生き残り戦略:採用難時代を勝ち抜く!整骨院・整体院「次世代経営モデル」

現在の整骨院・整体院業界は、厳しい採用市場に直面しており、この状況が今後の経営に大きな影響を与えると分析しています。
柔道整復師の合格者数減少
国家資格である柔道整復師の合格者数は、年々減少傾向にあります。
たとえば、第31回柔道整復師国家試験の合格率はわずか49.6%にとどまり、受験者4,521名のうち、合格者は2,244名と、2人に1人しか合格しない厳しい状況となっています。
この傾向が今後も続けば、2028年には年間の合格者数が1,500名を下回る可能性も現実的です。
つまり、業界全体として「新たな資格者がほとんど供給されない時代」が目前に迫っており、早急な人材戦略の見直しが求められています。
労働人口の減少と資格者の市場価値高騰
柔道整復師の合格者数が減少しているだけでなく、日本全体の労働人口もこの20年間で約20%減少しており(厚生労働省データ)、人材不足は国家的課題となっています。
この影響を受けて、資格を持つ人材の希少価値はますます高まり、採用市場は完全に“売り手市場”へとシフトしています。
とりわけ整骨院業界では、優秀な人材ほど大手や高待遇の職場に集中しやすくなっており、中小・個人院が採用で苦戦する構図がより鮮明です。
その結果、人材の獲得が難しくなり、採用コストの高騰も避けられない状況に陥っています。今後は、従来通りの採用手法では通用しないフェーズに入ったといえるでしょう。
賃金上昇圧力
日本全体で賃金上昇が進む中、国家資格を持つ人材の給与水準は特に上昇傾向が顕著です。
政府は、2030年代半ばまでに最低賃金を時給1,500円に引き上げる方針を掲げており、年率104%のペースでの上昇が予測されています。
たとえば、東京都では2027年には最低賃金が1,302円に達し、月給換算で30万円超(残業45時間込み)になる可能性も示唆されています。
このような水準が当たり前になる中で、資格者の初任給が30万円を超えるケースが“常識”となる未来もそう遠くありません。
さらに、大手整骨院・整体チェーンが地方に進出する動きも加速しており、地方院であっても東京水準の賃金を視野に入れなければ、採用競争で不利になる時代が到来しつつあります。
つまり、地域に関係なく“高賃金時代”を前提とした採用戦略の構築が不可欠です。
今後予測される市場の変化
これまでに挙げた要因が複合的に作用することで、今後の整骨院・整体院業界には以下のような大きな変化が訪れると予測されます。
● 大手による資格者の囲い込み加速
資金力と組織力を持つ大手グループが、優秀な柔道整復師・鍼灸師を早期に囲い込む動きがさらに強まり、個人院や中小規模院は採用の土俵にすら立てなくなるリスクが高まっています。
● 採用コストのさらなる上昇
資格者の絶対数が減り続ける中、採用広告費・紹介料・採用にかける時間コストなどが急増し、1人採用するためにかかる負担は年々重くなっています。
● 資格者の給与水準が高騰
人材確保のために、従来よりも大幅な給与水準の見直しが求められ、特に新卒の初任給は30万円前後が相場になる可能性も現実的です。
● 優秀人材の確保が極めて困難に
労働人口の減少と、大手による一括採用の影響で、経験・実力ともに備えた人材の採用は“運頼み”の域に入りつつあります。
このような採用環境の激変は、整骨院・整体院にとって経営の根幹を揺るがす重大なリスクです。
とくに人材採用と定着の問題は、今や「現場の課題」ではなく「経営の最重要課題」であり、放置すれば事業の継続すら脅かされかねません。
現状を打破する「生存戦略」と「整体モデル」
このような厳しい市場環境を踏まえ、今後の「生存戦略」と、時流に適応した「整体モデル」について詳しく解説します。
生存戦略の柱:無資格者の活躍を戦力化せよ
