皆さんこんにちは Funai onlineの宮井です。
「社員の力を引き出す組織作り」というテーマでお話を進めていきたいと思います。
本日ご登場頂くのは、早期離職を未然に防ぐ採用支援ツールを提供されているmitsucariの表社長です。
表社長どうぞよろしくお願いします。
(表社長)
よろしくお願いします。
(宮井)
表社長は、適性検査を通じて、社員と応募者のマッチングを見たり、社員同士のコミュニケーションを改善していくことで、離職や社員のエンゲージメント向上に繋がるような「社会全体の適材適所」を実現するためのサービスを提供されています。
既に4,300社以上が導入されているということで、つまり4,300社以上もの人材開発に関わるデータを取り扱われているということで、まさに今日の社員の力を引き出す組織作りというテーマに最適ですね。
本日、表社長にお聞きする内容はこちらになります。
それでは一つ目のテーマから行きたいと思います。
人的資本経営とは
そもそも人的資本経営ということなんですけれども、これは何なのか?
皆さんに解説して頂いてもよろしいでしょうか。
(表社長)
人的資本経営というお話なんですけれども、経済産業省のホームページに、
「人的資本経営とは人材を「資本」として捉え、その価値を最大限に引き出すことで、中長期的な企業価値の向上につなげる経営のあり方です。」
というふうにあります。
もしかしたらお聞きの方は、
「何だその当たり前のことは」と思われるかもしれません。
人が企業の価値を生み出す源泉である、ということ。
その「人」を今までは、例えば、「コスト」と捉えるような考え方もあったけれども、そうでなく「資本」として捉えて、それが新たな価値、創造を生んでいくという考え方です。
人的資本経営という話になると、上場企業がやるものというイメージがあるんですけども、定義で考えると上場企業どころか全ての企業。そしてよりその人の影響力が大きい社員数が少ない会社であるケースの方が多いと思っています。
本当に全ての企業、特に中小企業の皆様にも必要になってくるの考え方、必要になってくるというか、もう既にやられているところがほとんどだと思うんですけど、考え方なのかなと思っています。
(宮井)
ありがとうございます。
今回この記事を読んでくださっている大半の方が、中小企業の経営者だと思いますので、人的資本経営と聞くと、まさに今表社長がおっしゃった通り、
「上場企業のことだから自分は関係ない」と、今この記事から離脱しようと思った方もいるかもしれません。
が、今回こうやってテーマに取り上げたのも、もちろん上場企業は義務化されていますけど、中小企業こそが一人一人の力を最大限引き出す必要があると考えているので、今回このテーマを取り上げています。
引き続き読んでいただければと思います!
(表社長)
そうですね。
まさにその通りです。
最近「人的資本経営」とよく聞くというのは、多分皆さんの感覚なので、それは何故なんだろうというところを上場企業の会社の例を見ながら、少しお話ししたいと思います。
(宮井)
お願いします。
人的資本経営に関する世界の取り組み
(表社長)
こちらは、S&P500というアメリカのインデックスのデータです。
収益の源泉はどうなっているか?
タンジブル、インタンジブル、英語で言うとそのまま、触ることができる資産、有形資産と無形資産というのが多分日本語として正しいと思います。
それが、どれくらい収益に貢献しているかを年代別に表したグラフです。
1975年は、ほとんどの収益が有形資産から生まれてきました。
しかし今はもうほとんど、いわゆるバランスシートには載っていない知財や、人が生み出す何か新しいものが収益の源泉になってきています。
上場企業に投資している人から見たら、これは情報開示してもらわないとどんな会社かが分からないという要請が多分あるんだろうと思っています。
一方で中小企業の皆様でも、一人一人が生み出す新しい価値は、大きい会社よりも多いと思いますし、皆さんも感じられているところではと思います。
こういうところに着目して、それをどういう指標かを見ていけば人的資本経営が出来ているのかを考えたり、働いている社員の皆様が活き活きと働く状況を作っていくことは、日々考えられていることなのではと思います。
どういうことを指標化するのが良いか見ておくのは、とても意味があることかと思っています。
(宮井)
収益の源泉というのは、もう少し具体的にイメージしやすいように言うとどういうことになるでしょうか?
