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企業紹介
株式会社電巧社様は1928年創業の老舗企業として、長年にわたり電気に関わる幅広い領域で事業を展開してこられました。ビル用電気設備、省エネ、工事、産業用電気品、IT機器、配電盤、サイバーセキュリティ、ソフトウェア開発といった多様な分野をカバーしており、ひとつの会社の中に複数の専門機能を持つことが特徴です。
製品を販売するだけでなく、製造、施工、保守、システム開発まで一気通貫で関わることができる体制が、同社の大きな強みです。
同社は、もともとは大手総合電機メーカーのビジネスパートナーとして、電気商社機能を基盤に発展してきた一方で、その後は配電盤製造、工事、システムインテグレーションへと事業を広げ、時代の変化に応じて更新し続けてきました。
長い歴史を持つ企業でありながら、既存事業を守るだけでなく、新しい技術や市場ニーズに合わせて進化してきたことが、現在の事業構造にも表れています。
同社の中でも特に象徴的なのが、配電盤事業です。
表からは見えにくい存在でありながら、万が一トラブルが起これば停電や設備停止につながり、社会や産業に大きな影響を与えます。
熊谷様の「配電盤は社会インフラの基盤です。安定して電気を届けるという意味で、非常に重要な役割を担っています」というお話からも、自社製品への使命感が伝わってきます。
こうした事業の在り方を象徴しているのが、「電気のコンシェルジュ®」という行動指針です。
同社では、一流ホテルの総合お世話係であるコンシェルジュのように、お客様の要望を幅広く受け止め、知恵と経験で最適な答えを導く存在でありたいという考えを掲げています。
熊谷様も、電巧社という社名には「電気の仕事を巧みにこなす会社にしたい」という意味合いが込められていることを踏まえ、単なる製品販売や製造ではなく、お客様の困りごとに対して最適解を組み合わせて提案する姿勢を大切にしていると語られました。
「商品ありきではなく、お客様の課題に対してどう応えるかを考える。それが当社の基本姿勢です」という趣旨の発言は、同社の本質を表しているといえます。
依頼の背景
新工場構想から始まった転機
今回のご相談の出発点となったのは、新工場の建設計画でした。
創業100年という大きな節目を目前に控える中で、同社では次の成長に向けた設備投資と生産体制の再構築が重要な経営テーマになっていました。
既存工場の中でも改善を重ねてこられたものの、敷地や動線、設備配置の制約がある中では、生産性向上にも一定の限界が見えてきていたといいます。
そのため新工場への移転は単なる場所の変更ではなく、今後の成長を支える新しい生産基盤づくりとして位置づけられていました。
熊谷様も「工場を新しくする以上、生産高も生産効率も上げていかなければならない」と語られています。
新たな工場では、従来よりも広いスペースを生かし、自動化や搬送の効率化も取り入れながら、設備や工程の配置そのものを見直すことで、より効率的なものづくりを実現したいという構想がありました。
その背景で浮上したのが、東京都の設備投資支援制度の活用です。
今回の計画は補助金ありきで組み立てたものではなく、事業上必要な投資が先にあり、その実現性をより高める手段として補助金を活用したいという流れだったと整理できます。
この点は、事業の必然性が前提にあるという意味で非常に重要です。
「制度があるから設備投資を検討する」のではなく、「会社の将来に必要な設備投資を実現する」ための一つの手段として、補助金活用の可能性が具体化したのです。
一方で補助金申請には、設備投資するという事実だけでは不十分です。
なぜその投資が必要なのか、それによって生産性や将来の収益性がどう変わるのか、さらには会社としてどのような成長を目指しているのかまで、第三者に理解される形で示す必要があります。
現場では共有されている強みや意図を、外部に伝わる論理に変換することが大きな課題になっていました。
こうした背景から制度の知識だけでなく、事業全体を見ながら整理してくれるパートナーの必要性が高まり、船井総研への相談につながっていきました。
船井総研の選定理由
伝わる言葉へ変える
同社が補助金支援パートナーに求めたのは、単なる申請代行にとどまらず、自社の事業や強みを深く理解してともに動いてくれる「伴走者」でした。
今回の設備投資は、単なる現場改善ではなく会社の将来を見据えた経営判断です。
しかし配電盤事業における技術や工夫は、現場では当たり前であっても外部からはその価値が見えにくい側面があります。だからこそ制度の要件を満たすだけでなく、自社の取り組みや導入効果を第三者に伝わる言葉へと再構成する作業が不可欠でした。
こうした背景から現場のリアリティを正しく汲み取り、説得力あるストーリーへと昇華させる「現場を知る翻訳者」として、船井総研が選定されました。
支援の内容
申請と面接を支えた実務支援
今回の支援の中心となったのは、設備投資計画を補助金申請に適した形へ整理し直すことでした。
新工場で実現したいことは社内では共有されていても、それを投資の背景、現状の課題、導入設備の必要性、期待される成果、将来の成長シナリオまで、読み手にとって分かりやすい順序で構成する必要があります。