柔道整復師・鍼灸師の採用が極めて困難かつ高コスト化している今、整骨院・整体院が生き残るための現実的かつ有効な戦略のひとつが「無資格者の戦力化」です。従来は補助的役割とされてきた無資格者ですが、今後は主力人材として活躍させるための仕組み作りが不可欠です。
無資格者活用を成功させるための3つのテーマは、以下の通りです。
1|早期戦力化
採用した無資格者をいかに短期間で現場で活躍できる人材へと育て上げるかが鍵となります。
教育のポイントを絞ったプログラムや、検査・施術・接遇などのマニュアル化・動画化・実技指導を通じて、最短2〜3ヶ月で現場デビューを目指す設計が理想です。
2|優秀人材層の見極めと獲得
無資格者市場は応募母数が多いため、いかに“伸びしろのある人材”を見極めて採用するかが成果を左右します。
そのためには、学歴や経験よりも性格特性や価値観を可視化する適性検査の導入が効果的です。「すぐ辞める人」ではなく、「早く伸びる人」に投資することが、教育コスト対効果を最大化します。
3|生産性向上
無資格者でも現場で活躍できる体制が整えば、人件費を抑えながらも高い生産性を実現できます。特に、短時間・高単価の施術や会員制モデルとの組み合わせによって、限られた人員でも高収益を上げるオペレーションが可能になります。
無資格者の活躍は「妥協策」ではなく、これからの整骨院経営における“新しい当たり前”です。
適切な選抜・教育・役割設計を行うことで、資格の有無にとらわれない強い組織づくりが可能になります。
生産性向上の鍵は「新人即戦力化」と「継続率の最大化」
無資格者を採用するだけで終わらせず、実際に収益を生み出す戦力として活躍してもらうためには、“早期戦力化”と“高継続率の仕組み化”が不可欠です。
以下の3点を重点的に整備することで、無資格人材でも高い生産性を実現できます。
1|施術単価(分単価)の向上
施術者一人あたりの収益性を最大化するには、単価×時間の見直しが必須です。
60分6,000円のような時間売りではなく、20分4,000円といった“短時間・高単価”のサービス設計を行い、「分単価」での収益最大化を目指します。
2|新人の即戦力化
「いかに早く売上を作れる人材に育てられるか」が、生産性向上の最大のボトルネックです。
● 教育内容は「覚えるべきこと」に絞り、検査・施術技術・接遇対応の3領域を重点教育
● 外部研修や講師派遣の活用も視野に入れ、入社後2ヶ月で現場デビュー、3ヶ月で月商100万円超を目標に設定
● 教育のゴールを「知識習得」ではなく「結果を出せる状態」に明確化し、進捗を数値で管理
3|顧客継続率の向上
いくら新規を集めても、リピートにつながらなければ生産性は伸びません。
● 会員制モデルやプリペイド式サブスクの導入により、安定した継続来店を実現
● お客様のニーズに応じた「定期利用が前提のメニュー設計」「状態管理・予防プランの提供」など、来店理由が明確な仕組みづくりを行うことで離脱を防ぎます
生産性向上の最大のカギは、新人を“早く育てて、長く通ってもらう”ことにあります。
そのためには、初期教育の設計とフォローアップ体制の強化はもちろん、外部委託も含めた“仕組みで育てる”戦略が欠かせません。
時流適応型「整体モデル」:サブスク整体の可能性
生存戦略として時流適応型の「整体モデル」を推奨しており、特に「無資格者でも高生産を
実現するサブスク整体モデル」を注目のモデルとして紹介します。
項目 | サブスク整体モデル | 通常の整体院・リラクゼーションモデル |
コンセプト | 結果売り&予防 | 時間売り |
新規数 | 50名/月 | 20名前後/月 |
価格 | 20分4,000円(分単価200円以上) | 60分6,000円~(分単価100~円) |
60分2,980円(分単価50~100円) | ||
継続の仕組み | サブスクモデル | 都度払い、回数券など |
成約率 | 70%以上(最高90%) | 50%以下 |
2回目来院 | 50%以下 | |
施術者生産性 | 平均120万円以上 | 40~60万円程度 |
