第1講座でお伝えしたこと
それでは、まず第2講座に入ります前に、第1講座で鈴木のほうからお伝えしたことを簡単に振り返りさせていただきます。第1講座のほうでは、財務管理は成長意欲がある企業ほど重視しようといったような内容や資金繰り表の作成の効果と失敗事例、あとは経営者が考えるべき財務管理というところで主に財務管理、特にその中でも資金繰り表を作成することによる効果や資金繰りによる管理の重要性などをお伝えさせていただいたかと思います。
第2講座
そこで、第2講座のほうでは、資金繰り表のことを具体的にお伝えさせていただきます。内容としましては、三つのポイントでお伝えをいたします。
まず、そもそも資金繰り表はどういうものなのか、資金繰り表の構造はどうなっているのかという点、そして資金繰り表の具体的な作成の仕方、あとは資金繰り表を作って具体的に資金繰り管理はどのようにして自社にどのように活用させていけばいいのかというこの三つのポイントに絞ってお伝えいたします。
1.資金繰り表とは
まず、資金繰り表とはということで、これはそもそも一体どのようなものなのかというところをお伝えいたします。
1.資金繰り表とは―資金繰り表とは?
まず、資金繰り表は一言で言いますと、企業のお小遣い帳や家計簿のようなものになります。資金繰り表は、損益計算書や貸借対照表といったようなものだけからでは把握ができないようなお金の流れを表すことができるものになります。
なぜ、そもそも資金繰り表を作らなければいけないかというところをお伝えします。企業の社長からお聞きするお悩みの中でこのようなものがあります。例えば、「会社は伸びていて損益計算書で利益が出続けているのに、貸借対照表の部分の会社のお金は減り続けている」というお悩みを聞くことがよくあります。これは、損益計算書で利益が出ていても、金融機関への借入金の返済は、損益計算書の費用の部分には計上がされてないです。そのため、基本的に損益計算書で最終的に残っている利益の部分が最初に残っている利益になりますが、その利益から借入金の返済の支払いをしなければいけないので、最終的に残っている利益の会社のキャッシュフローと呼ばれるようなところが5千万円出ていたとしても、年間の借入の返済額が6千万円あったとすると支払いのほうが1千万円多いということになりますので、1千万円毎年減っていくことになり、売上利益が出ているのに借入の返済のほうが多いことによってお金がたまらない体質になるということが起きかねません。このような場合は、P/L損益計算書を見られている社長さんは多いと思いますが、資金繰り表をしっかり見ておかないと、このように利益が出ていてもお金が減ってしまうことになります。
そして、もう一つ、資金繰り表を作らなければいけないとなるよくある例ですが、「建物を購入したいが、今後の資金繰りが詰まらないのか正直分からない」ということもよくお聞きすることあります。これは、資金繰り表で普段から未来の半年後、1年後、さらにはその先の現預金の予測が立てられていないとお金が足りるのか、会社はこのまま経営していけるのかという点が不安になると思いますので、資金繰り表を作成してしっかり予定を立てることで、半年後、1年後、その先を予測することができますのでそういった意味で作成する必要があります。
今、この二つのよくある会社のお金のお悩みという部分をお伝えさせていただきましたが、このようなお悩みは全て資金繰り表で全て解決できますので、やはり作らないといけないものになります。
1.資金繰り表とは―資金繰り表の構造
続いて、資金繰り表は具体的にどのような構造でできているのかという部分を改めてお伝えさせていただきます。資金繰り表は、損益計算書と貸借対照表、両方の要素から成り立っています。損益計算書ですと、売上や費用、残っている利益という部分は見えるのですが、先ほど申し上げた借入金の返済は見えないですし、例えば固定資産を買ったというような場合にも損益計算書には出ないのでお金の流れをそれだけからは見ることはできません。
また、同様に貸借対照表も現預金の残高がどれぐらいなのかという部分はB/Sでも見れますし、今借入金の返済が自社にどれぐらいあるのかといった部分は見れますが、貸借対照表だけからでは未来の資金繰りの予測をすることはできません。したがって両方の要素から成り立っているものが資金繰り表になります。
改めて、資金繰り表の構造を続けてお伝えしますが、資金繰り表は損益計算書に記載されている売上や費用や利益の動きを表しているのではなく、当月に会社に入ったお金、出ていったお金、実際に入出金が行われた動きを表しています。
では、具体的にそれぞれの項目がどのようなものを表しているのかというところをさらに細かくお伝えさせていただきます。
資金繰り表は、赤く囲まれている経常収支と経常外収支と財務収支というこの三つの部に分かれております。まず、経常収支の部分はどのようなことを表しているのかをお伝えいたします。
