求められる評価賃金制度の機能
まずは評価制度の全体像についてお話しさせていただきます。第一講座でもお伝えさせていただいた通り、経営理念に基づいて評価制度は成り立っておりますので、経営理念ビジョンを策定していただいて、それに紐づいて経営戦略と呼ばれる戦略を立てていただき、人事戦略に落とし込んで評価制度を作成していただければと思います。船井総研が提案している評価制度は主に四つの制度から成り立ってます。
一つ目が等級制度と呼ばれる役職キャリアを明記した制度になります。こちらに関しては役職において求められる責任と成果や昇降格の基準等もまとめて記載している制度になります。
二つ目が評価制度と呼ばれるものですが、こちらは皆様もイメージしやすいと思います。こちらは仕事力の判定で日々の業績に繋がっている、または経営理念の達成に紐づいている働きをしている人を評価するための制度になってきます。
三つ目は賃金制度と呼ばれるお給料を決める制度ですが、こちら主に基本給や手当て、賞与を決定できる制度となっております。オレンジの矢印の部分に処遇制度と呼ばれる、等級制度、評価制度、賃金制度の三つをつなぎ合わせる制度もございまして、こちらは評価制度のルールをイメージをしていただくと一番分かりやすいと思います。
第一講座の復習になってきますが、左側が間違った評価賃金制度の内容になります。こちらは評価をすることが目的となっており、業績を配分することが主な仕組みになっているのが間違った評価賃金制度の内容になります。船井総研がご提案させていただいてるのは右側の青色の正しい評価賃金制度の内容になります。
こちらは会社の成長=人の成長となっており会社の目標達成が目的で業績を上げる仕組みづくりの一つとして評価制度があるという解釈になりますので、見ていただければと思います。
そして、こちらのやってはいけない活用範囲には活用に適していない分野を記載しております。主に給与だけを決める仕組みを入れても上手くいけませんので、理想的な評価賃金制度の活用範囲を取り入れていただければと思います。
船井総研が提案させていただいている無償化制度の一覧をスライドに追加させていただきました。左側の人事評価シートは評価制度を入れる時に使用していた制度になります。こちら後ほどご説明させていただきますが、一つ一つ業績アップの仕組みに繋がる項目が設定されてます。②の賃金モデルのシミュレーションに関しては賃金を決定する際に使用するシートになります。③の評価制度の導入ガイドブックは評価制度の中身を全てまとめたガイドブックを作成しています。④の評価結果の集計表については各個人の評価結果が集計できるシートが入ってますので後程解説させていただく時にご覧いただければと思います。
実際の導入事例―小島接骨院様
また実際に多くの企業様に導入していただいていますので、実際に導入されている企業様のご紹介を最初にできればと思います。まずは愛知県名古屋市の小島接骨院様になります。こちらの接骨院様は従業員13名ほどで店舗数は1店舗なのですが、従業員の働きに対して適正に評価し、賃金を決める方法がなかったので、評価制度の導入を決めていただいてご依頼をいただいたかたちになります。そして、実際に購入していただいた内容は等級制度、評価制度、賃金制度、処遇制度、後導入面談ツールで今は仮運用までサポートさせていただいております。
実際の導入事例―株式会社AMBER様
続いては岡山県岡山市に構える株式会社AMBER様になります。従業員数は今10名ほどで店舗数は2店舗展開の企業様になっております。店舗展開をしていくにあたって従業員を正しく評価し育てていく仕組みが必要だと考えて評価制度の導入を実施していただきました。こちらの企業様も導入していただいた内容は先ほどの小島接骨院様と同じですが、その後のフォローの仕方に関しては各社様の調教教育の方法に沿ってオーダーメイドでフォローさせていただいています。
実際の導入事例―株式会社うららか様
続いては岩手県盛岡市に店舗を構える株式会社うららか様になります。従業員数は9名で店舗数は2店舗展開されています。従業員の方が正しく育つ仕組みを導入したくて評価制度の導入を実施していただきました。こちらも導入していただいてる内容は前述の2社様と同じですが、評価制度の内容を基に教育の仕組み作りをしていただいております。以上3社様の導入事例をお伝えさせていただきましたが、こちらの3社様以外の企業様に導入していただいております。
従業員数が30名程度で複数店舗展開されてる企業様も導入されておりますので、評価制度は導入していただきたいです。
評価賃金制度の全体像と具体的仕組み
先ほど評価制度は四つの制度から成り立っているとご説明させていただきましたが、続きましては実際に作成する際の流れをご説明させていただきたいのですが、その前に各制度について細かく解説させていただきます。
一つ目の等級制度は将来の組織体系や人物の役割を明記します。そして、明記したキャリアに応じて求める業務内容や役割、責任を明文化する制度になっています。明記例としてはは院長や副院長はどのような存在か、3年後の組織図を考えた時にマネージャーが必要でマネージャーにはどのような仕事してほしいかを明記した制度になってきます。
