資金繰り表を作成すべき理由
まず、資金繰り表はなぜ作成するべきなのかというところからお伝えさせていただければと思います。現状、資金繰り表がないと何が問題なのかというところで、お金の流れが読めないことが一番の問題点ではないかなと考えています。例えば資金繰り表がない状態ですと、入金遅れ等が発生して固定費の支払いや借入の返済ができなくなってしまうというような事案が出てきます。ですが、しっかりと資金繰り表を作成いただいておりますと、借入を行っていただき資金ショートを前もって防ぐことが可能となります。さらに、資金繰り表がないと最適な投資のタイミングや投資の金額が不明瞭なまま進んでしまいがちなのですが、資金繰り表があると自社に最適な投資のタイミングや投資額を可視化することが可能となります。また、PLやBSの管理はしているのですが、成長できないという企業さんが資金繰り表を作成いただきますとお金の流れを掴むことが可能になりますので、中長期的な成長というのも可能となってまいります。
財務管理は成長意欲がある企業ほど重視しよう
ここからはコロナ発生から3年ほど経過して、財務の課題も少しずつ変化してきましたよというところをお伝えさせていただきます。まず、2020年の4月頃から資金繰りの支援が開始いたしました。ここから2021年の3月頃にはコロナ融資が縮小してまいりまして、2022年の3月、今年からコロナ融資の返済が始まるというような会社さんもあるのではないかなと思います。この2020年4月や2021年の3月頃に関しましては、やはり資金繰りが第一優先とされておりまして、財務状況に関係なくキャッシュポジションを高水準で維持することが重要と言われておりました。つまり業績に関係なく、据置期間をしっかりと活用いただいて、長期間で満額を利用していただくことが特策と言われておりました。ここが2021年から2022年にかけて少し変わってきておりまして、やはりコロナ融資の返済が始まる上で、財務状況によって取るべき戦略を変える再成長のカギ、そしてやはりここの資金繰りが重要となってまいります。
さらに、コロナ前とコロナ後で比較しますと、金融機関の攻めと守りの体制というのも少しずつ変わってまいりました。これまでコロナ前で申し上げますと、事業戦略や資金調達、先行投資というような攻めの部分が非常に優先順位が高く見積もられていて、守りの部分の財務戦略や資金繰りの管理、業績管理というところは少し優先順位が低めに設定されていたのですが、コロナ後では、攻めの部分は相変わらず高いということになるのですが、守りの部分に関しましても、これまで優先順位が低いとされていたものもしっかりと高い水準で保っていかないといけませんよというような金融機関の体制に変わっております。ですので、これまで攻め一辺倒だったところはあるのですが、コロナ後に関しては守りの部分をしっかり強化していかなければいけませんよということになってまいります。
さらに、制度融資のおかわりはなしということで、制度融資を再度いただくというのは難しくて、コロナ対策の第二の矢というのは財務の管理、いわゆる守りの部分を強化していただく必要がございます。
ここからは財務戦略の王道といたしまして、重要な部分をお伝えさせていただくのですが、この表の中で一番重要とされているのが現状把握という部分になります。皆さまが経営される中で、やはりまずは現状把握をしていただいて、その後に戦略を立案していただいて、その戦略を実行していただくというようなかたちでPDCAを回していただいている方が多いのではないかなと思いますが、この現状把握という部分が財務においてできていない企業というのが非常に多いです。できているつもりでも実際はできていないというような企業が多いのが現状把握になっておりまして、財務の現状把握の中で最も重要論の高い資金繰りの把握というのを本日は具体的にお伝えさせていただきます。
最短で成長するための3つのSTEP
具体的にどのようなステップで把握していただくのがいいのかということで、実践していただきたい3つのステップという今お伝えしたことの具体的な部分になります。
まずは現状の分析をしていただきますと、ここで自社の資金繰りの状況や資金繰りの予測を把握していただく必要があります。本日はここの部分を中心にお伝えさせていただきます。
その後は財務戦略の立案ということで、しっかりと現状を把握した上で中長期的な自社の目標設定を行っていただきます。課題解決の優先順位付けを行い、ステップアップを目指していただくようなかたちとなります。
