本気で組織改善をしたいという方に向けて、プロの経営コンサルタントが実例に基づく組織開発・人材育成・採用に関する価値ある情報を発信しています。
(出演者紹介)
住宅・リフォーム支援部ディレクター 井手 聡
ヒューマンキャピタル支援部ディレクター 中川 洋一
中小企業の大きな経営課題:人材不足と離職率の高さ
【離職懸念噴出!?】人事専任者がいなくても定着率を高める3つの仕組み
でお伝えした通り、多くの中小企業にとって人材の不足、そして社員の離職率の高さが大きな経営課題になっています。
今回は中小企業がそれをどのように導入し、定着させていけばいいのか、この5つのステップについてお伝えします。
社員が辞めない組織を作る『5ステップ』
(井手)
前回は社員の定着率を高めるための3つの秘訣を伺いました。
それを中小企業が導入するためには、どういう手順を踏めばいいのでしょうか?
(中川)
まず中小企業がすぐに実施できるステップは以下の5つです。
step1. 定着率を上げる経営者の意識改革
step2. 対話の仕組みを構築
step.3 フォローアップの仕組み作り
step.4 情報共有をするような仕組み作り
step.5 ビフォーアフターを把握するための効果測定
step1. 経営者の意識改革
(中川)
正直なところ、中小企業の経営者の方の多くが「辞めたい」と思っている人は「辞めていい」と思っているケースが一定数あります。
しかし、これからの厳しい採用トレンドを考えると、「辞めたいやつは辞めればいい」と思っている状態だと、本当に苦労します。
「辞めたい人」と向き合った実例と定着の重要性
私自身、船井総研の人事担当として、「辞めたい」と言う人と多く向き合ってきました。
しかし、まず退職を止めて、配置転換などで本人の成長を後押ししたところ、見事当社の中でトップクラスに成果を上げる社員に成長した事例もあります。
そのため、ある程度長い目で見て、とにかく定着してもらうことが重要です。組織を大きくしていくために、経営者のマインドを変えないとかなり厳しい時代に入っています。
意識改革のポイント:社長が人材開発の責任者に
船井総研としてよくお伝えするのは、「社長が人材開発の責任者になる」です。これが一番端的に分かりやすいです。
人材開発の責任者を社長がやれば、意識改革も当然進みますし、組織の動かし方もガラッと変わるため、ここが一番のポイントです。
(井手)
社員に辞めさせないため、社長自ら人材開発の責任者を務めるレベルで意識改革をしてほしいということですね。
step2. 時期と担当を工夫した対話の仕組み作り
辞めやすい時期に合わせた対策と面談の実施方法
(中川)
制度設計から始めると、動き出しが重たくなってしまいます。
年間を通して退職者が増える時期が、どの会社でも絶対あるはずです。年度末や役職が上がったり下がったりする時など、辞めやすい時期があるでしょう。
まずは、そのような時期に合わせた対策をします。
人数が少なければ、全社員1on1面談です。人数が多いなら、ある程度絞り、全体の2〜3割、できれば半数くらいと面談を実施します。面談の時間は、1人30分程度で構いません。
面談担当者の工夫:自部署外のメンバーとの対話
面談をする際には、各管理職でやってもらう必要があります。しかし、自部署のメンバーの面談は一旦外し、違う部署のメンバーの面談を担当分けします。
これを年間通してやると負担が大きく動かなくなります。
そのため、ある程度時期を決めて一気にやる形が始めやすいです。
社員が辞めやすい時期とその対策
(井手)
社員が辞めやすい時期、例えばゴールデンウィークやお盆休み、年末年始など、まとまった休暇明けに辞める社員が多いと聞きます。
そのため、長期休暇に入る前の段階で1on1をしたり、ランチや飲み会を開催して「また休み明けに元気で会おうね」としている会社もあります。そういったものは有効でしょうか?