その意味で今回の支援は、申請書類の整備というより、事業そのものを見える化する業務に近かったといえます。
熊谷様は、「設備の必要性や期待される生産性向上効果を、定量的かつストーリー立てて整理していただけたことが、非常に大きな価値です」と語られました。
設備投資の必要性は感覚的には理解していても、それを数値や論理で説明するには別の整理が必要です。それを船井総研が客観的な視点で構造化を行ったことが、今回の成果の土台になっています。
さらに、第2次審査を見据えた面接準備も、実践的な支援だったと伺えます。
申請書類の内容を経営者自身がどう説明するか、どの質問にどう答えるか、どこを掘り下げられやすいか等を整理したことで、本番でも自信を持って対応できたといいます。
熊谷様の「現場の実態にまで踏み込んだ緻密なヒアリングを行っていただけたことで、私ども自身も改めて課題や業務フローを客観的に再整理することができました」というお話からも、支援内容は受動的な代行作業ではなく、対話を通じた思考整理のプロセスでもあったことが分かります。
支援の成果
採択を超えて生まれた共通言語
本取り組みにおける成果は、単なる「補助金採択」という資金調達面の成功にとどまらず、補助金制度の活用により新工場に向けた設備投資が具体化したことに加え、申請プロセスの副産物として「社内合意形成の円滑化」と「経営基盤の強化」という価値が創出されました。
1. 組織の意思統一と現場の理解促進
補助金申請にあたり作成した事業計画は、社内に対して「なぜこの設備投資が必要なのか」を合理的かつ具体的に説明するツールとして機能しました。経営陣の意図や将来的な成長ストーリー、導入効果が可視化されたことで、業務プロセスの変更を伴う現場スタッフとの認識共有がスムーズに行われ、組織全体が同じベクトルを向く体制が整いました。
2. 事業計画の「経営資産」化
今回策定した計画書は一回性の提出物ではなく、今後の設備投資や組織運営における継続的な指針として定義づけられます。
制度活用を契機に自社の強みと中長期的な将来像を言語化したことは、組織にとって持続的な価値をもたらしています。
3. 経営判断の再現性向上
課題の特定から目的の明確化、目指すべき姿の定義に至る一連のプロセスが定着したことで、今後の意思決定の質と再現性が向上しました。本支援は一時の制度対応で終わることなく、同社における「投資の合理性を論理的に示し、組織を動かす経営」の土台構築に寄与しています。
新工場で実現したいこと
自動化で進める生産性向上
新工場で同社が目指しているのは、その空間を使って工程全体をどのように再設計し、生産高と生産効率の両方を高めていくことです。
熊谷様は、「これまで手作業に依存していた工程の自動化を推し進め、限られた人員でも安定して高い成果を生み出せる生産体制を構築したいです」と語られていました。
これは、人が本来注力すべき業務に時間を使えるようにするという意味でも重要です。技能を持った人材が高度な判断や改善活動に関われる状態をつくることが、新工場構想の本質にあると考えられます。
また、今後はハード面の設備だけでなく、ソフト面の高度化も視野に入れています。
3D CADデータの活用や設計支援、将来的なAIの導入など、製造現場の周辺業務も含めて効率化していく可能性が示されていました。
「AIの活用によって十分な業務効率化が見込めるのであれば、こうした先進技術は積極的に取り入れていきたいと考えています」という趣旨の発言からは、設備投資を一過性の刷新で終わらせず、継続的な改善の起点にしたいという意識が伝わってきます。
こうした構想を支えているのは、変化を前向きに受け止める企業姿勢です。
長い歴史を持つ企業では、現状維持が優先されがちですが、電巧社様はむしろ「次の100年をどうつくるか」という観点から、新しい設備や技術を積極的に取り入れようとしています。新工場は、その象徴ともいえる存在です。今後の成長を支える製造基盤として、そして次世代の働き方や学び方を実装する場として、大きな役割を担っていくことが期待されます。
今後の展望
人材育成と次世代への備え
今後の課題として熊谷様が挙げられていたのが、若手人材の育成です。
新しい設備を入れることは重要ですが、それを使いこなし、現場に定着させ、さらに次の改善へつなげていくのは、最終的には人の力です。
「一番大きな課題は人材育成です」という言葉は、今後の成長において最も重要なテーマであることを端的に示しています。
また熊谷様は、「若い方々が早期に技術を習得し、できることが増えていけば、自ずと仕事の面白さややりがいも感じられると考えております」ともお話しされており、本人の努力だけではなく、会社として人材が育つ仕組みを整える必要があると認識されていました。
同社は100年企業という節目を目前にしながらも、現状にとどまることなく、新たな挑戦を重ねておられます。新工場の構想をはじめ、人材育成、自動化、AI活用など、次の時代を見据えた取り組みを着実に進められている点が印象的です。
今回の取り組みも単なる設備投資や制度活用にとどまらず、これからの成長を支える基盤づくりの一環として位置づけられており、次の100年を見据えて同社の挑戦はこれからも続きます。
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