【整骨院向け】人材確保の新戦略と具体的取り組み

深刻化する柔道整復師の採用難
● 整骨院業界では今、柔道整復師の採用難が一層深刻な課題となっています。全体の就業者数こそ増加傾向にありますが、その内訳を見ると新卒者数の減少が顕著です。
● たとえば、令和元年・2年の新卒柔道整復師は合計6,412名でしたが、そこからわずか2年で2,769名も減少し、直近の合計は3,643名にまで落ち込んでいます。年間平均で約1,800名減という大幅な減少です。
● こうした人材供給の低下に対して、整骨院からの求人はますます増加しており、採用市場のバランスは完全に崩れた状態です。実際、求人データサイト「job tag」によると、求職者100名に対して約360の整骨院が求人を出しているという、極めて高い有効求人倍率が示されています。
● さらに追い打ちをかけているのが、国家試験の合格率の低下です。過去10年と比較して明らかに合格率は下がっており、直近では「合格者は2人に1人」という状況です。この傾向が続けば、柔道整復師という職業自体を目指す学生の減少にもつながる恐れがあり、業界全体として早急な対策が求められています。
採用市場における新たな潮流
● 近年の採用市場では、大手整骨院グループによる学生の早期囲い込みが加速しており、採用活動の前倒しが業界全体で進行しています。学生側も、国家試験の準備に専念するために早い段階で内定を確保したいというニーズが高まっており、就職活動の時期はますます早期化しています。
● また、柔道整復師の新卒者数が減少している一方で、鍼灸師の有資格者数は増加傾向にあります。これに伴い、今後は鍼灸師や無資格の整体師が主力となる施術市場の形成も現実味を帯びてきました。
● つまり、これまで柔道整復師中心だった整骨院の採用方針にも、鍼灸師や整体師を含めた多様な人材の活用戦略が求められる時代が到来しているといえるでしょう。
人材確保に向けた新たな戦略の必要性
このような状況を踏まえると、従来の採用活動だけでは整骨院の人材確保は困難です。より戦略的かつ積極的な取り組みが求められます。
船井総研からのご提案:採用成功のための全体像と具体的 取り組み
厳しい採用環境下で整骨院が採用を成功させるための全体像と具体的な取り組みについて、以下に解説いたします。
採用の全体像:データで見る現状分析
まずは、柔道整復師を取り巻く市場環境の実態をデータで正確に把握することが不可欠です。
施術所の数や施術者数の推移、国家試験の合格者数と合格率、就業柔道整復師の実数、求人賃金、有効求人倍率など、客観的な指標をもとに採用環境の変化を分析することで、今何が起きているのかを明確にできます。
中でも注目すべきは、新卒柔道整復師の急激な減少と、異常ともいえる有効求人倍率の高さです。これらは、整骨院にとって「採用したくても人がいない」という、人材確保の根本的な課題を浮き彫りにしています。
時流からみる採用の流れ:注目すべきトレンド
現在の採用市場では、大手法人の採用力強化や採用活動の早期化が顕著に進んでおり、整骨院業界全体に大きな影響を与えています。加えて、学生数そのものの減少や、鍼灸師・整体師の現場活用の広がりも重要なトレンドとして押さえておくべきポイントです。
さらに、柔道整復師国家試験の合格率が安定せず低下傾向にあることで、学生は“確実に合格できる保証がない”という不安を抱えています。こうした背景から、「少しでも早く内定を取り、安心して試験勉強に集中したい」と考える学生が増加しており、採用活動のタイミングを逃さないことがますます重要になっています。
このような業界の時流や学生心理の変化を的確に捉えることが、今後の採用戦略の土台となります。状況の変化に即応し、柔軟かつ実践的な対応が求められます。
1. 母集団管理の最大化と質の向上
○ 採用活動の起点となるのが、どれだけ質の高い“母集団”を形成できるかです。専門学校との関係性構築、外部説明会への参加、SNSでの情報発信、卒業生からの紹介、求人媒体の活用など、あらゆるチャネルを駆使して接点を最大化することが求められます。
○ 中でも、専門学校との信頼関係を築くことは最重要です。単に多くの学生にアプローチするだけではなく、「この整骨院は印象に残っている」と学生の記憶に残る採用活動が、次のステップ(見学・応募)につながります。