経常収支は、いわゆる損益計算書P/Lの売上や原価に関わるような項目に関しての具体的な入出金がここの項目になります。プラス、販管費の出金もこの経常収支に含まれております。まず売上原価に関わる入出金の項目に関して具体的にお伝えできればと思いますが、先ほども申し上げたようにP/L売上原価に関わる項目ではありますが、例えば入金で言いますと、2021年の1月に損益計算書上では売り上げとして5千万円立っていたとしても、実際にそれは1月にそのまま入金されるという会社さんは多くいらっしゃらないかと思います。もちろん1月に損益計算書で計上がされて、その5千万の額がそのまま入金されるという入金ベースで損益計算書を作られている会社さんもいらっしゃるかと思いますが、そのまま入金されているとは限りません。出金も同様に、例えば1月の試算表で原価で3千万円が計上されているから、その3千万円の支払いが実際に1月に行われるわけではないと思います。ですので、試算表のP/L売上原価という部分をそのまま反映できないということで、実際に入出金が行われた金額がこの入金支払いと書いてある部分の現金回収でしたり、現金支払いという部分で、実際入出金された額が入ることになります。まず、この売上原価に関わる入金出金という部分はそれについてまず覚えておいていただければと思います。
そして、先ほども申し上げたように、経常収支は売上原価に関わる入出金だけではなくて、販管費もここの項目に含まれております。販管費につきましては、試算表の当月の販管費がそのまま入るイメージになります。そこで、一つだけ注意をしていただきたいのが、販管費の合計を入力する際に減価償却費を含めてはいけません。それはなぜかと言いますと、減価償却費は会計引きに決まりで乗せなければいけないものですが、例えば最初に6千万円で固定資産を購入されたという場合、その6千万円は最初に一括で支払いをしていると思いますが、会計の決まりとして減価償却費というかたちでP/Lの販管費の部分に計上されているので、この減価償却費については実際に支払いをしているものではないので、販管費の部分からマイナスする販管費の合計に減価償却費についてはプラスをして、販管費が丸々出金をしているわけではないというところを覚えておいていただきたいです。
続いて、経常外収支と財務収支の部分についてお伝えをいたします。
経常外収支はどのようなものを表しているのかと言いますと、営業活動に関わらない入出金がここに入ることになります。具体的には、固定資産の購入費用や支払利息の支払い、保険解約返戻金などの入金など直接的に営業する上では関わってこない入出金のことになります。続いて財務収支ですが、これは金融機関の調達額と調達借入と借入の返済の部分と覚えておいていただければと思います。こちらはイメージが湧きやすいかと思います。
ここまで、資金繰り表の構造という部分の三つのパートである経常収支、経常外収支、財務収支というかたちをお伝えさせていただきまして、各項目はこの三つのどこに入るのかというところはご理解いただけたかと思いますが、では実際にどこから数字を埋めていけばいいのか、そして何を参考に予定を立てたりしていけばいいのかと言う部分が分からないと思うので、次は実際に資金繰り表の作り方をお伝えさせていただきます。
2.資金繰り表の作り方―資金繰り表は予定表×実績表
まず、資金繰り表を作る上でしておいていただきたいのが、資金繰り表は予定表と実績表の二つから成り立っていまして、資金繰り表を管理する上では基本的に期初に計算期が終わって新たな期に入るタイミングで、まず1年間の計画を月次で立てます。予定を立てることでまず今の段階ではこれぐらいの現預金の推移になりそうだというところを、基本的
にP/L計画を作られている会社さんであれば、P/L計画から引用をして予定を立てます。
その上で、毎月どんどん試算表が出て実績が出てくると思いますので、実績が出たら随時数字を変えていって、実績の数字がどのようになっているのかを確認したり、また予定表との乖離、これで予定をしていたのに実際にはさらにかかってしまったという誤差が出てくるかと思いますので、来月以降の数字は修正をしていき精度の高いものにしようということでどんどん予定表を変えていきながら、経営改善に活用していくといった部分が資金繰り表の予定表と実績を使って資金繰り表を管理していく流れになります。ですので、資金繰り表の作り方において、まずは予定表を作るという部分を皆さまにはイメージしていただいて、以後聞いていただければと思います。
2.資金繰り表の作り方―資金繰り表の作成
続いて、資金繰り表を作る上で項目が多くありますのでどこから埋めていけばいいのか分からないと思います。そのため、入力がしやすい項目をこちらに挙げさせていただきましたので、この順番に入力をしていっていただければと思います・・・