(表社長)
例えば、不動産と工場から売上が生み出されているというのはすごく分かりやすいと思います。
一方で、例えば人が作り出した形ないものとは言いながらも、例えば知財や特許、新しいアルゴリズムのようなものもバランスシートにはそれがいくらなのか、載るケースもあるのですが、基本的には載っていません。
そういうところから収益が生み出されていて、根源は新しいものを考え出す人、人の発想であるから、結果的にこういう売上のバランスになっています。
(宮井)
ありがとうございます。
(表社長)
では、どういうことを話さなければいけないのかというところです。
人的資本経営というところが、人的資本の開示義務というものとごっちゃになっているケースがありますので、ここを少し説明します。
日本では、次の決算期、3月に決算で出てくると思うんですけど、決算期から人的資本をどれくらい有するのかを、ある程度どういうデータを出さないといけないか決まっていて、開示しなければいけないことが上場企業では義務化されます。
海外は進んでいて、ドイツとアメリカの企業が先進的です。
ドイツの企業の開示資料より、ドイツ銀行をご紹介します。
行銀と言いながら証券もかなりたくさん持っている、いわゆる金融のコングロマリットと言われるような会社です。
金融なのでいわゆる資本市場の要請に、きちんと答えなければいけないというモチベーションもあるというところで、どんな開示をしているかというレポートになります。
・今、従業員は何人いますか?
・何カ国の人で、その人たちの国籍は何か?
・パートタイムや年代別、いくらお金をトレーニングに使っているのか?
こういうことを載せています。
結構ここも面白いですが、LinkedIn(リンクトイン)という就職や仕事のSNSにどのくらいフォロワーがいるか、こういうことまで出しています。
人的資本は、今いる人ではなくて、これから私たちが採用できることを示す、そういうインセンティブもあります。
LinkedInにこれだけフォロワーがいるから、その気になったらいくらでも採用情報を送れますと、暗に示しているのかなと思います。
そして、次が皆様がイメージしやすい、いわゆる人的資本開示になるかと思います。
女性のマネージングディレクターと、いわゆる本部長クラスのイメージや支社長等、管理職の中で上位のポジションの方がどれくらいいるか。
部長、課長クラスの人がどれくらいいて、ここからどういうふうに今までなってきているかを書いて、いわゆる女性の管理職比率というところをキレイに整理して示している一つの例としてあります。
(宮井)
すごい細かく出されているんですね。
(表社長)
会社によっては年代と国籍別のグラフのマトリックスみたいなものを出している会社もあります。
やはりその辺、ダイバーシティで色々な人がいて、色々な背景の知識を活かせているというアピールで、将来的にはそれが新しい価値を生むのではという期待にも繋がるので、ある程度株式市場の目線にも繋がっていきますけれども、本当にこれは義務だからある程度やっている部分もあります。
ですが、社内にどういう人がいて、実は他の人と違う発想や今自社が求めている考えを持っている人はどこにいるんだろうと、ある程度可視化できていた方が色々なアクションを取りやすくなりますよね。
これは企業規模によらずにいるところです。
もちろん弊社にも女性の社員もいます。
例えば、我々のサービスを利用される人事の方は、女性の方もかなりいらっしゃいますので、どういう目線で見るのか聞いたりもします。
そういうのを自然に、よりやりやすく出来るようにしていくには、その会社の将来の売上や価値創造というものに効いてくるのではと思いますね。
(宮井)
そうですよね、ありがとうございます。
本当にドイツの企業が進んでいるなと思ったのは、日本だと人的資本の情報を開示している場合には、結構偏ったというか、みんな同じような数字をある程度並べているなと感じるところがあるんですけれども、LinkedInだとか、キャリアWebサイトのぺージのインプレッションとか、こういうのも確かに一つの情報なんだと思いました。
