取り巻く環境の変化
まず本題に入る前に、皆様に質問をしていきたいと思います。皆様の会社の10年後の組織はどのような計画をお考えでしょうか。具体的な組織図までイメージされておりますでしょうか。コロナの影響で売上の計画の見直しをされた会社様が多いというのは事実だと思います。例えば、今20億なので、5年後に30億にしようという計画を立てていたとしても、その30億になるための組織はどうなるのかといったような計画を立てていない会社様は多いのではないかと思います。具体的には、30億になったときの社員数や幹部と言われる人の人数、人数が増えたことによって新設される部署などです。例えば、大きくなってくると人材開発の部署を新設したり、そのような組織のゴールイメージやロードマップを描けているのかということを皆様に確認したいと思っています。これまでの経験上、多くの企業様では、そこまでは計画を立てていないという会社様は多いのではないかと思います。
では、どのような会社が多いのかと言いますと、基本的にはこれまでと同じように補充採用を続けていくということを念頭に置いている会社様が多いです。これはどういうことかと言いますと、離職が起きた分、少し事業を拡大して必要になった人材の分を、そのときに中途採用をして充てていくというものです。どちらかと言えば、計画的というよりはそのときそのときで必要な人材を採用していくようなイメージです。こちらのスライドの表ですが、よくご相談いただく会社様をイメージして作成した例になるのですが、2022年から2026年までの5年間の間にどういうふうに推移していくかというところを表しております。社員数30名の組織で離職率5%なので、年に一人二人ほどの離職者が出ると言う、一見すると非常に良い会社様で、年齢もバランス良く各階層に在籍しているような会社様の例です。このような会社様でご相談に来るのは、これまで離職が少なかったという良いところがあった故に若い人の採用がそこまでは進んでおらず、若手の人材が滞っている、不足しているというような状況です。そのような企業様は年に二人ほど辞めていきその分を20代、30代で補充採用したという例がこのスライドの表なのですが、社員数はあくまで補充ですので結果的には増えていかないですし、平均年齢は黄色く色付けていますが、若手が入るので少しは下がっていきますが、40代のままということでそこまで若返りを図れるようなものにはなっていないということです。なぜ、平均年齢をいうのかと言いますと、40代の組織で110%、120%の事業成長を見込めるというのは、なかなか難しいのではないかと思います。皆さんも容易に想像できるのではないかと思います。
110%、120%の事業成長をしている会社様は組織の構成としては、成長の伸びしろがある20代、30代で構成されていることが多いです。それは平均年齢が低いとも言えます。よくベンチャー企業で急速に伸びているというのは事業の爆発力みたいなところもあり、斜陽産業の安定期に入ってしまっているような自動車業界とはまた毛色が違うところもありますが、その組織に属している人材が若いという点で伸びしろがしっかりあるということが大いに影響しているとも言えるかと思います。私自身、入社6年目で20代ですが、新卒1年目の子たちと比較すると成長の幅は非常に狭まっていると個人的にも実感しています。
ともなれば、40代の社員と新入社員を比較すると違いは明らかでして、0歳からの1年と私たちの1年が全然違うように、新卒社員と比較しても同じようなことが起きているということです。40代の方に何か新しい事業をさせていくことや今までと同じ仕事を110%、120%の力でやってもらうというのは非常に酷な話かと思います。このスライドに書いてありますように「現状維持は衰退の始まり」というふうにありますが、このままの売上を保っていこうと計画をしている会社様であれば、この現代社会においてはどんどん縮小を強いられるということになるかと思います。
では、スターターは同じような会社であっても、社員数の約15~20%の社員を新卒採用し続けた場合どのようになっていくのかということですが、実際新卒採用始めますとこれからまだまだ成長していく、とは言え150%ではないですが、緩やかに成長していこうという会社様ではこのような計画を立てる企業様は非常に多いです。スライドを見ていただきますと、スタートの組織は一緒ですが、5年後の2026年は30名の社員数が45名ということで1.5倍になっています。また、平均年齢も45歳から36歳へと9歳も若返っているような状態になります。このような人員構成の企業様であれば、110%や120%の事業成長を見込めたり、新しい事業への参入も比較的検討しやすくなるということは皆様想像できるのではないかと思います。