教育 | 検査・技術・対応がセット→未経験者でも戦力化 | 数日の研修を行い現場デビュー(属人) |
サブスク整体モデルは、「結果売り&予防」をコンセプトに、短時間で高単価を実現し、高い新規集客数と成約率、そして高い顧客継続率を誇ります。特筆すべきは、検査・技術・対応がパッケージ化された教育体制により、未経験者でも早期に戦力化が可能な点です。これは、無資格者採用を前提とした場合に非常に有利な要素となります。
多様な展開が可能なサブスク整体モデル
この整体モデルは、様々なニーズに合わせて展開可能です。
● 女性専門整体院: 女性特有の悩みに特化(肩こり、腰痛、スタイル改善、美容など)。
● 産後専門整体院: 産後ママの不調改善やダイエットなどを提供。
● 治療系整体院: 痛みや不調改善に加え、予防を重視。
目指すべきKPI(重要業績評価指標)
これらの整体モデルで目指すべき主なKPIは以下の通りです。
● 施術者一人当たり生産性: 120~150万円(業界平均は約60万円)
● 新規集客数: 50名以上/月(施術者3名の場合)
● 成約率: 70%(業界平均は50%以下)⇒会員売上比率50%を目指す
● 平均継続来店期間: 10ヶ月以上(業界平均は約3ヶ月)
● 月間平均支払い単価: 15,000~20,000円
これらのKPIは、従来の経営指標を大きく上回る水準であり、達成することで厳しい市場環境下でも安定的な経営と高い収益性を確保できます。
成功事例のご紹介
これらの戦略を実行し、大きな成果を上げている企業の事例を紹介します。
● 株式会社ミラクリフォス様
静岡県で整骨院から整体院へ転換し、短期間で10店舗以上を展開。
年商5億円超、店舗平均月商600万円、施術者一人当たり生産性160万円を実現。
症状改善に加え「予防」を提供、業界平均3倍の生産性、高継続率のサブスクモデル、未経験者即戦力化教育、トレーニング・美容付加によるトータルヘルスケアが成功要因。
前払い式プリペイドカードを活用したサブスクモデルで高い継続率と新規会員化率(70%超)を実現。無資格・未経験者でも活躍できるよう、技術・教育マニュアル・検査法を整備。
業界平均年商:2,000~3,000万円に対し、ミラクリフォス様は1店舗あたり平均年商5,000万円。
○ 店舗営業利益率:業界平均20~30%に対し、ミラクリフォス様は30%以上。
○ 平均月商:業界平均(4名体制)200万円に対し、ミラクリフォス様(4名程度)600万円。
○ スタッフ平均生産性:業界平均50万円前後/人に対し、ミラクリフォス様160万円/人。
○ 旗艦店シェア率28%。
● A社
サブスク整体を高速展開する女性専門整体院。半年で売上270万円を達成し、高速出店を計画。
● B社
12店舗を展開し年商4億円を達成。女性専門、慢性専門、産後専門を展開し、創業5年で平均成長率150%を実現。
これらの事例からも、サブスク整体モデルが無資格者採用の容易さ、高い収益性、そして高速な事業展開を可能にすることが示唆されます。
船井総研への経営相談のご案内
貴院が現在直面している採用の課題や、将来の人材コスト高騰といった問題は、早急な対応が必要です。また、市場の変化に適応し、安定的な収益を上げていくためには、ビジネスモデルの転換も視野に入れる必要があるかもしれません。
ご紹介した無資格者活用の戦略、時流適応型の整体モデル(特にサブスク整体)、それを支える教育体制の構築、具体的なKPI達成に向けた取り組みは、貴院の整体院経営改善を実現するための有効な手段となります。
船井総研には、整骨院・整体院業界に特化したコンサルティングチームがあり、採用難への人材戦略、高収益ビジネスモデル構築、未経験者の即戦力化教育、顧客継続率向上策など、経営改善に関わるあらゆる課題に対し、実践的かつ効果的なコンサルティングサービスを提供しております。
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