企業紹介
NTTタウンページ株式会社様は、長年にわたり電話帳事業を通じて地域の店舗・企業と生活者をつないできた企業です。
一方で、スマートフォンやインターネットの普及、顧客接点のデジタル化、AIを含む技術革新の進展を背景に、現在はデジタルマーケティング会社としての変革を加速させています。
2026年3月をもって電話帳発行の終了を迎えた一方で、これまで培ってきた「地域の皆さまと店舗・企業をつなぐ」という本質的な役割はそのままに、形を変えて価値提供を広げている点が同社の大きな特徴です。
同社はホームページを起点にした集客支援、データベース活用、SMSを活用したDXソリューションなどを展開し、地域企業の販促や業務変革を支える存在へと進化しています。
NTT東日本グループのデジタルマーケティング会社として、地域企業に寄り添いながら、集客・販促・DX推進までを支援する「Your Marketing Partner」を掲げていることからも、単なる媒体提供企業ではなく、事業成長の伴走者としての位置づけを強めていることがうかがえます。
センターの機能と現場の業務
全国6拠点を束ねる現場像
重村氏:
私が所属しているのは、全国のセンターを統括するセンターマネジメントの担当部署です。
現在、札幌、東京、名古屋、大阪、広島、福岡の6拠点があり、50名~130名まで、規模には幅があります。
各センターではデジタルマーケティングサービスの営業だけでなく、カスタマーサクセスマネジメントや、お客さまの成果に寄与するためのインバウンド・アウトバウンド双方の業務も担っています。
私の部署は、各センターの目標管理や運営方針の策定、品質向上、スキル平準化までを横断的に支援しており、数字を見るだけでなく、各拠点の運営がきちんと機能しているかを日々確認する役割を担っています。
センター運営というと、問い合わせ対応や営業活動の管理だけを想像されることも多いのですが、実際にはもっと広い視点で、どの拠点でどの取り組みがうまくいっているのか、どこに困りごとがあるのか、策定した方針が現場でどう実行されているのかまで見ていく必要があります。
私の部署は管理だけでなく、各センターの成果向上を支援する推進役としての役割も担っています。
春日氏:
私自身は総務人事部で、全社の人材育成と採用活動を担っています。
今回のアセスメントも、センターの現状を知るためだけではなく、その結果を事業計画や育成施策にどう落とし込むかという観点で関わりました。
大きな柱としては管理者育成、シニア育成、そして販売強化にもつながるAIロープレの導入という三つがあり、アセスメント結果を起点に、それぞれをどう具体策へ落とし込むかを重視しました。
春田氏:
私はその中でも、主に管理職向け研修を担当しています。
日々の現場運営の中では、どうしても目の前の業務に追われがちですが、管理者の役割を整理し、組織全体としてどうマネジメントレベルを引き上げるかを考えることが、担当領域です。
佐藤氏:
私は資格取得推進と研修を担当しており、現在は特にシニア層、エルダー層向けの研修に力を入れています。
現場には豊富な経験を持つ社員が多く、その経験を次につなげていくことが会社全体の力になると考えています。センター運営を考えるうえでも、現場の知見をどう活かし、どう次世代へ渡していくかは非常に重要なテーマだと感じています。
重村様
組織再編後に浮かび上がった課題
再編後に見えた運営品質のばらつき
重村氏:
2025年8月に組織再編があり、再編後は「6センターを同じような機能で運営していく」方向に舵を切りました。しかしながら、実際に稼働してみると、センターごとに担う機能や文化の違いが大きく、KPI管理のやり方、品質改善の進め方、スキル定義、育成レベル、さらには良い取り組みの展開スピードに至るまで、かなりばらつきがあることが見えてきました。
各エリアで育ってきた人材の特性やセンターごとの色があるのは当然ですが、そのまま運営品質の差につながっていた点には課題感がありました。
当時の課題意識として大きかったのは、各センターの強みと課題を客観的に把握できておらず、優先的に取り組むべき課題が明確になっていなかったことです。
本当にそれが全社課題なのか、あるいは特定拠点に限った話なのかが整理しきれていませんでしたので、アセスメントによって良い点と悪い点を可視化し、打ち手につなげたいという思いがありました。
春日氏:
人事の立場から見ても、組織再編後に何が課題なのかをしっかり見極めたいという思いがありました。
特に感じていたのは、管理者育成が十分にできていないのではないかという点です。
ただ、それはあくまで内部の仮説にすぎないので、本取り組みを通じて、その仮説が本当に正しいのかを確認し、施策の優先順位を明確にしたいと考えていました。
春田氏:
私たちにとってもこの「組織再編」はこれまでにない大きな変化でした。
組織の課題をどう可視化するかという点について、内部だけでは見えない部分が多く、外部評価を入れることで、より明確に課題を捉えられるのではないかという期待がありました。
ちょうど次年度の事業計画を考える前の時期だったこともあり、そのタイミングでアセスメントを行えたことは大きかったと思います。
春日様
管理者育成に関する課題認識
