屋根業界の現状とBtoCビジネスモデルについて
今回は貴社がご検討されている屋根業界におけるBtoCビジネスモデルについて、現状と可能性についてご説明させていただきます。
まず、屋根業界の現状についてですが、戸建て向け屋根元請けビジネスはライフサイクルにおいて成長期にあり、市場の拡大が期待できます。新築住宅や家具・雑貨、衣・食業界と比較して、まだライフサイクルが先行している段階です。特筆すべきは、「屋根リフォーム専門店」を明確に謳っている企業が少ないという点です。これは、既存のリフォーム店や塗装店と比較して競合が乱立していない状況を示しており、早期に地域一番店としてのシェアを確立するチャンスが大きいと言えます。
住宅・非住宅における屋根改修工事の元請け受注件数の推移を見ますと、住宅においては2020年から2023年にかけて増加傾向にあり、2024年上半期も高い水準を維持しています。非住宅においては横ばいですが、全体として市場の安定性が確認できます。このような市場動向は、屋根元請けビジネス、特に住宅リフォーム分野への参入にとって追い風となるでしょう。
屋根元請けビジネスのご紹介
1. 概要
下請け工事と比較して粗利益率が高い屋根元請けビジネスの概要について詳細にご説明します。実際に、昨年度より本格的に屋根元請けビジネスを開始された企業様の中には、会社全体の粗利益率が約10%向上したという事例もございます。
ポイントは主に3点です。
① 屋根元請けビジネスに取り組むべき理由が明確になる
市場の成長性、競合の少なさ、高い収益性など、具体的なデータや事例に基づいて、屋根元請けビジネスの魅力と可能性をご理解いただけます。
② 屋根元請けビジネスにおいて外してはいけない重要なポイントがわかる
ビジネスモデルの構築、営業戦略、集客方法、組織体制など、成功に不可欠な要素を網羅的に解説します。
③ 屋根元請けビジネスに取り組んでいる企業の具体的な事例を知ることができる
実際に成功を収めている企業の取り組みや実績を参考に、自社への導入イメージを具体化できます。
2. 屋根業界の時流
先述の通り、戸建て向け屋根元請けビジネスは成長期にあり、単品商品専門で地域一番化を目指すことが重要です。競合が少ない今のうちに、“屋根リフォーム専門店”としての独自の地位を確立し、地域におけるリーディングカンパニーとなることが成功への鍵となります。
国土交通省の調査報告に基づいたデータからも、住宅の屋根改修の元請け受注件数が増加傾向にあることが示されており、市場のニーズは着実に高まっています。この成長期に積極的に参入することで、大きなビジネスチャンスを掴むことが可能です。
3. 屋根元請けビジネスモデルの概要(東日本編)
東日本において屋根元請けビジネスモデルを採用する際に、「誰に・何を・どのように売るのか」についてご説明します。
誰に (Who)
築20年~の住宅にお住まいの50代後半~のお客様が主なターゲット層となります。ただし、二世帯住宅や住宅の贈与の場合は年齢層が異なる点に留意が必要です。
何を (What)
主なサービス内容は、屋根・雨漏り・防水工事、その他小工事です。平均客単価は約100万円、粗利は約40万円となっています。これらの数値は、屋根ビジネス研究会会員様の集計データを基に算出されています。
どのように (How)
定番チラシ:「屋根リフォーム専門店」と銘打ったチラシを配布し、反響率1/10,000をKPI(重要業績評価指標)とします。
WEBマーケティング:自社WEBサイトへの流入からの反響を重視します。
ショールーム:お客様が気軽に立ち寄れる屋根リフォーム専門のショールームを構えることが有効です。
近隣ご挨拶:工事現場の近隣のお客様に挨拶を行い、現地調査の機会を獲得するアプローチを仕掛けます。
東日本においては、1拠点あたり25万人の商圏とし、これらの施策を組み合わせることで、年商1.35億円を目指すことが可能です。年間受注売上1.35億円の場合、契約率50%、客単価100万円と仮定すると、年間で約272件の現場調査が必要となります。月間換算では、月間受注売上1,125万円を達成するために、約23件の現場調査が目安となります。
4. 屋根元請けビジネスモデルの概要(西日本編)
西日本における屋根元請けビジネスモデルについても、「誰に・何を・どのように売るのか」という観点からご説明します。
誰に (Who)
