ、どこを人が担うべきかまで見据えて設計する必要がありますので、プロシードとの議論を重ねることで、コンタクトセンター分析の考え方や、KPIの読み解き方をより深く理解できたことは大きな成果でした。
またCOPCや電話分析のツールにとどまらず、コンタクトセンター全体の運営課題を見に行ける形にできたのは、今回の共創ならではだと感じています。
島田氏:
実務的な成果としては、コンタクトセンター運営支援AIエージェントにどの観点を優先して実装していくべきかを、具体的に判断できるようになったことです。
コンタクトセンターの分析にはさまざまな基準やKPIがありますが、その中でも実際にどの指標が現場で重視されやすいのか、どの観点がお客様の課題把握や改善につながりやすいのかといった、“コンサルタント目線の肌感覚”を得られたことは非常に大きな収穫でした。
単に指標を多く持つのではなく、どこを優先的に実装すべきかを判断できたことで、コンタクトセンター運営支援AIエージェントの実用性や訴求力を高めることにつながったと思います。
お客様の反応
商談の手応え
島田氏:
商談の場で特に手応えを感じたのは、コンタクトセンター運営支援AIエージェントにCOPCの基準が組み込まれていることでした。分析系のシステムは世の中にもありますが、データを見せるだけでは「その結果が良いのか悪いのか」「どのレベルにあるのか」までは分かりにくい部分があります。
その点、コンタクトセンター運営支援AIエージェントは世界標準のフレームワークに照らして現状を評価できるため、お客様にとっても納得感が高く、システムへの信頼感につながりやすかったと感じています。
松井氏:
展示会や商談の現場では、分析をAIが自動的かつ精細に行うという点そのものに、「こういうことまでできるのか」といった反応をいただくケースが多々ありました。
特に現場の方からは、毎月の集計やレポート作成といった業務をAIが支援してくれることで、「日々の負荷を減らせそうだ」という反応をいただきました。
また、管理者層やマネジメント層からは、単なる分析ツールではなく、COPCの視点を踏まえて評価までできるところに関心を持っていただくことが多く、コンタクトセンター運営支援AIエージェントの特徴がより伝わりやすくなったと感じています。分析の自動化による効率化と評価基準を伴った納得感の両方が、お客様の反応として強く表れていたと思います。
今後の展望
高度化の先へ
島田氏:
今後コンタクトセンター運営支援AIエージェントに期待しているのは、人が本来、人にしかできない改善活動により注力できる環境を広げていくことです。
現場では、KPIを管理しながら改善していく必要性は分かっていても、忙しさの中で十分に手が回らないことが多くありますので、そこをAIが支え、COPCの基準に照らした結果まで返せるようになれば、人はその先の打ち手を考えることに集中できます。
コンタクトセンター運営支援AIエージェントがそうした“高度化の土台”となり、お客様の中でさらに「もっとこうしたい」という想像力を引き出す存在になってくれればと考えています。
松井氏:
これからのコンタクトセンター業界では、AI活用がさらに進む一方で、データの電子化やデータフローの整備が次の課題になっていくと思っています。
AIを導入したくても、もとになるデータが整理されていなければ、十分な効果は出せませんので、コンタクトセンター運営支援AIエージェントは現状の分析と棚卸し、そして次の施策の効果測定までをつなぐツールとしても活用余地があると考えています。
島田氏:
その先には、AIとコンサルティングのより深い融合があると考えています。
AIをどう入れるか、どこに入れるかを考えるうえで、業務とシステムの両方を見られるパートナーは今後ますます重要になります。コンタクトセンター運営支援AIエージェントが、その相互シナジーの核となるサービスへ成長していくことを期待しています。
ご相談の流れ
- 以下の流れにて、まずはお気軽にお問い合わせください。
貴社からのお問合せ
コンサルタントからご連絡
※目安1~3営業日以内無料相談
※45分~1時間程度