歯科医院にDXが必要な理由
まず、なぜ必要なのかというところの定義の部分を説明します。これを聞いていただいている先生方の中にもこの問いに対して、何かしらの「こういったものが必要だ」「デジタルでなんとかできるのではないか」と思っている方やとりあえず聞いてみたいということでセミナーにご参加している方もいると思います。事前にお電話やご参加していただいている先生方にお話をさせていただくと意外と共通点が出てくるというのが我々としての目線です。
DXのメリット
そもそもDX、デジタルを通じて何を実現できるのかいうところを最初はゼロベースで考えながら見ていくと、我々は大きくはスライドの五つだと思っています。一つ目が省人化ということです。これは、コロナの影響で人手の問題や採用面というのは若干解消されているような部分もあるとは思います。しかし、コロナが終わる目処が立ったとしても採用に関してはどう考えても良くならず、生産年齢人口の減少は止まっていないため、コロナ明けに向けて採用を行うことやコロナが期間中であっても部分的に見れば採用が楽になっているときに積極採用していくことも考えられている経営者さんが多いと思います。
このデジタルを通じて実際に5人でやっていた業務を3人にできるのではないか、2人でやっていたものを1人でできるのではないかというような省人化ができるのがDXの一つ目のメリットだと思います。
二つ目に、効率化です。RPAと呼ばれるものを使ってルーティンワークを効率よく行うということも一つの効率化だと思います。
三つ目に、コスト削減ということで、移動コスト、印刷コスト等々のいろいろなコスト面については大規模、中規模化していくと売上を上げるだけではなく、コストをいかに下げていくか、キープしていくかということも非常に重要になってくると思います。こういったコスト削減については後ほどより具体的にご説明させていただきます。
四つ目に、コミュニケーションの円滑化ということです。これはすぐに取り入れられている先生方も多いのではないかと思います。ChatworkやTalknoteなどのチャットシステム、WEB会議システム、今回もZoomを使わせていただいていますが、歯科医院業界でミーティングや全体会議をするということではなく、オンライン上でのやりとりで事足りるのではないかということがある程度分かってきています。これは船井総研の中でもそうですが、会議の時間が今まで1時間だったものを45分にしていったり、そもそも月に2回あった全体の会議を月1回にして、お客様先に行って何か価値を提供している時間をできるだけ取りたい中ということで月1回にしたという経緯が船井総研にはあります。しかし、今まで2回でしていたものを1回にしたときに物理的に収まらないわけです。幹部、経営者が伝えたいことが伝わらなかったら意味がないため、チャットやポータルサイト、社内インフラを整えて顔と顔を合わせて議論をするときは必要だが、例えば、ただの業務連絡や伝達事項は事前に録画して全体の配信をしていくようなプロセスでいいのではないかというかたちで我々もコミュニケーションの円滑化を実現しています。
五つ目に、データ活用です。これは、もしかするとクリニックレベルでいうとそこまで重要度は高くないのかもしれません。しかし、世の中の企業においてはデータを取得してビッグデータで解析をしていくことが最も重要な資産であるという考え方のもとアメリカのシリコンバレーを中心とするIT企業はもちろんのこと、日本においてもその流れは顕著です。おそらくこのセミナーを聞いていただいている先生方は非常に経営感度の高い方ばかりだと思います。そのため、データ、数値を見るという必要性は重々承知していただいているかと思います。データ活用、取得に関しても非常にやりやすくなります。
なぜ歯科医院でDXが求められているのか?