(表社長)
はい、そうですよね。
(宮井)
やはり海外の方が進んでいるんですね。
(表社長)
認定機関が海外を中心にありますからね。
ですが、日本国内の企業でも力を入れているところもあるので、そちらもお話させて頂ければと思います。
人的資本経営に関する日本国内の事例
今回、2社ほどお話させて頂きます。
1つ目が、旭化成の決算の資料です。
2022年度の決算の資料です。
どう経営基盤を強化していくのかという時に、「終身成長」、つまりある意味死ぬまで成長していくのと、共創力で未来を切り開く“人は財産、すべては「人」から”とありますが、こういうスローガンを出している会社は多いですが、すごいのは、KPIで高度専門職に任命された方が2024年は300人いて、21年から増えてますというところです。
高度専門職ということは、もちろん僕は旭化成の社員ではないですが、おそらくこの終身成長という形で、年齢によらずこういうスキルがあれば、すごい人だということを示していて、そこに任命された人が300人になっているので、最近の言葉で言うとリスキリングや生涯学習等ということをもう実践しています。
あと、そういう成長行動をとっている、エンゲージメントしている人が増えている、その数値が上がっていることも示したりとか。
競争とは色々な発想を共に創りだして生み出していくことなのではないかと思っており、そこでは女性と外国人の方の割合も増やしているという数値を出して、これをやるためのKPIをきちんと伸ばしていると示されています。
上場企業なのですごいことをたくさんやっている感じがありますが、社内の課題を整理して、数字が上がっていけば、ある程度人の面でも見えます。
人に関して言えば、中長期的にしか成果に繋がらない部分もありますが、ここはしっかり追いかけていこうという部分をきちんと定義して見ているので、将来ここ数年、もしかしたら10年とか20年の単位できちっと成長していくのでは、という期待感が出てきますよね。
(宮井)
そうですよね。
自分たちの一番伸ばさなければいけない課題を、しっかりと掘り下げている感じは受けますね。
(表社長)
そうですよね。
次は、味の素のレポートです。
どちらかというと数値というよりは、すごいなと思ったのは
・志への共感
・生産性向上
・顧客志向
というものが、会社として大事だとか、顧客志向が大事だとか、志、おそらくミッションへの共感が大事だと、多分皆さんが考えられたりすると思うんです。
おそらく因子分析というものなのではないかと思います。
分析をされて、事業利益や売上に繋ることが分かったので、さらにこれを伸ばしていきます、というのを解析されたりしています。
人的資本のデータに関していうと、本当にその数字を上げたら意味があるのか?というところは、割とドライな経営者だと考えられることがありますが、私個人としては全く効かないという会社は多分ほぼないと思っています。
やはりその会社のミッション理念に共感しているとか、お客様志向というのはおそらくいくらかは効いていて、そこがもし不安なのであれば、こういう分析はそんなに実は難しくなくできるので、こういう分析をしてやっていく、そういうものをきちんと示している。
これが売上という、いわゆる資本市場で評価されるものに繋がっている。
それも分かって、さらに社員に向けてやっていると言われると、それは将来的に株価が上がりそうだというのは投資家には感じられるという形式になっている気がします。
(宮井)
そうですね。
(表社長)
ここから次は3月期なので、決算が出てくるのは6月になると思います。
統合報告書というところの中とかに、こういう情報が色々出てくることが、とても楽しみだなと思っております。
(宮井)
本当ですね。
色々な企業の報告書を読みたいなと思いました。
このように、既に取り組まれている企業が出てきているとは思うんですけれども、これから、まだ取り組んでいない企業は具体的にはどのようなことから取り組んでいったらいいでしょうか?
これから人的資本経営に取り組みたい企業は何から取り組めば良いか?
