国税調査官として活躍され、現在は税理士法人KAJIグループの代表である加地先生が税務調査でよく質問されること10選を紹介します。
本記事では前半の5つをご紹介します
〇税務調査とは
税務調査とは、納税者が行う税務申告が、納税義務に基づき正しくできているかを、チェックすることです。
国税庁管轄の税務署がチェックしてます。
申告納税制度は、全ての納税者が対象です。
〇税務調査が増加する時期とは
通常は、4月提出スタート3月決算というのはよくあります。
しかし税務署は7月、パートで6月が終わります。
7月から12月は前半戦調査のため、調査に気合が入り、大口の脱税などが見込まれるような大規模調査を行います。
その後、確定申告の1月〜3月は小休憩の時期になります。
4月〜6月までの下半期の簡易的な調査になります。
税務調査を入念に行う時期は、7月〜12月の間と、締めの月である6月の後半です。
その前半前に調査が入る会社は結構重たい調査です。
ただし年間を通して調査が入ることもあります。
〇コロナで調査が減少しているが、コロナ収束に伴い、増加する可能性はあるか
2020年〜2022年は、緊急事態宣言や蔓延防止のため、当局も調査数を抑えています。2022年6月末までに、簡易的な調査が終わり、今後、入念な調査が行われます。
①代表者の身辺調査
代表者の過去の経歴は必ず聞かれます。何度も捜査を受けに行って毎回同じような話を聞きます。引き継ぎをしますが、毎回その時の調査官の感性で、社長の人物をしっかり見たいため、毎回同じことを聞きます。
具体的には、出身から現在あるいは事業を起こしたきっかけなどです。また、個人的な趣味を聞くことで、個人費用の使い込みを調べています。
出身地や転勤地など過去のその人の土地勘を聞き、金融機関の取引があるかどうかを調査します。さらに、過去の職歴を聞くことで、事業の方向性も見出せます。必ず最初に社長の人生観を聞くことで、社長と打ち解けることができます。
②代表者の生活状況調査
代表者の家族構成を聞き、生活状況調査をします。例えば、代表者が世帯主か、独身か、あるいは子供の学費などの状況、自宅か、借家かを聞き、税務調査官がその人の最低限の生活費を判断します。
そして、税務調査の全体的な役員報酬や給与を聞きます。
③売上総利益の調査
基本的に税務署は売上と売上原価を見て、売上総利益が正しいかを調査します。
その中で1番のポイントは、売上の計上基準です。締め日までの売上の計上方法を聞き、売上が計上されているかを確認します。
また、売掛金がどのような形で計上されているかを確認するために、例えば3月締め日の企業でもその先の4月、5月の通帳まで調査します。
④仕入れと外注費の調査
仕入れあるいは外注が売上と対応しているかを調査します。仕入れをしたにも関わらず、売上に計上されていない場合、棚卸資産に計上する必要があります。
仕入れや外注は売上と対応していることを確認、対応していなければ在庫として上がっているかチェックします。
⑤実地棚卸の方法
決算日に実際に誰がいつ、どのような形で実地棚卸をしているか必ず確認します。
また、評価金額が難しい仕掛品(製作途中の製品)が正しい評価基準に則って計上ができているかも確認します。
③売上 ④仕入れ・外注 ⑤棚卸し がすべてセットになって、粗利、売上総利益のチェックで、税務調査の80%は完結します。これらは簡易調査でも必ず聞かれる部分です。
税務調査で聞かれるポイント、人件費・交際費などは後半の記事をご覧ください。