1on1の質について
春日氏:
アセスメント前から、管理者育成に課題があると感じていました。特に課題が顕著だったのが1on1です。
会社として1on1を重視する方針はありましたが、実施率が高くない、実施しても質にばらつきがある、そしてそのやり方が本当に正しいのかを自信を持って説明できないという課題がありました。
マネジメント以前に、まずは上司と部下の基本的な対話の質をどう高めるかが出発点になると感じていました。
佐藤氏:
エンゲージメント調査を見ても、1on1の実施率自体は上がってきていますが、質の部分はまだまだ課題があると感じていました。
たとえば、1on1の中で自分のキャリアについて十分に話ができたか、将来の方向性について対話ができたかといった観点で見ると、キャリアや将来の方向性について十分な対話ができているとは言えず、1on1の質に大きな改善余地がありました。
数字だけを見ると進んでいるように見えても、中身までは伴っていないこのギャップについては、育成担当として非常に重く受け止めていました。
管理職研修においてもパフォーマンス向上に資する1on1をどう設計するか、部下の価値観や感情にどう向き合うかといった点は、従来の研修だけでは十分に扱いきれていなかった部分でした。
アセスメントの結果を受けて
客観的な評価による発見
重村氏:
アセスメントの結果を受けてまず感じたのは、各センターや本部は「一定の取り組みはできている」と思っていた一方で、外部から見た標準化レベルにはまだ大きな課題があったということです。
特に印象的だったのは、組織として機能している部分と改善が必要な部分が想像以上に明確になったことです。
全体としてどこが仕組みとして機能していて、どこが個人頼みになっていたのかが浮き彫りになりました。これは「組織として改善すべきポイントが明確になった」という意味で、大きな前進だったと感じています。
春日氏:
人事としては、当初から感じていた「1on1の実施率や質に課題があるのではないか」という仮説が、調査結果によって裏付けられたことに大きな意味がありました。
感覚的な側面が外部評価によって裏づけられたことで、管理者育成を本格的に進めなければならないという社内の共通認識をつくりやすくなったからです。課題が見えると、次にどこへ手を打つべきかも明確になります。
春田氏:
今まで感覚で行っていたことが、数値化されたことが非常に興味深い内容でした。
数値が一定水準まであったことに驚きつつも、数値化されたことにより立体的に理解できるようになったため、「実施している施策」と「実際に成果につながっている施策」に差があることが見えてきたのは新たな発見だったと思います。
春田様
この結果がどのような成果につながっているか
やって終わりにしないこと
重村氏:
アセスメントを経て最も大きかったのは、各センターの優良事例がどこにあるのか、どのセンターをモデルにすればよいのかが明確になったことです。
高水準でできている項目については、「このセンターのやり方を他拠点が学べばよい」という形で示しやすくなりましたので、実際に朝のミーティングや週次の会議の中で好事例の横展開を進めています。
これまでは他センターの取り組みを意識する機会が必ずしも多くなかったのですが、今は自分たちのセンターの弱点を意識しながら、他拠点から学ぶ流れが少しずつできてきました。
同時に、センターのマネジメント統括をしている私の部署としても浸透スピードを上げる仕組みづくりに着手しており、管理者の行動指標をマニュアル化し、場合によっては点数化も検討しています。
また、「方面担当」という形で、我々も特定センターの窓口となり、継続的に支援する体制づくりも進めています。
それに加えて幹部メンバーが月1回各センターを訪問し、オンラインだけでは見えにくい現場の声に直接触れる機会も始まりましたので、アセスメントの結果を仕組みへ落とし込む段階に入っていると感じています。
春日氏:
もっと大きかったのは、管理者によって役割理解やマネジメントスキルにばらつきがあることを、あらためて具体的に捉えられたことです。管理者に求められることは多いですが、その中でも特に重要なテーマとして見えてきたのが1on1でした。
1on1は一見シンプルに見えて、管理者としての基本そのものだと思っています。部下が抱えている課題や考えをどのように引き出し、理解するか。そのために何を意識して聞くべきか、どのように関わるべきかを体系的に学び、実践できるようにすることが、管理者に期待される役割だと捉えています。
実際に、2月のアセスメントによって現状が数値で可視化されたことで、どこに手を打つべきかが明確になりました。特に1on1の量と質の両面に課題があることが分かったため、5月下旬から6月上旬にかけて管理者向け研修を実施しました。
今後はその学びが定着し、行動変容につながっているかまで分析していく予定です
春田氏:
今回の振り返りの中で、1on1を単なる日常的な面談としてではなく、パフォーマンス向上につなげる視点で捉える考え方に触れたことは、私たちにとって大きな気づきになりました。
これまでもコミュニケーションの一環として1on1は実施してきましたが、今回のアセスメントを通じて、その時間をより深く、より意味のあるものにしていく必要性を改めて認識したと感じています。