(表社長)
約4,000社くらいの上場企業の中でもこのレベルの報告書を出しているのは、上場企業の中でも30%くらいです。
すごいなとびっくりする必要は全然なく、すごく進んでいるところがある、という認識でいいかと思います。
けれど、すごく参考になるところがポイントです。
では、どのようにやったら良いかということですが、人的資本開示の界隈の中でいうと、これを一気に推し進めたのは、伊藤レポートと言われるような伊藤先生という方が書かれたレポートというものです。
「人的資本 伊藤レポート」でGoogle検索して頂ければ出てきます。
その中にもありますが、何をやったらいいのかというと、当たり前と言ったらあれですけれども、では現在事業における課題とは何なんだろうかを考えて、あるべき姿、なりたい姿と現状というものを理解して、そこを繋いでいくような指標というものを人の観点でも見つけていく。
例えば社内でデジタル化が進んでいないという課題であれば、やはりデジタルが分かる人を何人くらい採用したらどれくらい広まるよね、と。
それは完璧にそうか、どうかは分からないにしてもイメージがつくと思うんです。
それを例えば一つのKPIの数値において、それがきちんと改善しているかを見ていくというところで、まずは課題と現状の姿のギャップを認識して、それをきちんと計測できるデータをまずは集めていくことがすごく大事なのかなと思います。
まず集めて、ある程度集め終えたら、それを加工して打ち手ににつなげていくというのは結構いかようにも出来るので、必要なデータをきちんと貯めていくことが大事だと思います。
なので、今いる社員の中で、こういうことが出来る人は何人なのか数えてみて、今で言うと2023年の2月くらいだとこれくらいの数で、半年後どれくらいだろうと定期的に数えていけば立派な人的資本開示のデータになっていくと思うので、そういうところから始められるのがいいというか、もう極めて当たり前のことなのかもしれないですが、そう思っております。
(宮井)
そうですよね。
まずどの項目で、どんなデータを取るかを決めて、データをとり始めるところからスタートしないと何もスタートしないですものね。
(表社長)
そうですね。
これって日記やお小遣い帳と一緒で、つけ始めた最初はつまらないですけど、2回目、3回目くらいになると経年でどういう動きをしているのかが見えてきて、面白くなってくるんですよね
これ、僕だけかもしれないですけど、ご経験あるんじゃないですか?
1回だけだと、「なんだろうこの数字の羅列は?」となってしまいますが、2回目だとこう変わったんだという変化が出てきて、3回目くらいになってくると立派なデータになるので、この数値がいい指標、いわゆるKPIになりそうだと感じられるのであれば、それを数えて貯めてみることをお勧めします。
(宮井)
貯めていった後にどんなことをしたらいいですか?
貯まって面白そうだなこのデータとなってきたら。
(表社長)
例えば先ほどのデジタル人材の数で、3人が4人になって5人になって増えている中で、きちんとデジタルのツールを皆が使えるようになっているかというところをトレースしていって、上手くいっているのであれば、それを今毎年1人ずつ増やしていったのを2人ずつ増やしていこうと少し加速させてもいいと思います。
一方で、人数増えても上手くいっていないと感じるのであれば、デジタル化とはどういうことなのか、もっと別の例えばデジタルツールのサービスをもっとたくさん入れることを数値で置いてみたらどうなるかなど、いわゆるPDCAを回していく形になるかと思います。
自分があるべき姿に近づいているかをチェックしていくのが良いのかと思います。
(宮井)
ありがとうございます。
そのPDCAを回していこうとなった時に、やはり重要になってくるのは、何に取り組んだらいいのか?というところかと思います。
恐らく「人材版伊藤レポート」を読んでもらうと、たくさんの項目が並んでいて、どうしたものかと思うかと思います。
今日その話をしてしまうと、全然時間が足りなくなってしまうので、一番どの会社にも絶対的に関わってくるであろうダイバーシティに関して、今日は取り上げて深堀をしていければなと思っています。
そもそもダイバーシティがなぜ重要なのかというところから、お願いします。
人材のダイバーシティがなぜ重要なのか
(表社長)
今、宮井さんがおっしゃった伊藤レポートにおけるダイバーシティとは、一体どんなものか。
