株式会社イクヨ
東京都
グループ全体の経営方針策定および経営管理等
1947年設立の老舗自動車部品メーカーが、次世代に向けた「両利きの経営」を実現するため持株会社化を決断。 船井総研の伴走支援により労働組合の深い理解を得て体制移行を完了し、幹部の意識改革とスピード経営の基盤を築き、次なる新規事業の創出へと歩みを進める。
自動車、電子機器、産業資材など、日本の基幹産業を支える製造業において、既存の主力事業で安定した収益を上げながらも、市場環境の激しい変化に対応するための「第二、第三の事業の柱」を立ち上げる。いわゆる「両利きの経営」は、多くの経営者にとって極めて重要でありながら、実現が非常に困難な経営テーマでもあります。
特に長い伝統と強固な組織風土を持つ老舗企業の場合、現在の業績が安定しているからこそ、「今のままで十分ではないか」という現状維持のバイアスが働きやすく、新しい一歩を踏み出すことへの心理的抵抗や、組織の成長痛が発生しがちです。
今回は、船井総合研究所(以下、当社)がご支援させていただいた、1947年の設立以来、長きにわたり自動車部品や樹脂製品の製造を通じて日本のモビリティ産業を根底から支え続けてこられた「株式会社イクヨ様」の成功事例をご紹介します。
同社がいかにして、自動車業界における「100年に一度」の大変革期を乗り越えるべく、既存の強固な収益基盤を守りながらも、ホールディングス化という経営体制の見直しを決断し、労働組合とのきめ細やかな合意形成を経て、社員主導の新規事業展開を加速させる「自律駆動型」の組織を構築したのか。当社の視点から解説いたします。
変革期に直面した「両利きの経営」への決意
同社は、大手自動車メーカーからの高い品質基準や納期要求に長年にわたって誠実に応え続け、信頼関係を築き上げてきた企業です。
しかし約2年前に先代から経営のバトンを受け継いだ孫社長は、主力である自動車部品の製造事業が堅実である一方で、世界的なモビリティ業界の大変革期を前にして、水面下で強い危機感と新たな成長への渇望を感じておられました。
これまでの強みや単一の収益源に依存し続けることは、中長期的な企業の存続において看過できない重大なリスクを孕んでいたからです。
そこで孫社長は自社の伝統的な強みを大切に守り抜きながらも、新しい事業領域に果敢に踏み出し、複数の柱を確立する「両利きの経営」を実現することを強く決意されました。
そして、その多角的な事業展開をスピーディーかつ柔軟に推し進めるための強力な器として、さらには将来的なM&Aなどを見据えた機動的な組織体制の構築を目的に、「ホールディングス化(持株会社への移行)」という極めて重要な意思決定を下されたのです。
しかしながら、当時の社内は日常の製造業務がフル稼働している状態であり、複雑な組織再編を自社単独で牽引するための、専門的な法務・財務のノウハウや人的リソースが圧倒的に不足していました。
さらに、長い歴史を持つ企業だからこそ、長年共に歩み会社を支えてきた労働組合との間での、丁寧な説明と円滑な合意形成が必要不可欠な条件であり、これらは容易ではない課題となっていました。
スピード感のある「オーダーメイドの提案」
孫社長は、当社が様々な製造業セクターにおいて多数の実績を持ち、特に事業の多角化や組織再編、M&A支援の領域において高い専門性を有している点を評価し、支援を依頼されました。
プロジェクトが始動してまず経営陣が驚かれたのは、「提案のスピード感と中身の充実度」だと語られました。
当時、同社内では既存事業における様々な重要案件が同時並行で進行しており、時間的な余裕が全くない状況に置かれていましたが、当社が提示した具体的なスケジュールと変革のロードマップは、経営陣を安心させるものでした。
孫社長は「社内リソースや知見が不足する中、船井総研様のロードマップは自社の実態に即したオーダーメイドの設計であり、立場ごとに丁寧な解説・説明を随所に行ってくれたため、社内調整の摩擦を最小限に抑えられた」と語られ、雛形ではなく、同社の状況や独自の課題に徹底的に寄り添った解決策が提示された点が評価されました。
