幼保業界の人材市場動向
それでは早速中身のほうに入っていければと思います。まず初めに幼保業界の人口、人材の市場動向というところから俯瞰してお話を進めてまいります。少し図が小さくて申し訳ないのですが、こちらは保育士の有効求人倍率と全業種の有効求人倍率をグラフで指し示しているものでございます。向かって右側が先ほどの令和2年、3年のお話なのですが、今までは有効求人倍率が右肩上がりに上がってきておりましたがコロナ禍に入ってからは少し下がってきているということで、もう少し見やすくするとこのようになります。コロナ禍前には有効求人倍率という数字は福祉においてずっと増加してきましたが、コロナ禍に入ってからの有効求人倍率はコロナ禍前と比べると落ち着いてきているということです。全体的な有効求人倍率は他の業界と比べて圧倒的に高い状況ではあるのですが、これまでの幼稚園、保育園の先生方の就職状況や転職状況から見る限りだと人材の流動性というのは少し下がってきていることがこのグラフから感じ取れるかなと思います。
もう一つのデータをお示しします。こちらも字が小さくて申し訳ございません。こちらは令和3年度と令和4年度で各都道府県別の有効求人倍率を数値にしたものでございます。後程グラフでお示ししますので一旦こちらのスライドを御覧ください。これは何を申したいかと言いますと、色を付けてあるところが過去と令和3年と比較して有効求人倍率が上がっている都道府県でございます。採用がしやすくなったなという実感をされている園様もなかなか少ないと思いますし、今までよりも難しいなと感じられる方が多いとは思うのですが、このように上がっているところもあれば下がっているところもあります。特に注目していただきたいのは関東近郊です。比較的人口が多く、保育所が増えてきた地域でございますが有効求人倍率は栃木県を除いて下がってきていることが見て取れると思います。
こちらも先程の令和4年度の有効求人倍率をグラフにしたものでございます。栃木県の有効求人倍率が一番高い数字になっておりまして、そこから下がっていって一番低くても1.46倍ですので、他の業種に比べてこの業種は1.23倍程度の有効求人倍率になっております。そこを比較するとまだまだこの業界というのは高いかなというのが見て取れると思います。そのためなかなか採用するというのは比較的難しい状況が続いているというところで転職市場もなかなか採用というのは難しいと思われます。
学歴別就職後3年以内離職率の推移
一方で新卒採用に目を向けてみます。次の資料は短大の学生と四大の学生が就職してからどれぐらいで離職をするのかというグラフでございます。こちらは幼保業界に限った話ではございませんので全体のお話になるのですが、上が短大で下が大学卒業というところでございます。少し線を引いてみましたが上がったり下がったりしています。今だと比較的一定の割合で進んでいるかなとは思うのですが、注目して見ていただきたいのはこの大きな流れともう一つはどれぐらいの割合で3年以内に離職をするのかというところです。短大卒の学生さんについては約40%の方が3年以内に離職をするというデータになっております。四大卒の方につきましては30%ほどの学生さんが3年以内には離職をしているというデータでございます。おしなべて見ますと新卒採用で採用した方も大体30%から40%ほど、35%程度の方は3年以内に離職をしてしまうというのがデータとして読み取れるかなと思います。
今回のこの資料に関しましては保育士、幼稚園教諭に限った話ではないので色々な業界のお話が混ざってきますが、おおよそ保育業界でも近しいことが言えるのかなとは思っています。
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