【離職懸念噴出!?】人事専任者がいなくても定着率を高める3つの仕組み
本気で組織改善をしたいという方に向けて、プロの経営コンサルタントが実例に基づく組織開発・人材育成・採用に関する価値ある情報を発信しています。
(出演者紹介)
住宅・リフォーム支援部ディレクター 井手 聡
ヒューマンキャピタル支援部ディレクター 中川 洋一
本記事では「人手不足でもできる!社員が辞めない組織を作る3つの秘訣」とし、中小企業の経営者の皆様が抱える
・採用しても定着しない
・人材不足が深刻な課題
といった悩みに焦点を当てます。
特に、人事や人材開発の専任者を置くことが難しい中小企業にとって、社員の定着率向上は喫緊の課題です。限られたリソースの中でも社員が辞めない組織を作る具体的な方法についてお伝えします。
社員定着率における課題と定着率を高める3つの取り組み
(中川)
中小企業だと数年で社員が入れ替わることも珍しくなく、離職率の改善や人が辞めない組織にすることが大きな課題になっています。
(井手)
中小企業の場合は、人事専任者を置く余裕がない企業も多いです。
その上で、社員の定着率を上げるために具体的にどうすれば良いでしょうか?
(中川)
定着について、まず採用戦略が間違っていて定着しないケースがあります。これは採用戦略の話です。あとは、長く勤めてもらうための考え方も、また別のアクションが必要です。今回は、年間定着率をどう高めるかに焦点を当ててお話しします。
そのための重要なキーワードは以下の3つです。
・対話
・フォローアップ
・情報共有
定着率アップの取り組み :退職の兆候を察知する「対話」
退職の兆候を早期に把握する重要性
(中川)
退職は本人の間で急にスイッチが入り、短期間で転職先が決まってしまうことで、後戻りできない状況に陥ることが少なくありません。
そのため、退職の兆候をいかに察知するかが重要です。船井総研での経験を踏まえると、やはり話を聞かないと見えてこない部分が多いのが実情です。
本人が抱える問題点も、話してもらわないと分かりません。そこで、船井総研では「1on1面談」を非常に重視しています。もし人事専任者がいない場合は、せめて別部署の上長との面談をお勧めします。
直属の上司以外との1on1面談の重要性
直属の上司との1on1面談は、詰問のような雰囲気になりがちです。
そのため、利害関係のない別部署の上司や先輩との面談を設定することで、様々な悩みや相談が自然と出てきやすくなります。「対話」、特にヒアリングの形で話を聞くことが、まず取り組むべきです。
面談制度vs1on1面談:リソースと効果の比較
(井手)
利害関係のない方との関係構築が重要になるとのことで、メンター制度も聞きますが、そういった制度も効果的でしょうか?
(中川)
メンター制度も良いと思います。しかし、関係性が深まると友人関係のようになりやすく、基本的に担当制のため定期的な継続が必要です。
一方で1on1面談は、リスク懸念のある時期やタイミングを見計らって対象者をピックアップし、手分けして面談を行う形式です。必ずしも年間を通して行う必要はなく、1回限りでも構いません。メンター面談も良いですが、リソースを考慮すると1on1面談の方が適していると考えます。
2on1面談のメリット・デメリット
(井手)
私の支援先では、1on1だとどうしても閉鎖的になりがちなため、上司と先輩の2人が本人と話す「2on1」を実施しているケースもあります。この点について、どうお考えですか?
(中川)
リスクを考慮すると、むしろ良い選択です。しかし、リソースの観点からは、2on1では時間的な負担が大きいです。船井総研では、徹底した1on1指導で対応していました。
(井手)
限られたリソースで、特に最初の1年間の短期的な離職を防ぐには、担当者が定期的に交代する1on1が効果的ということですね。
定着率アップの取り組み :問題解決に直結する「フォローアップ」
(中川)
フォローアップは、まず個別の状況確認から始めます。本人が悩んでいるように見えても、実際はモチベーションが高い場合もあります。その場合は現状維持で問題ありません。しかし、もし少しでも悩みや不安、懸念がある場合は、その人への具体的な対応策を設計する必要があります。
離職を回避するための経営陣を巻き込んだダイナミックな配置転換
問題がある場合、その話を聞いただけでは解決しないため、以下のようなダイナミックな対応が必要です。
担当業務をすべて変更する
部門やチームを異動してもらう
直属の上司を変更する
場合によっては同僚との配置も考慮する
これらの対応をすぐに実行しないと、その場で問題が解決したように見えても、数ヶ月後や翌年には離職につながる可能性があります。
このようなダイナミックな配置転換や移動の措置は、経営陣を巻き込み、体制として判断を早急に行う必要があります。月1回の経営会議での判断では遅すぎるため、1週間や2週間で迅速に動けるような仕組みと体制を整えておくことが非常に重要です。
成長を妨げてしまうことへの懸念
(井手)
そこまで介入すると本人の成長を妨げるのではないかという感覚がありますし、そう思う経営者も多いのではないでしょうか?