調べていただければ出てきますが、
「知・経験のダイバーシティ&クルージョンの取組が大事」
と書かれています。
詳しくは見て頂けたらと思います。
ダイバーシティと聞くと、結構皆さん、それをやるとイノベーションが起きるでしょ?という、そういう感覚ってありますよね。
それは半分正解で実は半分間違いなんです。
なので、そこをきちんと考えるのはすごく大事です。
どういうことかと言うと、経営学におけるダイバーシティの分類には、色々な分類がありますが、今日一つもし覚えて頂けるのだったら覚えて頂きたいのは、タスク型とデモグラフィー型というのがあります。
タスク型は簡単に言うと可変的・選択可。
厳密にはキレイには分けきれませんけど、グラフィティー型というのは不変的・選択不可という整理がされます。
デモグラフィーは例えば年齢、性別、国籍等、全く選べないかというとそうでないケースもこのご時世ありますが、とはいえなかなか自ら選択するのは難しいというものがあります。
一方でタスク型というのは、例えばコミュニケーションスタイルや今までどういう教育を受けてきたか、そういったものはご自身で選択することができます。
例えば今からでも学校に行って変えることもできたり、変えるというか、追加するというのが正しい言い方ですけど、出来たりします。
ところで、ダイバーシティとは、こういったものの多様性というものを自社で担保していくということだと理解して頂ければ良いと思いますが、これは必ずプラスかというと、実は経営学においては40年くらい様々な分析や実験があります。
著名な早稲田大学の入山先生の言葉を引用すると、例えば知識や経験なのかというものがタスク型で、性別、国籍、年齢がデモグラフィー型です。
一般にタスク型つまり色々な経験をした人や色々な知識を持っている人のダイバーシティ、そういう人が社内にいるという状況は組織にプラスの影響をもたらします。
一方で、デモグラフィー型は組織にプラスにならないどころか、場合によってはマイナスの影響を及ぼしかねないことが分かっているというのは結構ポイントです。
えっ?て思われるかもしれないですけど、どういうことかと言うと、例えばこの写真のイメージで言いますけども、文系の女性のような人たちと陽気な男性のようなグループ。
このグループを混ぜると、やはり人間は見た目で、グループを作りやすいという特徴があるんです。
なんとなく分かりますよね。
近い知り合いでつるんじゃう、というようなこと。
そうすると、ここのグループは別だから対立があるんだというふうに思い込んでしまうような、そういうことって起きてしまう事が分かっています。
これが一つの分かりやすい、デモグラフィー型でチームをごっちゃにし過ぎてしまうと起きる対立みたいなものです。
実は話はもっと複雑です。
それは解決出来ないのかというと、実は解決する方法もあります。
端的にダイバーシティにすると、今までの実証実験下では、すごく上手くいくケースというのがあり、それは経験や知識が違う人たちを一緒にするというものです。
様々なアイデアが出るためイノベーションが起きやすいことがありますが、分かりやすい国籍や性別で分け過ぎてしまうとそうでもない結果が起きているというのが、今までの実証実験にあります。
(宮井)
よくダイバーシティの文脈では、女性か人種かみたいなデモグラフィー型の話が多いかなと思ったんですけど、伊藤レポートでも知と経験の方をダイバーシティが重要と書かれている、というのがポイントなのかなと思いました。
(表社長)
そうですね。
ただ、話は少し複雑でして、タスク型のダイバーシティを生むのは何かと言うと、それは実は結構人種や性別によって、それが根源的には影響し合っている可能性というのは、もちろんゼロではないです。
今はすごく変わっていますけど、端的に言うと、進学率が性別によって違う国もあるでしょうし、日本もおそらく数十年前であれば、多分そこにすごく差があったことももちろんあったと思います。
なので分かりやすいところで言うと、そこが影響してくるということは、その因果のステップが少し先なんだけど、あると思います。
とはいえそこを安易にイノベーションが起きるんだ、とやったら、対立だけ起きるということが平気で起きます。
なので、やはり注意した方がいいだろうとなっています。
(宮井)
では実際にどんな取り組みをすることが、プラスのダイバーシティを進めることになるでしょうか?