2. 学生目線での企業ブランディング
○ 現在の主な就職層である**Z世代(20代前半の若年層)**は、「自分らしさ」や「本質的価値」を重視する傾向が強く、従来の採用手法では響かない場面も増えています。
○ Z世代の特性(デジタルネイティブ、高いネットリテラシー、多様性の尊重)を理解したうえで、“自院の強み”を学生の視点で再定義し、言葉・ビジュアル・体験を通して効果的に発信していく必要があります。
○ 採用活動は「選ぶ」時代から「選ばれる」時代へと完全に移行しています。
だからこそ、どんな整骨院で働くのかが学生に伝わる設計が不可欠です。
採用を成功させるための具体的な取り組み:5つのフェーズで構築する採用戦略
整骨院が人材採用を成功させるには、採用活動を5つのフェーズに分けて考えることが重要です。それぞれの段階で適切な戦術を講じることで、応募から入社までの流れをスムーズに設計できます。
【フェーズ①】母集団形成 – “最初の接点”を増やす・磨く
採用の入り口となる母集団形成は、最も重要かつ手間のかかるパートです。特に柔道整復師や鍼灸師の学生は「接触したことのある院に安心して応募する」傾向があるため、まずは数多く接点を持ち、印象に残ることが第一です。
● 専門学校のターゲットリストを作成し、担当者との関係構築を継続的に行う
● 訪問時は名刺だけでなく、手土産(菓子折り)や自院を紹介するオリジナルポスターやパンフレットを活用して印象づけ
● 学内イベントや説明会がない学校には「出張説明会」を提案し、接点を作る工夫を
● SNS(特にInstagram)で院内の雰囲気や施術風景、先輩スタッフの声などを日常的に発信
● 採用専用アカウントを設け、学生と相互フォロー → 投稿にリアクションすることで関係性を深める
● 求人票は「給与や待遇」よりも、「どんな人がどんな思いで働いているか」をビジュアルで伝える工夫を
また、採用に関するツール類(マニュアル・パンフレット・説明会スライド・専用サイトなど)を事前に整備しておくことで、機会を逃さず、統一感あるブランディングが可能になります。
【フェーズ②】自社イベント – “院を体験”してもらう場づくり
Z世代の学生は、表面的な情報では動きません。実際に足を運び、院の雰囲気を感じ、自分が働くイメージが持てることが応募の決め手になります。
● 治療体験型見学会:施術の見学だけでなく、実際に機器に触れてもらう、姿勢分析を受けてもらうなどの“体感型”企画が好評
● 1Dayインターンシップ:受付~施術補助まで1日スタッフと一緒に動くことで、働くリアルを実感できる
● 就職座談会・懇親会:年齢の近いスタッフが参加し、「働く先輩の声」をカジュアルに届ける
● 勉強会やスキルアップセミナー:即戦力でなくても歓迎している姿勢を伝える場として有効
イベント後にはアンケートを必ず実施し、参加者の満足度や疑問点、希望職場の条件などを把握して次のアプローチへ活かします。
【フェーズ③】選考(面接) – 公平性と「自分を見てくれている」安心感を
面接は、応募者にとって「院の本気度」が最も伝わる場です。形式的に行うのではなく、双方向のコミュニケーションとして設計することで、ミスマッチを防ぎつつ志望度を高められます。
● 面接フローを標準化し、面接シートや評価基準表を用いて公平かつブレのない対応を
● 面接担当者は一貫性を持たせる(院長または採用担当が一貫して対応することで信頼度UP)
● イベント参加後の面接であれば、「あのとき●●してくれたよね」と覚えている姿勢を示す
● 質問はスキル面よりも「働く価値観」「何を大事にしたいか」に焦点を置く
● 選考終了後は、できるだけ即日で連絡を行い、学生の熱が冷める前に次のステップへ進める
【フェーズ④】内定 – “決断”に導く丁寧な後押し
内定はゴールではなく、「入社の決断」を引き出すためのスタートラインです。Z世代は「一度OKしても辞退する」傾向もあるため、“つながり”を継続する施策が欠かせません。
● 内定通知書・承諾書の送付だけでなく、手書きメッセージや動画メッセージで想いを伝える
● 内定者懇親会で同期候補との接点をつくり、入社への安心感を高める
● 内定者アルバイトを通じて実務を体験し、入社後のギャップを減らす
● オンラインでもこまめにフォローし、近況確認や不安のヒアリングを行う