(中川)
私も同感です。しかし、結局は環境を変えることが本人の成長にとって最も効果的だと考えています。
1on1面談を実施する中で、本人は些細なこととして話していても、実はそれが本人にとって非常に大きな悩みの氷山の一角であるというケースを多く経験してきました。
そのため、1on1で本人が漏らした悩みを単なる「よくある悩み」として片付けるのではなく、本人が抱える根深い問題として捉え、時に思い切った対応をすることが重要です。精神論に頼るのではなく、本人のためを思った具体的な解決策を講じることが、結果的に本人の成長に繋がり、離職を防ぐことにもなります。
定着率アップの取り組み :幹部陣の意識を変える「情報共有」
「辞めます」の報告の前に問題を発見する仕組み
(中川)
離職防止のための即効性のある対策として、1on1や配置転換が挙げられます。
しかし、これらはあくまで表面的な対応に過ぎません。
本来、日頃から同僚や上司が一緒に仕事をする中で、従業員の変化に気づくべきです。
重要なのは、幹部陣が「少し気になる」段階で問題を早期に共有する仕組みを徹底することです。現状では、社員からの
・辞めます
・次の転職先が決まりました
など決定的な段階になって初めて現場から報告が上がってくるケースが多く見受けられます。そうなってから引き止めるのは非常に困難です。
もちろん、1on1も早期の情報収集には有効ですが、本質的には組織の管理者が問題を発見し、積極的に報告する体制を構築することが最終的な目標です。
「定着・離職」専門会議体の設計と運用
この情報共有の仕組みとして、「定着・離職」をテーマにした会議体を月に一度開催することをお勧めします。
会議体で共有すべき数値とノウハウ
これにより、各部門の離職状況を数値で比較分析できます。
また、離職につながる関わり方や、それを防ぐための具体的な施策、さらには会社として同様のケースが発生した場合の対応方針を幹部陣と共有・すり合わせることができます。
対応方針とは、配置転換を含め、何としてでも食い止めたいと考えていることなどです。
このような時間を設けることで、幹部陣のマインドが変革され、従業員の異変に気づきやすくなります。
そして、気づいたことをすぐに共有し、個人的に抱え込まずに、会社全体としてどのように対応していくかを連携できる体制を構築することが、離職防止における情報共有として重要です。
月1回の会議の重要性
(井手)
その会議は月2回以上開催する必要はありませんか?
(中川)
はい、月1回で十分です。毎月発生する離職者について、その理由も含めて全体で共有する。すると、どのようなケースでどのような問題が発生するのか、お互いに理解を深めることができます。これは普段の関わり方にも良い影響を与えるため、ぜひ実施すべきです。
(井手)
中小企業の経営課題の多くが人材不足や離職率の高さにあると言われています。もちろん業績は重要ですが、社員の定着を全社的に推進する取り組みや、そのための会議体を新設するなど、対策を講じる必要があります。
まとめ
【定着力向上のための最重要キーワード】
1.対話:離職の兆候を早期に察知し、社員の悩みを聞き出す
2.フォローアップ:対話で見つかった課題に対して迅速かつ具体的な解決策を講じる
3.情報共有:幹部陣の意識を変え、組織全体で問題の早期発見・対応を可能にする
具体的な取り組みとポイント
1.対話:別部署の上長による1on1面談の実施
2.フォローアップ:経営陣を巻き込んだ迅速な対応
3.情報共有:「定着・離職」に関する会議体(月1回)
今回は、社員の定着率を高める3つの秘訣についてお話しました。
中小企業が具体的にどのような手順で取り組むべきかについては、
【警告】「辞めたい人は辞めればいい」は間違っていた! 定着率アップの最初のステップは社長の意識にて詳しくご紹介します。
他にも、最新の業績アップ事例を踏まえて、事業に役立つ情報を発信していく予定です。楽しみにしていてください。