まず対立の原因というものは、生物学の用語になるのかなと思うんですけど、ホモフィリーという言葉があって、「羽のある鳥というのは一緒に群がる」ところから来ているかと思いますが、やはり類似した人と人は結びつきやすいという、そういう特性、似た者同士より近くに寄りやすいことだと思います。
そういう特性がそもそもあり、そうでないものに対して排他的になってしまうことを理解して、例えばダイバーシティによる対立が起きないように、実はこういう共通点は例えば男女であっても、2人にはこういう共通点がある、という情報をきちんと共有していくことで、その対立が起きる原因を排除していきます。
排除していくと多くの場合は、そこは必ずしもではないのですけども、経験やスキルや知識というものは、男女によって違うケースも多くなりますよね。
先ほどの因果の先のような話ですけど。
というところで、まずその対立の原因というものをきちっと整理して、なるべくそういうのが起こらないことを説明したり共有して、つまり共通の話題や共通の背景をきちっと共有いくことがまず一個です。
あとは、きちんと狙ってやることだと僕は思っています。
つまり例えば今回会社として、やはり男性の意見ばかりになっていて、女性の、例えばお客様の意見が取り入れていない状況であれば、そこで働いている女性の方の意見を聞くとか、組織にそういう風土を入れていくことだと思います。
例えば、新しいアイデアというものがないのなら、個人的には男女というよりも年齢の方が、若い人の意見を聞くことの方が大事なのではないかと思います。
何のためにダイバーシティが必要で、それに対して例えば採用すべき人はどういう人なんだろうということをきちんと整理して、散らすべき、ダイバーシティさせるところと、会社としてはすごく大事だから維持すべきところをきちんと整理するということがとても大事なのかなと思います。
今の話に共通する、よくダイバーシティの考えの中で混乱が起きるところは、何かこういうふうに整理されるのではないかなと思っています。
例えばカルチャーフィットや理念に共感しているというような、それってある意味同じですよね。
会社経営において、同じ共通の目標や考え方を持っているのは大事じゃないですか。
だけど一方で、ダイバーシティが大事だと言われますよね。
これ今話した通り、タスク型なのかもしれないですけど、タスク型をそもそも生み出していることもあるデモグラフィー型とか、その辺ちょっと複雑ですけど、大事だという話があるじゃないですか。
それっておかしくないですかね?
どちらが大事なんだというような。
では、カルチャーフィットが大事だというところでいうと、全く同じ人を金太郎飴のように採用するのは正しいか言うと、これはほとんどの人がそうじゃないと直感的に思われると思います。
一番ダイバーシティを効かせる方法は、フィルターなしに誰でも採用すること、乱数を走らせてくじで採るというやり方です。
それは数学的には証明されていますが、それも違うと思います。
どちらも違うと。
どういうことなんだ?ということですけど、やはりカルチャーで、こういうところは大事だから統一するところと、ダイバーシティここだったら効かせてもいいということをきちんと定義する、少なくとも幾つかは整理しておくことが大事です。
ちなみに弊社のmitsucariというサービスだと、社員さんが性格データ上、競争的な人と協調的な人が両方いる、白の人は社員の中で競争的でオレンジの人は協調的というケース、 このように多様な価値観があるものと、社員のほとんどの人が挑戦的価値観を持っている、こういうことって多分あると思います。
こういう場合はこちらはダイバーシティを効せても良い項目として、我々はマッチどれくらいしているかという数値には影響させない。
社員の価値観が統一している項目は、カルチャーフィットなので、挑戦的な人をなるべく採用しようというこうことをロジックに織り込んだりしています。
例えば採用の基準で考えるのであれば、
この項目はいろんな人いるから色々な人でいいよねと。
だけど、ここはうちの会社はほとんどの人がこっちだから、こういう人も採った方がいいと考えていきます。
もちろんそうではなく、この人たち凄く多すぎたから、こちら側は違う人を採ることも出来るんですけど、少なくともこういうのをある程度可視化しておくと思ってもみないダイバーシティとか、思ってもみない画一的な人材ばかりになってしまうのは防げるのかと思っております。
(宮井)
ダイバーシティはステップなのでしょうか?