東日本と同様に、築20年~の住宅にお住まいの50代後半~のお客様が主なターゲット層です。二世帯住宅や住宅の贈与の場合は年齢層が異なる点も同様です。
何を (What)
提供サービスは屋根・雨漏り・防水工事、その他小工事で共通していますが、平均客単価は約80万円、粗利は約32万円となっています。これらの数値も、屋根ビジネス研究会会員様の集計データを基に算出されています。
どのように (How)
集客方法については、東日本と同様に定番チラシ(反響率1/10,000をKGI)、WEBマーケティング、ショールーム、近隣ご挨拶が有効です。
西日本においても、1拠点あたり25万人の商圏で同様のマーケティング戦略を展開することで、年商1.35億円を目指すことが可能です。年間受注売上1.35億円の場合、契約率60%、客単価80万円と仮定すると、年間で約281件の現場調査が必要となります。月間換算では、月間受注売上1,125万円を達成するために、約24件の現場調査が目安となります。西日本の方が東日本と比較して契約率が高い傾向が見られます。
5. ビジネスモデルを導入する際に外してはいけないポイント
屋根元請けビジネスモデルの導入において、以下の点を満たさない場合は業績アップ・利益向上が見込めない可能性が高くなります。これらの注意事項を念頭に置き、前述のビジネスモデルを採用することが重要です。
1.営業マンは専任で設ける
営業マンを他事業部や別業務と兼任させるのではなく、屋根元請け営業の経験値・知識を専門的に蓄積させることが重要です。他業務との兼務は、注力不足を招き、成果に繋がりにくくなります。
2.年間販促投資費用を予算組の中に組み込む
元請け集客には継続的な投資が不可欠です。「未来への投資」として、年間売上目標の5~8%を目安に年間販促投資として確保してください。
3.営業ツールを利用する
屋根ビジネス研究会入会特典の屋根受注のための営業ツールを必ず活用してください。営業マンの経験や知識に加えて、ツールという「武器」を使うことで、受注率と客単価の向上に貢献します。
4.来店型営業を徹底する
屋根リフォーム専門のショールーム(ない場合は事務所に来店スペースを設ける)を構え、クロージング時には来店営業を徹底し、「ホームで受注する」習慣を付けることが重要です。お客様に実際に見て、触れていただくことで、安心感と信頼感を与えることができます。
5.本事業における責任者を配置する(代表・役員も可)
事業責任者を明確に配置し、現場調査数などのKPI、受注売上、客単価などの各種指標を常に把握する必要があります。営業マンに丸投げするのではなく、責任者が進捗状況を管理し、必要に応じて指導・改善を行う体制を構築してください。
6. 事例企業ご紹介
事例1
商圏エリア:岡崎市・蒲郡市が含まれており、合計の商圏人口は約46.2万人です。
ポイント:ショールームを開設する前年度の5ヶ月間の月平均問い合わせ数は3件でしたが、ショールーム開設後の月平均問い合わせ数は19件まで向上しました。国道沿いで、真向かいにショッピングモールがある場所にショールームを設置したことで、ショールームを見たことがある顧客の割合が高いことが特筆されています。
実績:問い合わせ数が、月平均3件程度から月平均19件まで向上しました。
事例2
商圏エリア:入間市・狭山市が商圏エリアで、合計の商圏人口は約29.2万人です。
ポイント:もともと職人で営業未経験の営業担当者が、単月売上1000万円、契約率60%独自の屋根材「一閃」の存在と、徹底した営業ツールの活用があったとされています。
実績:営業未経験の営業担当者が、単月売上1000万円、契約率60%を達成しました。
これらの事例は、屋根元請けビジネスにおいて、ショールームの設置や独自の強みを持つこと、そして営業ツールの活用などが成功の鍵となる可能性を示唆しています。
船井総研への経営相談のご案内
船井総研は、これまで数多くの住宅・リフォーム業界の企業様の成長をご支援してまいりました。今回ご紹介した屋根業界のビジネスモデルや成功事例に関する更なる詳細な情報や、貴社の状況に合わせた具体的な戦略立案、実行支援について、ぜひ一度、船井総研にご相談ください。
屋根元請けビジネスへの参入、既存事業の拡大、収益性向上など、貴社の経営課題に合わせて、専門のコンサルタントが親身に対応させていただきます。市場の成長期である今こそ、屋根業界 ビジネスモデル BtoCへの参入を成功させる絶好の機会です。
貴社からのご連絡を心よりお待ちしております。