【フェーズ⑤】内定承諾 – 入社までの「離脱」を防ぐ
正式な承諾後も油断は禁物です。特に国家試験前後は不安や迷いが生じやすく、承諾後の辞退を防ぐためには、継続的な関わりが不可欠です。
● 定期的なLINEやSNSでのフォローを行い、「いつでも頼れる存在」であることを伝える
● 試験直前には「応援メッセージ」、試験後には「労いと今後の案内」で感情的なつながりを強化
● 入社前にもう一度来院してもらい、入社ガイダンスや事前オリエンテーションを実施
● 一人ひとりの不安や状況に合わせた対応を行うことで、信頼と期待値を高めたまま入社日を迎えることができます
全フェーズ共通で重要な視点:母集団管理の“質”を高める
採用活動全体を通じて重要なのは、学生との接点を記録・管理し、フェーズごとに最適なアプローチを個別に行うことです。単なる人数確保ではなく、「誰にどうアプローチするか」が採用成果を大きく左右します。
中途採用にも戦略が必要
新卒だけでなく、中途採用にも計画的な対応が求められます。
● 求人媒体の選定
● 求人票やビジュアルの最適化
● 応募管理や面談の迅速化
など、ターゲットごとに設計された運用が重要です。
採用活動の基盤整備:ツールと体制づくり
年間スケジュールの策定、採用チームの編成、面接官の育成などの社内体制構築とともに、以下のようなツールの整備が採用活動の質とスピードを高めます:
● 採用スケジュール
● マニュアル・パンフレット
● 求人媒体用画像
● 採用用名刺・説明会資料・面接シート
● 採用専用サイト
● イベントチラシ・SNS運用マニュアル
● 求人票の掲載テンプレート
これらを事前に用意しておくことで、採用活動が属人化せず、再現性の高い運用が可能になります。
船井総研の採用コンサルティング:貴社の成功を強力にサポート
弊社では、これらの採用活動を成功に導くための専門的なコンサルティングを提供しています。
中長期ビジョンの策定、組織の成長ステージの把握から始まり、新卒柔道整復師採用に向けた研修コンセプト・採用コンセプトの策定、採用チームの結成をサポートいたします。
策定したコンセプトに基づいた採用計画の立案、貴社の強みが伝わる採用ツールの作成を支援し、採用活動のスタートアップをサポートいたします。
母集団形成から入社まで一貫したサポートを提供し、オンライン合同説明会への出展支援や、優秀な人材を選抜するための母集団形成活動を実施いたします。
学生の入社意欲を高めるための自社イベントの企画・実施をサポートし、必要に応じてファシリテーションも行います。
自社イベントから内定までの選考誘導方法や、内定後のフォローについても具体的なアドバイスを提供いたします。
近年重要性の増しているオンライン採用活動の整備を支援いたします。採用サイトの改善、効果的な求人媒体の選定と最適化(画像・文章作成)などを実施いたします。
コンサルティングの一環として、これらの取り組みを円滑に進めるための採用パッケージツールを提供しております。
多くの導入企業で成果を上げています。
静岡県のM社様、大分県のR社様、島根県のM社様、埼玉県のY社様など、具体的な成功事例をご紹介しており、適切な戦略と実行、継続的なサポートの重要性をご理解いただけるかと存じます。
船井総研への経営相談:人材確保の課題解決に向けて
整骨院業界の採用環境は常に変化しており、人材確保は容易ではありません。
成功事例が示すように、専門的な知識やツールを活用し、計画的に採用活動を進めることが不可欠です。
弊社は、整骨院・接骨院に特化した経営研究会を主宰し、全国300社以上の会員企業様との情報共有を通じて、最新の成功事例や業界の動向を把握しています。
テーマ別の研究会(整骨院経営イノベーション研究会、整骨院交通事故研究会など)も運営し、業績向上に直結する実践的な情報を提供しております。
もし、貴院が整骨院の人材確保において課題を感じていらっしゃいましたら、ぜひ一度弊社にご相談ください。個別コンサルティングの一部ツールである学校訪問マニュアルを贈呈する特典もご用意しております。
貴社の採用活動の成功に向けて、弊社がお手伝いできることがきっとあります。お気軽にお問い合わせください。
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