■市場縮小期は単一事業の延長に頼らず、商圏内で事業を多角化する「地域コングロマリット経営」で面での需要獲得を図る視点が重要
■無借金経営にこだわり過ぎず、融資限度額の最大化や補助金活用による「投資財務」へ転換し、果敢に成長投資を行うことが不可欠
■社長一人の管理限界を突破するため、経営企画や財務などの専門組織を組成し、自らは投資判断と戦略に専念する体制へ移行すべき
■短期回収に終始する3年計画に加え、長期逆算で構造改革や新規投資を組み込む「10年ロードマップ」を同時に運用することが重要
■既存事業を徹底して高収益化し、そこで得た資金を次の成長領域やM&Aなどの新規探索へ循環させる「両利きの経営」が成長の鍵
地方企業を取り巻く「時流の変化」と100億円を目指すべき理由
現在、地方の経営環境は「人口減少」「コロナ禍の爪痕」「原材料費や人件費の高騰」「深刻な人手不足」「AI・DX導入による格差」など、多くの逆風に晒されています。
従来のビジネスモデル(下山経営)のままでは市場縮小に伴い、単一事業の業績は停滞・縮小を余儀なくされます。
しかし、データを分析すると、「企業規模が大きいほど、売上成長率および営業利益率(持続的成長スコア:2Sスコア)が高い」という明確な傾向が存在します。
市場全体が小さくなっているのではなく、成長する企業への「寡占化」が進んでいるのが実態です。
日本全国の企業の中で「年商100億円」を超える企業はわずか1%程度の狭き門ですが、市場の寡占化を勝ち抜き、高い競争力と高収益体質を維持するためには、この100億円という規模を目指すことが極めて有効な戦略となります。
地方で100億円を達成する「地域コングロマリット経営」
地方都市(小商圏)において、単一の事業だけで100億円に到達することは非常に困難です。
そこで重要となるのが、船井総研が提唱する「地域コングロマリット経営」です。
これは、本業の自社商圏内(地域)において、複数の事業を展開して多角化・複合化を図り、地域ブランドを活かしてドミナント(地域一番化)戦略を推進する手法です。
■面での需要獲得
地域の需要を「点」ではなく「面」で捕らえ、相乗効果(シナジー)を生み出します。
■ポートフォリオの変革
成熟・衰退期に入った既存事業に依存せず、時流に適合した成長率の高い新規事業へと資本を投資・シフトしていきます。
■成功事例
人口数十万人規模の地方都市で、既存のエネルギー事業や建設業からリフォーム、不動産、飲食などに多角化し、数年で40億〜50億円規模から100億円超へと急成長を遂げた事例(エネチタ様など)が全国に存在します。
持続的成長(100億円)を実現する「両利き」の経営戦略
100億円企業化を加速させるためには、既存の延長線上ではない経営手法の変革と「両利きの経営」が必要です。
【事業】両利きの事業開発(探索と深掘り)
既存事業の「高収益化(深掘り)」を徹底して稼ぐ力を高め、そこで得た資金を元手に、時代に合わせた成長事業の「新規開発・M&A(探索)」へ積極的に投資します。
【財務】両利きの資金調達(デットとアセット/EQ)
無借金経営(守り)に固執せず、銀行数の拡大による融資限度額の最大化(デット)や、補助金の活用、場合によってはメザニン・IPO・M&Aなど「投資財務(攻め)」へとフェーズを転換します。
データ上も「積極的に借り入れ・投資を行っている企業ほど成長率が高い」ことが証明されています。
【体制】組織化とガソリン(体制・人的資本)の強化
経営者直轄の限界(社長一人での管理の限界)を突破するため、ホールディングス化や内部統制の強化、専門部隊(CFO、人事、経営企画、DX/AIチーム)の組成を進めます。
社長自身は「投資判断・成長戦略」に特化し、間接管理ができる体制を構築します。
また、プロマーケット等の上場を活用してガバナンスを高めることも、成長の土台作り(攻めのための守り)として有効です。
10年ロードマップと中期経営計画の二刀流
経営計画を立てる際、3年間の「中期経営計画」だけでは不十分です。
3年計画では投資回収が短期で済む「既存の改善(進化)」しか盛り込めず、100億円に向けた「構造改革や新規投資(探索)」の検証ができません。
そのため、「3カ年中期経営計画」と「10年ロードマップ」の2つを同時に保持・運用することが必須です。
10年後の目指すべき姿(ロードマップ)から逆算して今打つべき手を配置することで、ブレない成長投資が可能になります。
地方で100億円企業を作るための「6つの要衝」
100億円企業への最短ルートを進むためのポイントは以下の6点に集約されます。
①「100億企業になる」という決意と組織への浸透
トップの強いコミットメントがすべての出発点となります。
②10年ロードマップの策定
理論上どのように100億円に到達するか、長期ビジョンを描きます。
③既存事業の高収益化と時流ビジネスの組み合わせ
本業の利益率を高めつつ、成長領域へ多角化します。
④専門組織の構築(人事・財務・内部統制)
経営者依存を脱却し、専門人材の招聘・育成を進めます。
⑤投資財務への転換と高収益へのこだわり
融資枠を最大化し、成長のための投資を果敢に行います。
⑥良質な経営者ネットワークの構築
すでに100億円を達成している先進企業や、チャレンジ精神の旺盛な経営者との関係(社会資本)を築くことで、成長スピードを劇的に加速させます。