(中川)
大いに有効です。ただ、人数的な問題もあるため、1人30分でオンライン面談でも良いです。もっと短くてもいいくらいです。
(井手)
何らかの形でとにかく対話、接触をすることが大事なのですね。
step3. 対話に応じてすぐにフォローアップ
(中川)
ヒアリングした結果、問題や懸念があれば、すぐに配置転換をしたり、業務を外したり、上長を変えたりといった対応をする必要があります。
フォローアップ実行時のポイントと制度設計の必要性
いきなり実行すると、周囲も動揺するため、正直少しざわつくことはあるでしょう。しかし、社長が人材開発の責任者として立ち回るという覚悟のもと、それは社長決裁で動かした方が間違いなく良いです。
将来的には、制度設計として部門間の異動が柔軟にできる仕組みづくりは、すべきなのは間違いありません。本人や上長からの申告などで柔軟に異動できる仕組みを制度として作ることが望ましいです。
step4. 定例会議で「情報共有」を促進
(中川)
1on1で情報を取るのも有効ですが、現場の幹部が感度を高めて気づけるようにすれば、1on1を実施しなくても問題が見つかります。
会議体の設計と共有すべき事項
この力を幹部陣に教育していくという意味で情報共有の仕組みを作る必要があります。とても簡単で、月に1回、45分で構わないので会議体を設計してもらいたいです。
その会議体の中で、各チームやグループでどれぐらいの離職者が出ているか、組織の中での定着率の違いなどを数字として共有します。
さらに、定着率の高い組織の上長が何をやってるのかをノウハウとして共有する時間を作ります。これはすぐにできることです。
step5. PDCAサイクルで効果測定と改善
定着目標の数字を決める
(中川)
ステップ1で経営者がコミットします。コミットは、数字を決めることです。今の離職率が何%だから、この1年で何%にするという数字をまず決めます。
その目標に向けて、情報共有の仕組みなどを使いながら、離職者が多い組織に介入して改善します。全体としての数字を、掲げた目標にどう近づけるかという行動です。
採用人数だけでなく、まず定着目標が何%なのかをちゃんと掲げる必要があります。
そして、1年通じて施策を打ち、改善したかを確認するために、数字でまず出すことです。
組織全体の数字で見てぼやけるので、より細分化したグループにおける数字で、より詳細を見ていきます。
数字の分析から改善へ:離職要因を特定し介入する
数字の詳細を分析してみると、離職要因も部署によって全然違います。人間関係や仕事量のストレス、ビジョンや未来に対しての問題など、それぞれ出てきます。改善できるところは介入して、改善していきます。
これでPDCAをしっかり回していけば、1年目である程度の結果は出ます。
もし目標を達成できなくても、2年目では間違いなく改善してきます。この辺りは数字をちゃんと見えるようにしながら、各ステップを実施していくと、有効です。
(井手)
売上や利益だけでなく、社員の定着についても、数字で目標を決めて、実績と見比べ、改善をするというPDCAサイクルを回していくのですね。
まとめ
【最重要課題】社長が最初に取り組むべき意識改革
・「辞めたい人は辞めればいい」はNG:経営者は長期的な視点で社員の定着を最優先すべき。
・社長が「人材開発の責任者に」:経営者自身が人材開発にコミットすることで、組織全体の動きが変わり、意識改革が進む。
社員が辞めない組織を作る『5ステップ』
step1. 定着率を上げる経営者の意識改革:社長が人材開発の責任者になる。
step2. 対話の仕組みを構築:辞めやすい時期に1on1面談を実施する。
step.3 フォローアップの仕組み作り:問題が判明したら迅速に配置転換・業務変更する。
step.4 情報共有をするような仕組み作り:会議体を設け、情報共有する。
step.5 ビフォーアフターを把握するための効果測定:目標数値を設定し、PDCAを回す。
今回は、中小企業が人事専任者がいなくても、社員の定着率を高めるにはどうしたらいいか、その5つのステップについてお話しました。まずはできることから1つずつ取り組んでいただきたいと思います。
他にも、最新の業績アップ事例を踏まえて、事業に役立つ情報を発信していく予定です。楽しみにしていてください。