企業紹介
味覚糖株式会社様は、1949年の設立以来、菓子・食品の製造販売を通じて独自の価値を生み出してこられた企業です。大阪に本社を構え、長年にわたり日本の菓子市場で存在感を発揮しながら、近年は健康や栄養といった領域にも事業の幅を広げています。
同社の企業理念として掲げられているのが、「おいしさは、やさしさ」という言葉です。
単に味の良さを追求するだけでなく、身体へのやさしさ、生活者の期待に応える新しさ、そして食べることを通じた豊かさまでを視野に入れたものづくりが、その根底にあります。
また、UHAが「ユニーク・ヒューマン・アドベンチャー」の略であることにも象徴されるように、独創性と挑戦を大切にする企業文化です。
依頼の背景
新工場計画から始まった補助金活用
今回のご相談のきっかけは、新工場に関する投資計画でした。
山田社長は「新工場建設の計画についてお話しする中で、製造業の設備投資を対象とした補助金制度があることをご案内いただいたのが、今回の取り組みのきっかけでした。今回の計画は、補助金の活用を前提に立案したものではなく、もともと事業上の必要性に基づいて進めていた投資計画であり、その実行をより適切に進める手段の一つとして補助金活用を検討しました」と語られています。
すなわち、補助金の存在を前提に事業を作成したのではなく、先に投資計画があり、その後に制度活用の選択肢が加わったという流れです。
この点は、制度の趣旨との整合性という意味でも重要だったと考えられます。
経営として必要な投資が先にあり、その実行可能性を高める手段として補助金を検討したことが、今回の支援の前提になっていました。
また、その背景には、2030年にグローバルで売上1,000億円を目指すという中長期の構想がありました。一方で山田社長は「その大きな目標に対して、どのような順序で投資や準備を進めていくべきかを、より具体的に整理する必要があった」とも語られています。
支援の内容
第三者にも伝わる事業計画の策定
今回の支援の中心はあくまでも補助金採択における申請についてですが、結果的に同社の事業構想を、第三者にも伝わる形へ整理し直す形となりました。
新工場投資の背景、今後の市場展望、会社として目指す方向性、そして2030年の成長目標までを、一つの事業計画としてつながる形にまとめていくことが求められました。
山田社長は「事業計画を作り直すというより、整理し直す必要があった」と語られています。
すでに社内には考え方や方針が存在していたため、ゼロから構想をつくることではなく、社内では共有されている内容を、第三者にも理解しやすい順序と表現に置き換え、納得性を持った計画へと整えていくことが中心でした。
また、この整理のプロセスでは、補助金の審査を意識した論点だけでなく、会社として今後どのような準備が必要かを確認する観点も重視されました。2030年の目標に向けて、足りない機能は何か、どの分野に投資する必要があるか、どの課題から着手すべきかを見える形にすることで、申請対応と経営計画の整理を同時に進めていきました。
プロジェクトの成果①
2030年から逆算した投資判断の高度化
今回のプロジェクトにおける成果は、最重要である補助金が採択に至ったことですが、事業計画を第三者に伝わる形へ整理できたことで、社内外の双方に対する説明力が高まり、その結果として経営判断の精度まで向上した点も特筆すべき成果です。
補助金申請という具体的な目的が存在していたため、投資の背景、事業の方向性、将来像、必要な準備を一度きちんと棚卸しし、論理的な順序で再構築することができました。その結果、単なる申請書類ではなく、会社としてどこへ向かうのかを共有するための”成長シナリオ”が明文化されたと言えます。
山田社長は「第三者に説明して納得していただける計画に、自分たちの仕事を落とし込めたことが非常に大きかった」と振り返られています。
これまでも社内には構想があり、数字の計画も存在していたものの、それらを外部に説明できるレベルまで構造化する経験は多くありませんでしたが、今回、社外にも通じる計画へと整理されたことで、逆に社内への落とし込みも以前よりスムーズになったといいます。
「社外に通じる資料づくりをすると、社内での数字計画や方向性の共有も進めやすくなる」という実感は、今回の支援が単なる外部対応ではなく、内部の経営基盤強化にもつながったことを示しています。
加えて、2030年に向けた成長目標をより具体的に見通せるようになったことで、今後の投資判断の質も大きく変わりました。
