本記事では2025年の最低賃金、過去最大引き上げに対し、中小企業がどのように対策していくべきか3つの対策ステップに分けて対策を解説していきます。
(出演者紹介)
・住宅・リフォーム支援部 ディレクター 井手聡
・ヒューマンキャピタル支援部 マネージング・ディレクター 滝本 千晶
(井手)
9月4日に発表された最低賃金引き上げのニュースがありました。
まず最低賃金引き上げについて、詳しく教えてください。
(滝本)
多くの企業が、なんとなく「10月くらいになると最低賃金が毎年上がる」と認識しているかと思います。
今回は、そもそも最低賃金ってどうやって決まっているか、どういうスケジュールで決まっているかも含めて、お話します。
最低賃金が決定するまでの流れ
(滝本)
最低賃金の引き上げは毎年の話です。
だいたい7月後半から8月頭にかけて、国がまずその年の最低賃金の引き上げ額の目安を決めています。大きく各都道府県をA・B・Cの3つに分けて、Aグループ、Bグループ、Cグループそれぞれいくらずつ上げたいという目安を国が決めて各都道府県に下ろすのが最初の段階です。
(滝本)
その目安を踏まえて、各都道府県が確定します。
2024年は一部の都道府県が国の目安よりも大幅に引き上げましたが、国の目安よりも低い金額で確定することはほぼないです。
【2025年最低賃金引き上げ額の目安(抜粋)】
2025年の各都道府県別の引上げ額の目安は以下です。
ランクA(63円)
東京、千葉、神奈川、愛知、大阪
ランクB(63円)
北海道、宮城、福島、茨城、栃木、群馬、新潟、富山、石川、福井、山梨、長野、岐阜、静岡、三重、滋賀、京都、兵庫、奈良、和歌山、島根、岡山、広島、山口、徳島、香川、愛媛、福岡
ランクC(64円)
青森、岩手、秋田、山形、鳥取、高知、佐賀、長崎、熊本、大分、宮崎、鹿児島、沖縄
(滝本)
9月になると各都道府県が審議に入ります。最終的に地域別最低賃金を示して10月から開始になります。
最低賃金の上昇に対応する方法
(井手)
最低賃金の毎年の引上げは当然中小企業にとっても大きな問題です。
そのための対策のポイントを挙げていただいてもよろしいでしょうか?
(滝本)
大前提としてパート・アルバイトと正社員で賃金の計算の仕方が異なるため、別々に解説していきます。
まずはパート・アルバイトの方です。パート・アルバイトの方が働いている労働者の中で比率が多い企業ですと、求人や、支払い額も時給計算のため、一律で変更していくことになります。
別で考えなければいけないのが、正社員です。
正社員の場合、支払いを月給で考えられますので、この月給を時給に直したらいくらになるのかの計算が必要です。
かつ、月給の中で、基本給や、手当、交通費・通勤費など色々支給されていると思います。
その上で、毎年上がっていく中で、賃金を上げやすい人事制度・体制にしておくためのポイントをご紹介します。
ステップ①月給を時給換算する
(井手)
月給を時給換算する際にどこまでが時給換算に入れるべきかがわからないという方も多いかと思いますので、解説いただきたいです。
(滝本)
例えば、通勤手当などはいわゆる労働に対する対価ではないため、含めません。
※
計算に含める:住宅手当
計算に含めない:通勤手当、精勤手当、家族手当
(井手)
役職手当は職能に関係するため含める認識でよろしいですか?
(滝本)
はい、役職手当は職能に関係するため含めます。
基本給(除外手当を除く)÷月平均労働時間 = 時給
この算出した時給が最低賃金を下回らないようにします。
ステップ② 賃金上昇に対応できる人事制度を確立する
(井手)
最低賃金が上昇していくのに対応しやすい制度にしておくのは大事だと感じます。
制度のつくり方について教えてください。
(滝本)
時給の63円・64円の上昇は大体月給で直すと、8,000円から9,000円くらいの上昇です。
この上昇を毎年反映していく必要があります。たとえ最低賃金を下回ってない企業だとしても、結局世の中の賃金水準がそれより上がってくる点は意識しなければなりません。
そのため毎年数千円単位のベースアップを可能な制度にすべきです。
給与の算出ルールが明確でないと能力等に応じたベースアップが不可能です。
ステップ③毎年の最低賃金の上昇に対応していく
(滝本)
そのうえで最低賃金を下回っている場合は、共通で支給しているものを上げる。
最低賃金を上回っている場合は、職能給などで水準を上げる。
(井手)
「最低賃金を下回らないようにする」という上げなければいけないタイプのベースアップと、「上げてあげたい」、あるいは「世の中的にも、あるいは他社との差別化、競争の観点からも上げていきたい」というベースアップと2種類あり、それぞれで上げる項目が異なる。
これらの点も含め、その3つのステップを踏むということですね。
他にも、最新の業績アップ事例を踏まえて、事業に役立つ情報を発信していく予定です。
楽しみにしていてください。