続いては評価制度になります。評価制度は主に6つの評価要素から評価項目を決めております。6つの評価項目は主に組織目標、個人目標、重点行動、専門性、組織行動、マネジメントの六項目になっております。評価項目の内容は各社様ごとに変わってきますが、観点としては①番と②番が成果を評価する項目で、③番は成果を上げるためのKPIで④番は能力やスキル⑤番は考え方やスタンス、⑥番は管理者が行うべき行動を評価するために、6つの項目を設定させていただいています。企業様の状況によってこちらの項目が6つではなく5つになる場合もございますし、名前が変更される可能性もございますので、何を評価するべきかを見直していただきながら評価と業績アップが連動するようにしていくのが重要となっております。
続いては賃金制度の内容になりますが、等級制度で作成したキャリアに応じて支給する給与を作成するのですが、その他に賞与支給や役職者、資格者を有するスタッフ様に関しては支給する手当を検討する必要があるので、まずは院長、副院長、一般などのキャリアに応じて給料の階段を作成していただいて、作成後に賞与をいくら配分するかを決めます。こちらに関しましては、毎月出している企業様もあれば、四半期に1度などもありますが、多くの場合は年に1回出していただくかたちになると思いますが、年1回の支給方法についてお悩みいただいている企業様も多いので、そのような企業様のために支給方法を後ほどご説明させていただきます。
最後は処遇制度のご説明をさせていただきます。処遇制度の内容は評価制度や給与制度などを連動させるための会社のルール作りになります。検討した処遇制度の内容は評価制度のルールになりますので人事制度ガイドブックに必ず記載をしていただきたいです。そして、処遇制度の内容は等級制度、評価制度、賃金制度を作成した後にルール作りをしていきます。
続きましては、先程ご紹介させていただいた導入企業様の実際の流れになります。前提として構築には6ヶ月から長くても1年間かかります。それでは流れをご説明させていただきます。方向性の確認から始まって、経営理念等の作成を1ヵ月間で行ないます。方向性の確認に関しては現状分析をしていただいた上で、組織目標の確認や業務の棚卸し等もしていただいております。そこから経営理念に必要なものは何かを考えていただきたいです。また、すでに経営理念がある企業様に関してはそれを基に進めさせていただいています。その段階が終了しましたら実際に評価制度、賃金制度、処遇制度を作っていく流れになります。等級制度、評価制度、賃金制度の作成期間は早くて1.5ヶ月ほどになります。処遇制度に関しましても各制度を作っている間に同時に話をさせていただいてますので、1ヵ月以内には制度を作っていただけると思います。
最後に導入準備として、社員説明会の期間を決めたり、考課者訓練を行うなどのかたちで薦めていただきたいです。こちらは参考例になりますので企業様によって変わってきます。
そして、作成物に関しては大きく四つあります。一つ目が等級制度、二つ目が評価制度、三つ目が賃金制度、四つ目が処遇制度になっています。
続きましては各制度作り方をご説明させていただきます。等級制度の作り方に関しては3年から5年を意識して経営ビジョンを描いていただきたいです。経営ビジョンを作る過程で組織図を書くことが必ず必要なのでその組織図において必要なキャリアを等級制度に落とし込んでいきます。
ここで重要になるのが、経営ビジョンを描くことなのですが、経営ビジョンにはスライドにも書かせていただいた通りミッション、ビジョン、行動指針があるわけですが、ミッションとは会社の存在意義や企業が社会に対して果たすべき役割、企業が社会でどのような存在なのかをまとめたものになります。ビジョンに関してはミッションを実現するために目指すべき姿や、企業が思い描ける具体的な目的地になります。行動指針に関しましては、実際のルートと交通手段という捉え方で組織が共通して持つべき価値観になります。
実際に作成していただく際にはこちらのシート等も使用しながら作成しております。とある企業様では、実際にシートを使わなくても見直しを行なったり、三ヵ年計画の作成を具体的な数字をベースで行なっております。
経営ビジョンを作成していただくと将来的な店舗数や人員数が見えてくると思いますので、そこから組織図を作成していただくと組織において必要な役職が見えてきます。こちらの組織図で言うと代表とエリアマネージャーが1人ずつで、院長が3人、副院長と施術主任と受付主任が必要になってきますので、エリアマネージャーはどのような存在なのか、院長や副院長とはどのような存在なのかをまとめていただくために3年から5年後の組織図を作っていただきたいです。3年から5年後の組織図を作った上で等級ごとの定義と役割を明文化していきます。こちら実際に使用しているシートの参考例になります。こちらの業務レベルなどの基準は参考例でしかないので、どのようなフォーマットで使っているかを見ていただければと思います。
例えば…