労働組合との対話による「丁寧な合意形成」
組織のあり方を根本から見直すホールディングス化において、デリケートでありながら避けては通れないのが、労働組合との合意形成です。歴史ある企業であればあるほど、経営体制の見直しに対しては丁寧な説明と信頼関係の構築が求められます。
当社はこのプロセスにおいて、法的なアドバイスを行うにとどまらず、実際に現場で使える「社員・労働組合向けの説明文書」の作成や、変革後の円滑な経営統合を見据えた支援を行いました。
孫社長は、「最重要課題であった労働組合との交渉において、貴社が用意された対話資料や助言で『説明を尽くしてくれて本当に良かった』と合意を得られ、他社からも驚かれるほど円滑な社内調整が実現した」と振り返る通り、この合意形成プロセスは、社外の同業他社からも驚きの声が寄せられるほど、社内調整の際の手本となったようです。
若手社員が主役となる「自律駆動型組織」
無事にホールディングス体制への移行(持株会社制の導入)という器が完成したことで、同社内にはすでに目に見える形でポジティブな変化が生まれています。
大きな変化としては社員の当事者意識の向上です。
今回のプロジェクトでは、構想の初期段階から次世代を担う幹部や、現場の若手社員が積極的にプロジェクトチームに加わりました。
自らの手でこれからの会社を創り上げていくという意識が醸成され、日々の実践と修正のサイクルを何度も繰り返すことで、社内には「自分たちが主役である」という高い経営参画への自覚が芽生えました。
孫社長は、「目的はガバナンスの器作りだけでなく、現場の意識改革。若手や次世代幹部を早期に巻き込み、実践と改善を繰り返したことで能動的な当事者意識が生まれ、自発的に挑戦できる風土を築けた」と語られました。現在、製造業全体が「現場の仕事に対する若年層の敬遠」という課題に直面する中で、同社が目指すのは、若い世代が自ら関わりたいと思えるような、活気と魅力に満ちた新しい組織風土の確立です。
同社はそうした社員たちの熱意ある挑戦を、資金面や体制面から全面的にバックアップする仕組みづくりを推進しています。
伝統と革新が描く「次世代のコングロマリット」
株式会社イクヨ様は、創業以来培ってきた自動車部品メーカーとしての盤石な技術力と、次世代の情熱を融合させ、今や自動車部品メーカーの枠を超えた「日本発の社内ベンチャー・ユニコーン企業」をグループ内から輩出することを目指しています。
従来の枠組みにとらわれることなく、M&AやPMIも積極的に活用しながら、日本経済を牽引する「次世代型の地域コングロマリット企業」へと進化していくその歩みは、まだ始まったばかりです。
「受託製造業であっても変化に適応するスピードは不可欠。若手社員の自律的なイノベーションや社内創業を支援する体制を整え、技術力と情熱を融合させ、新規事業を次々と創出する自律的な地域コングロマリット企業へ進化していく」と将来のビジョンをロジカルに描いています。
経営において現状に満足せず「両利きの経営」を目指し、いかにして組織体制を最適化し、社員のエンゲージメントを高めるか。
同社が成し遂げた変革の物語は、同様の課題を抱えるすべての製造業の経営者様にとって、新たな一歩を踏み出すための極めて価値の高い指標となることと思われます。
このような経営者様におすすめです
・第二、第三の事業の柱を確立したい経営者様
・M&Aや事業多角化を見据え、「ホールディングス化」を検討中の経営者様
・既存のグループ管理体制を見直したい経営者様
・事業承継を検討中の経営者様
同社がいかにして「両利きの経営」に立ち向かい、労働組合との合意形成や、自律駆動型のホールディングス体制を構築し得たのか。孫社長が語る経営トップとしての熱い思いの全貌は、下記のお客様の声ページにてご覧いただけます。
