お話
代表取締役 肥後 和志氏(ひご かずし)氏
「営業の会社だから歩合至上主義」の限界
不動産の売買仲介の仕事は、何より営業マンの力に左右されやすい業界です。賃金制度は、固定給に加えて、キャリアに関係なく一律の目標を課すもので、ある意味ではシンプルでわかりやすいものでした。しかし徐々に、評価制度をはじめとしたマネジメントを変えていかなくてはならないほどの危機に陥っていったのです。
現在は1店舗で会社を経営していますが、かつては2店舗40名体制で事業をしていたこともありました。しかし、リーマンショックの影響もあり、従業員が7名になるまで辞めてしまう事態となりました。
一律の目標に基づいた賃金制度には限界がありました。売上が上げられない社員は辞めてしまう。売上を上げる社員は、歩合が良い他の会社に転職する。与えられたノルマをこなすだけでリーダーもメンバーも自主性が高まらない、といった問題がありました。
仕事は人生の大事な1ページ 安心して長く働ける環境を
「何とかしなければならない・・・」ずっと思い続けていましたが、なかなか具体的な手を打つことができない状況が続きました。そこで、会社の思いである経営理念が社内に浸透し、個人の目標と結びつくような、人事評価制度の拡充に着手することにしたのです。
人事評価制度の拡充にあたっては、社長の経営方針や理念がまず何かをはっきりすべきです。私は、働いている人が幸せであることが、何よりも優先すべきことだと考えています。従業員の満足が、気持ちの余裕や創意工夫につながり、顧客満足につながります。つまり、業績の向上の第一歩は従業員満足だと考えました。そこで目指したのは、「社員が安定的に・長期的に・安心して働ける環境づくり」でした。
例えば、一律の目標設定をやめて、目標を自分で設定させること、一人ひとりの目標の足し算が全社の目標です。これにより、自分の売上目標だけでなく、反響対応数・接客数といったプロセスにまで関心を持つことができました。昨年は、前年比118%の売上実績を達成できました。
また、評価においては、「仕事への取り組み」も評価。経営において大切にしている「お客様アンケートの評価」なども考慮することで、接客の品質も上がっていると思います。「自分の家族にしてあげたいことをする」これが私の思いとしてあり、この思いを評価制度に組み込むことができたといえます。
評価制度は戦略によって変わる
当社の評価制度が他のすべての企業にも最適なわけではありません。評価制度の設計において大切なのは「経営の実態に合わせること」と「経営理念を体現すること」です。当社の評価制度もこれが完成形ではなく、時代の流れとともに変わっていくものだと思っています。
社員から見た新・評価制度の良いところ
入社2年目 小西 柊斗さん(こにし しゅうと)
新卒採用のための会社説明会に向けて取り組んできたことが、会社に評価されている実感があります。他の営業会社だと「売上がすべて、売れなきゃ“じゃあね”」というようなところがありますが、この会社では、1・2年目でもじっくり腰を据えてやっていけるので、働きやすい環境だと思います。
入社4年目 内山 大樹さん(うちやま だいき)さん
自分は元々結果(数字)を強く意識しています。でもその結果はお客様の評価があるからこそついてくる数字だと思います。『成約のお客様に対するアンケート』も評価に組み込まれたことで、社員がお客様からの評価を気にするようになったのは良いと思います。
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