つまり売上目標と比例した人員計画を立てていく必要があるということです。具体的に言いますと、売上が110%であれば、単純に人員も110%まではいかないですが、既存社員の成長もありますので、しかしそれを実現するには人員の増員は必ず必要になってくると思われます。もちろん最近ではIT化やDXなどと言いますが、やはりそこにも限界があるかと思います。そして、成長率に比例した組織体にしていく、これはどういうことかと言うと、成長率に応じてある程度の理想的な平均年齢というか組織の人員構成というのは決まっていますので、そこを目指していくのが非常に重要になります。このように計画を立てることが、まず皆様にやっていただきたいこととして重要なことだと思っておりますので最初にお伝えをいたしました。
続いてもう一つ質問があります。御社の10年後の幹部候補というのは何人いらっしゃるのかについてです。幹部候補についてよくご相談いただくのは、次の幹部候補がいないということです。具体的に言うと、30代、40代の層のところがそれほど厚くなくて、今の幹部は定年が10年以内ぐらいにきてしまうということで、次の幹部候補が居ないということです。皆様のところではどうでしょうか。
そのような会社でよく計画を立てられているのは、やはり中途採用でも幹部候補の採用ということです。これは全く悪いことではありませんが、メリットとデメリットを言いますと、メリットとしては育成の手間が省けるので短期間で成果が出しやすい、30代、40代が抜けているので次の人たちをすぐ作っていく、次の世代にパスしていくという意味では、中途採用は重要になってくると思います。そして、経験値も積んでおりますので即戦力として即効性が高いです。そのような人材を入れていくことによって、専門的スキルや知識を自社に外部からインストールしていけるところも非常に大きなメリットだと思います。新卒採用を始められる会社様でもそのような人材が不足している場合は、外部から採用してくるということも私たちのほうからも一つの提案としてすることが多いです。
ただ、デメリットももちろんあります。それは、幹部候補になるようなプロ人財と市場では呼ばれることが多いと思いますが、そのような人材の採用は非常に難しいということです。コロナ禍において求人倍率は落ちましたが、プロ人財に関してはどこの企業も良い人材が欲しいということで求人倍率は下がらなかった、むしろニーズが高まったというところもありますし、採用するとなると少なくとも年収が約700~800万は必要になってきます。そのためなかなか採用ハードルが高いということは皆様もご存知の通りだと思います。また、プロ人財の離職率は高くなってきます。急に優秀な人を採用して5年後、10年後も自社にいてくれるかというとイメージしにくいのではないかと思います。やはり私のお付き合い先でも中途採用での人材の離職率というのは新卒採用で入ってきた子たちよりも高くなってしまいます。その理由として何が挙げられるのかと言いますと、MVVのミッションやビジョン、バリューなどの会社の考え方が浸透しにくいというのが大きな要因かと思います。同じ方向を向いていないとなりますと、スキルは高くても、足並みを揃えていくことが難しくなりますし、長期的に在籍していただくということが難しくなるタイミングも出てくるということも大きなデメリットかと思っております。
そのため私たちの提案としては10年後の組織を支えるのは新卒社員と思っています。先にデメリットをお話しすると、育成までに時間がかかることだと思います。10年後ということで時間をかけてしっかり育成をしていかないといけないということや最初の入り口のスキルが何もないという点はデメリットだと思いますが、それを上回るメリットがあると私たちは考えています。まずは、スライドに書いてありますが、まとまった数の計画的採用ができるということと計画的育成ができるということです。
この計画的採用というのは、計画的に定期的に同じことをするので、新たにゼロイチでスタートするというのは一番最初だけなので採用効率が上がっていきます。また、一人当たりの採用費も削減できます。特に、中途の幹部候補、プロ人財を採用するよりは一人当たりの採用費を大幅に削減できます。大体どれくらいなのか気になると思いますが、新卒採用されている会社の一人当たりの採用費は学生を集めやすいような会社様で言うと、大体一人当たり約2、30万で納まる、全体でみても約50~70万で納まることが多いです。ただ、新卒採用を初めて行うという会社で言うと…