目標に至るまでの必要機能や不足要素が整理されることで、投資は必要に迫られた対処ではなく、“将来から逆算した準備”へと変わります。
山田社長が「以前は必要になってから体制や投資を考えることが多かったが、今は2030年に向けて足りないものが見え、投資の準備がしやすくなった」と語られている通り、今回の取り組みは、経営の先読み力を高める機会にもなりました。
また、山田社長から「経営として非常に楽になった」というお言葉をいただきました。
今回の成果は、補助金採択という結果そのもの以上に、同社が今後の成長判断を行うための重要な取り組みだったとも言えます。
プロジェクトの成果②
補助金を経営指針として捉える視点
もう一つの成果は、補助金に対する捉え方そのものが変わったことです。
一般的に補助金は、資金支援の一種として理解されがちですが、同社は今回の取り組みを通じて、補助金を”国の政策や産業育成の方向性と自社の取り組みが合っているかを確認するための指標”として捉えました。
山田社長は、「補助金というのは国に甘えるものではなく、補助金を受け取る仕事をするということは、国の政策に沿った仕事の仕方をしている証だと実感した」と語られており、制度を得する手段としてではなく、“自社の方向性を確認する機会”として再定義されたことが表れています。
同社が今後、大規模な設備投資、海外展開、体制整備、新規分野への参入など、さまざまなテーマを検討する際、「これは政策的にも後押しされるテーマなのか」「国が期待する成長方向と一致しているか」を確認する流れが生まれるため、今回のプロジェクトは、補助金の採択実績を得たことだけではなく、経営と政策、市場と成長戦略を結びつけて考える新たな判断軸を得た点に大きな価値があったといえます。
今後の展望
グローバル成長を支える仕組みの加速
今後、同社が取り組まれるテーマの一つは、2030年のグローバル売上1,000億円という大きな目標です。
国内市場では人口減少が進んでおり、食品業界においても、日本国内だけを前提に継続的な成長を描くことは容易ではありません。
そうした中で山田社長は、「日本の市場だけを見ていては、今後の成長には限界があります。だからこそ、グローバル市場を見据えながら、何を準備し、どこに投資していくかを考えていく必要があります」との考えを示されており、今後の成長戦略において海外展開を重要なテーマとして位置づけておられます。
一方で、海外展開は単純に国内の延長線上ではなく、食品は国ごとに制度、流通、商習慣、求められる品質基準などが異なり、国内で通用した方法をそのまま横展開できるとは限りません。
山田社長もインタビューの中で、「食品に関するルールは国によって大きく異なります。スポーツに例えるなら感覚的には、サッカーと野球くらい違うと言ってもいいほどで、同じやり方がそのまま通用するわけではありません」と語られており、今後は商品そのものの競争力に加えて、それぞれの市場に対応できる体制や判断の仕組みをどう整えていくかが重要になると認識されています。
また、新しいカテゴリーや新規分野への取り組みについても、単に商品を開発すれば進むというものではなく、それを支える社内基盤の整備が不可欠であると捉えられています。
「売れる商品をつくる以前に、整備しなければならない仕組みや基幹的な機能があります。新しいことを進めるほど、その土台の重要性を感じます」と話されており、今後の成長に向けては、商品開発力だけでなく、供給体制、運用面、意思決定のプロセスといった事業基盤をあわせて整えていく必要があると考えられます。
独自性のある商品づくりを継続しながら、それを安定的に支える体制をどのように築いていくかが、今後の重要な論点になっていくといえます。
今回の取り組みは、補助金申請を入口としながらも、結果として事業計画の整理、投資判断の明確化、そして社内外に対する説明の補助につながりました。
山田社長は、「補助金を活用すること自体が目的ではなく、その過程で自分たちの計画を整理し、今後どこに向かっていくのかを見直せたことに意味がありました」との趣旨で語られており、今回の支援を一過性の制度対応ではなく、今後の成長に向けた準備の手法を見直す機会として受け止めており、長期的な視点で基盤整備を進めておられます。
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