そして最終的に財務戦略の実行ということで、財務管理体制の整備や資金調達環境の整備を行っていただき、しっかりとPDCAを回しながら決算年度ごとにゴール設定を修正していただくというかたちとなっております。
これまでの内容を踏まえまして、資金繰り表の具体的なご説明をさせていただければと思います。大きく3つのテーマに分けてお伝えさせていただきます。
まずは資金繰り表とはということで、資金繰り表は何なのか、構造はどうなっているのかというところからお伝えさせていただきます。次は実際の作り方、どのように作っていくのかをお伝えさせていただきます。そして最終的に、作った資金繰り表をどのように活用していただくのかというところを具体的にお伝えできればと思います。
資金繰り表とは
まず始めに「資金繰り表とは」からお伝えさせていただきます。資金繰り表とは、企業のお小遣い帳、または家計簿のように考えていただければと思います。損益計算書や対借対照表からは把握ができないお金の流れを表すことができるものになっております。こちらの表に示してあるような形で作成していただくのがいいかなというところになっております。
そして、よくお聞きする社長のお金のお悩みとしては以下のようなものが挙げられます。例えば、損益計算書で利益が出続けているのに会社のお金は減り続けているというような企業さんがあるかなと思いますが、借入金の返済は損益計算書には計上されておりません。ですので、損益計算書だけでは会社に残っているお金を把握することができなくなっておりますので、しっかりと資金繰り表を作成していただくことが重要となります。また、建物を購入したいけど、購入しても今後の資金繰りが大丈夫なのかが分からないというようなお悩みを抱えている方もいらっしゃるのではないかなと思いますが、資金繰り表を作成していただければ半年後や1年後まで資金繰りが予測可能となりますので、しっかりと資金繰り表を作成していただいた上で投資の判断をいただくというのが重要なポイントとなってまいります。ですので、このようなお悩みは全て資金繰り表で解決することが可能です。
資金繰り表の構造といたしましては、損益計算書と貸借対照表の両方の要素から成り立っております。ここからは具体的に、資金繰り表がどのような構成で成り立っているのかをお伝えさせていただきます。
まずは経常収支からお伝えさせていただきます。経常収支というのが、いわゆる営業の中での入出金のデータを表す数値となっております。
ここでも細分化していきますと、まずは売上と減価に関わる項目に関しての数値入力なのですが、ここで注意いただきたいのが、例えば入金の場合、1月の入金というのがイコール1月のPLの売上とは限りません。1月に入金されている額というのが1月の入金額になりますので、実際に入金されている額を記載していただくようにお願いいたします。また、出金も同様で、1月の出金がイコール1月のPLの減価ではありません。ですので、1月に実際に支払いをした額というのが1月の出金となるというようなかたちになります。資金繰り表ではどちらもPLに計上されている額ではなくて、入出金がされた実際の金額が入るということがポイントとなっております。
続いて販管費項目に関してですが、販管費については先ほどと少し違いまして、当月のPLの販管費の額がそのまま入るようなかたちになります。しかし、ここで注意していただきたいのが減価償却費なのですが、減価償却費は実際に支払いを行っていない費用になりますので、減価償却費分はプラスしていただくようにお願いいたします。
経常収入と経常支出は代表的なものをこちらに挙げさせていただきました。経常収入ですと、売上や売掛金の回収、受取手形の入金、前受け金の入金、その他入金というところになります。経常支出で申し上げますと、現金仕入、買掛金支払い、支払手形決済、未払金支払い、給与、経費などが含まれます。
続いて経常外収支、財務収支の部分をお伝えさせていただきます。経常外収支というのが先ほどとは逆でして、営業とは関わりのない入出金のことを示します。また、財務収支に関しましては、金融機関からの借入というところを主に示しております。まず、経常外収支に関しまして、こちらは営業に関わらない入出金の金額ということで、例えば固定資産の購入費用や支払い利息、保険の解約返礼金などが含まれます。そして、財務収支につきましては、金融機関の調達額と借入の返済額が入るような形になります。
実際に数字を埋めていく中で、どこから数字を埋めていけばいいのか、何を見て数字を入れればいいのかが疑問点として上がるかと思いますが、こちらを詳しくお伝えさせていただきます。
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