新たにパフォーマンス向上専用の1on1を別立てでつくったわけではありませんが、普段から行っている1on1の中身を見直し、より深い対話ができるようにしていくことが、今後に向けた大きな活用ポイントだと考えています。
佐藤氏:
管理者向けの研修はこれまでも毎年実施してきましたが、日々の業務に追われる中では、どうしてもコミュニケーションのあり方が後回しになってしまう場面があります。
管理者も一人の人間ですので、意図せず相手に十分伝わらないコミュニケーションになってしまうこともあり、そうした積み重ねが現場の関係性や育成に影響してしまうこともあると感じています。
今回の結果を受けて、1on1に限らず、相手の成長を支える関わり方そのものを見直していく必要性を改めて認識しました。
こうした研修は管理者だけに必要なものではなく、私たち育成担当者も含めて、それぞれの立場で何ができるのか、会社の成長にどう関わっていくのかを考えるきっかけになるものだと思っています。
もちろん研修には時間も費用もかかりますが、毎年継続して各階層に対して実施していくことで、一人ひとりの育成力が高まり、それが会社全体の力につながっていくと思っていますので、今回の結果も一過性の振り返りで終わらせるのではなく、育成を組織全体で考え続ける土台として活かしていきたいと考えています。
佐藤様
今後の展望
再現性ある運営と前向きな組織へ
佐藤氏:
実際にシニア層、エルダー層向けの研修では、今後のキャリアや変化に対する不安の声が聞かれることもあります。
しかし、他社事例や同世代が挑戦している姿に触れ、自分の価値を捉え直していただくと、研修の最後には前向きな目標を語る方が増えていきます。この研修を通じて、一人ひとりが自身のキャリアや役割を改めて見つめ直し、意識や行動の変化につなげられるよう、研修は複数回に分けて実施しています。
また同時に、若手社員の育成も重要です。
若手がどのようなキャリアを描き、どんな悩みを抱えているのかをきちんと把握し、必要に応じて本社研修など外部の刺激にも触れてもらうことで、視野を広げていきたいと考えています。
シニアと若手、どちらか一方ではなく、両方が前向きに成長できる組織をつくることが、会社全体の変革を支える基盤になると思っています。
春田氏:
私が担当する管理職研修では、EQ(心の知能指数)診断を取り入れ、事後課題も継続してもらう設計にしました。研修直後だけではなく、一定期間を置いてから再度見ていくことで、本当にマインドや行動が変わったのかを確認することができます。
これまで以上に長い目線で育成を見ていく仕組みができたことは、今後の大きな財産になると思っています。
会社にとって大きな柱だった事業がなくなり、新しい事業へ進まなければならない今は、社員一人ひとりにとっても大きな転換期だと思っています。
もちろん不安を抱える人も少なくありませんので、私たち育成担当がやるべきことは、単に研修を実施するだけでなく、そうした人たちが少しでも前向きに挑戦できる状態をつくることだと感じています。
行動変容を見る仕組みを入れ、学びを現場につなげながら、一人ひとりが自分自身も会社の成長や変革に貢献できると思えるような支援を続けていきたいです。
春日氏:
もう一つの柱として人材育成の面では、AIロープレの活用にも期待しています。
AIが相手役となって実践的なロープレを行い、その結果を客観的な基準でフィードバックできるようになれば、指導方法のばらつきを抑えながら、優秀な担当者の対応を組織全体で再現できるようになると考えています。
当然導入して終わりではなく、売上や品質向上とどう結びつくかを見極めながら進める必要がありますが、育成の客観性と再現性を高めるうえで非常に可能性のある取り組みだと感じています。
また、シニア層が納得感を持って力を発揮できる環境づくりも欠かせません。やらされているのではなく、自分が何を期待され、どのような価値を発揮できるのかを理解してもらうための育成や仕掛けづくりは、今後さらに重要になると思います。
重村氏:
今後の大きなテーマは、やはり属人的な運営から脱却し、再現性あるセンターマネジメントを確立することです。
弊社としては、紙の電話帳の会社からデジタル会社へと価値転換を進める中で、全国どの拠点でも一定以上の品質を担保できることが非常に重要になります。
特定の拠点や特定の人に依存するのではなく、どのセンターでも改善が回り、成果が再現できる体制をつくることが、お客さまへの価値向上にも、グループ内での信頼獲得にもつながると考えています。
そのために現在進めているのが、管理者に求められる行動の明確化と、本部担当者が各センターを継続的に支援する体制づくりです。
管理者が何をすべきなのかを明文化し、本社と現場の接続を強めることで、浸透のスピードと精度を上げていきたいと思っています。
私たちが目指しているのは、次回のアセスメントでスコアを上げることではなく、悪い点があれば本社に頼らなくても自分たちで気づき、改善まで回せるセンターをつくることです。
その状態ができれば、結果としてスコアも自然に上がっていくと考えています。
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