もう少し具体的に歯科医院に向けたDXの可能性を考えたときに、これから紹介させていただく考え方、事例があるということをお伝えしていきたいと思います。これは2年間の今見えている段階での可能性だと思っています。
一つ目は、やはり従業員規模が増えて経理や採用、人事といった類のバックヤード部門を作ったり、それを受け付けの方が兼務したりといったケースの中で、最近、経営者自身が非生産的で間接的な部門のバックヤード部門を効率化できないかと感じるようになってきました。
歯科医師、衛生士さんといわれる実労働、対価をいただくような職種以外に受付、経理、事務長、事務、こういった方が増えてきて、仕事はあるがどうなんだろうというようにもやもやしていることが一つ目です。
そして、二つ目が売上管理や給与計算に膨大な時間がかかっているということです。もしかしたら院長先生ではなく、秘書や奥様といった方々がしていてかなりコストがかかっていたり、会計士さん、税理士さんにお願いをしているということかもしれません。院内でやっていたり、ある程度やっているところに関しては実は非常に時間がかかるということになっています。
三つ目に事務長さんが事務の方を採用した際に育成も含めて、先ほどお伝えしたような売上管理や雑務よりも実務など生産性が上がる活動にあたってもらいたいと思っているが、実際問題、業務量が雑務においてパンパンになってしまっていて、生産性の上がる業務に充てることが今はできていない、やろうと思っても、他に優先すべきことがあるということを我々はコンサルティングの場面で何度も当たっています。デジタルという考え方がないと、確かにそうですよねということで終わってしまっていました。しかし、かたちが見えてきたことにより、実際本当に事務長さんや事務業務をしていただく方が雑務の業務量が減るという事例が出てきているということがあります。後半にお伝えしますが、採用面に当たっていたり、事務長さんがカウンセリング業務にフォーカスを当てるようになったりと有意義なところに使いやすくなってきます。最初から効率的な雑務をすることはなくなりませんが、それをより効率的なかたちでできるということを想定しておかないといけないと思います。
四つ目に、事務長業務や事務業務をアウトソースしていくということも非常にトレンドだと思います。これは我々も絶対に必要だと思います。ただ、一方で、やはり内製化したいという考えをお持ちの先生がいらっしゃるのも事実かと思います。いろいろな側面があるため、そういった内製化をしていくというときには今回のDXは可能性があると思います。
五つ目に、これは二つ目のときにもお伝えしましたが、まだ大規模化、バックアップ部門も作るというところまでは至っていない場合、往々にして院長の奥様やお母様が担当されているケースが非常にあると思います。特にそういった膨大な業務量をとにかくスリム化してあげたいというようなニーズもありました。意外にこれが一番多いのではないかと僕は思っていますが、そういった可能性がDXを考えていく中で出てきています。そのため、こういった観点、考え方、経営者としてのもやもや感の中で実現できる領域が今回ご紹介した部分であるということとご認識をいただければと思います。
もう一つの側面ですが、去年、一昨年あたりから船井総研でも年商規模に対しての課題や、それを突破するためのやり方の部分をまとめていくことに注力しています。我々はなんとなく1億円まできたということであったり、1億円までのプロセスであればマーケティングを強化していこうということであったり、3億円までいくのであれば採用強化をしよう、教育方法を考えようという提案をしていたように思っています。これをきちんと一つ一つをつないでお伝えをしていくということが重要という中で、やはり、我々コンサルティングとしてお話をさせていただくと、実は歯科業界だけではなく、全業種的に従業員数や売上規模においての壁が存在するということが船井総研の中の1,000人コンサルタントがいて1,000人共通のあるあるになります。
歯科業界に落とし込んでみると、一つ目が1億円の壁です。スライドの表でいうと一番下になります。10名ぐらいの組織で1億円ということです。実際には、もう少し従業員数が少なくても、10億円に届くと思いますが、大体このような感じであると認識いただければと思います。次が3億円の壁、30名で3億ということです。今回DXというかたちのお話でいうと、実現の可能性がある3億円を目指すにあたっては既に突破している法人さんも一緒です。DXは必須だということを船井総研は今年からお伝えしていこうと思っています。なぜなら、見えないコストや従業員さんも含めてより良い活動、有意義な時間に使うことができるということで経営的にもメリットがあり、人材育成という面に関してもメリットしかないと思っています。
やはり、3億円、30名という規模になってくると、30人目の従業員さんが何をしているか全く分からない状態になっていきます。そのため、ある程度の組織化が必要で、それを一元管理するデジタル化が必要だと思っています。
今日はそういったテーマではないため、細かくはお伝えしません。システムデジタルというこの表のピンク のところでいうと、まずはペーパーレス、経営データの一元化から始めていき、非生産部門の省人化、各部門のボトムアップということで記載しています。まずは、ペーパーレスから始まり、先ほどのコミュニケーションチャット等々の活用もこのあたりからやっていっていいと思います。また、バックヤードの売上管理などは5億円になってくると絶対必要になります。そのため、早いうちからやっていただきたいです。売り上げは別にここまでいかなくても一つの3億円企業の企業経営になりたいということでもいいと思います。そういった方は、ぜひともやっていただきたいと思っています。
DXを進めるにあたって意識すること・気を付けるべきこと
改めて、DXの目的を明確にしておくということで前半戦の一つのまとめかと思います。一つ目はやはり人時生産性の向上ということで・・・