現状、ここまでのダイバーシティは受け入れられる。
次に、ここまで受け入れられる土壌が出来たら、では少しその多様性の枠を広げるような感覚で進めていくものなのでしょうか?
(表社長)
やはりダイバーシティをすることで、簡単に言うと揉め事ではないですが、あの人の意見は違うということは起きやすくはなりますよね。
なので、今おっしゃったようなやり方は、僕実は考えたことなかったんですけど、確かにそれも凄く良いやり方だなと思いました。
一方で、目標と現状との差で考えるのがいいと思っています。
このまま行ってもにっちもさっちもいかないという時だったら、それは社内での衝突が起きるかもしれないですけど、色々な人の意見を取り入れないといけないくらいの状況もあり得るし、少しだけ変えれば、他で上手くいっているから、とりあえずここのチームでここだけ一旦色々なやって試すという状況であれば、段階的にやることでもいいと思います。
段階的とは、色々な意味で、です。
チーム単位という意味もありますし、こういうダイバーシティをまず増やしていこうという単位でもいいと思います。
(宮井)
ありがとうございます。
目標に対して、その差を埋めてくというお話があったと思うんですけど、常に危機感を持ちながら目標設定を出来る企業ばかりだとすごくいいなと思ったんですけど、今は大丈夫だから自分と同じカテゴリーで、同じ考えを持つ人たちでやっていけば、このまま現状維持でいけるのではないか、成長も少しずつしていくのではと考えられている企業が多かったら心配だというのも感じています。
(表社長)
そうですね。
だけど常にお話しさせて頂くと、例えば人事における課題は何ですかと聞くと、課題は本当に山積みとおっしゃるケースがあるので、課題はあるけど切迫感とか危機感とか、緊急度合いということなのかと思っています。
そういう意味で言うと、資本開示するためのデータの観点で言うと、多少なりともデータを少しずつ整理して貯めておくことがとても意味があるので、人的資本系のレポートを見て頂くと、やはりエンゲージメントスコアやいわゆるデモグラフィー型の分布などは定番の開示情報になっているので、その辺をきちんと整備しつつ、自社でいうとやはりデジタル人材だとか、事業承継だから次世代リーダーの人材開発なのか採用だとか、そういった近々のテーマってあるじゃないですか。
多分DXだったらそういう人材をどれくらい採用出来ているか、事業承継系で言うと上場企業の開示であったのが、このポジションに対してこのポジションを推薦できる人が200%、つまり一つのポジションに対して2、3人いる状態ということを開示している会社があります。
そういうのも課題に合わせて今事業承継が問題だけど、自分のポジションに対して、例えばこの能力だったらこれくらいの人がいるというのをきちんと整理しておくとか、そういうことでいいのかなと思うので、人的資本開示を全部やらなければとは全く考えなくてよく、まさに今感じられている売上が上がらないのならば、売上が上がらないのは色々な要素があるけど、新しい商品が出来ていないのならイノベーションだし、だから色々な人のアイデアという話になると思って、まずもう少し手触り感のある課題に落としてやっていくのがいいのではと思いました。
(宮井)
そうですね。
ひとまずは自社の課題を洗い出して頂いて、数値設定、目標設定をして頂くというところからまずは取り組んでもらえるといいのではと私もお話聞いて思いました。
人的資本の開示は上場企業が義務付けられているものですが、個の力を引き出して組織力を上げるという意味では、当然中小企業も取り組むべきことです。
今回の記事を読んでいただき、改めて今いる人材の力を最大に引き出すということを考えていただければ幸いです。
今日お話してくださった表社長の提供されているmitsucariに関して詳しい内容を知りたい方は、こちらのURLをクリックしていただければと思います。
最後までご覧いただきまして、どうもありがとうございました。