~常に成長、大胆な目標~
少し話は変わってしまうんですけれども、皆様ビジョナリーカンパニーという本を読んだことはありますでしょうか。その本の中にこのような一説がございます。「常に成長・大胆な目標」です。そして、この二つには大事なポイントがあります。一つ目は経営者が強い思いを持って自分たちの最終目標のビジョンとして描けているかです。二つ目が大量のものを試してうまくいったものを残すことです。一つでもうまくいったものがあればそれに全身全霊をかけて取り組むことと記載がございます。
僕はこの二つがDXに共通していると思っております。例えばこの後にご紹介させていただくDXで成功している会社様は元々年商1億円少々の塗装会社様でしたが、今は年商で10億円近くになっており、DXにうまく取り組んでおります。また社長のビジョンとしてスマホひとつで自由に働ける働きがいのある環境、効率的な環境、成果が出る環境を作っていきたい夢があるからこそ夢のためにDXに取り組んでおられます。
そして、二つ目の大量のものをうまく試してうまくいったものを残すについてですが、皆様はDXにどのようなイメージをお持ちでしょうか。最新のデジタルツールやシステムを導入することで、あらゆる面でスマートに成果が出るイメージがあるのではないでしょうか。実は全然そんなことはなくDXは目の前の問題を一つ一つ解決していく泥臭いものです。そして、その過程で行った施策で効果のあったものを残していくわけです。
中小企業を待ち受ける“2025年の崖”を乗り越えるために
次のスライドのタイトルに2025年の崖という言葉がございますが、皆様こちらの資料は見たことがございますでしょうか。こちらのスライドにあるのは経産省が出しているDXレポートになりまして、今の日本がいかに危機的状況であるかが示されています。無料で読むことができますので、ご覧いただければと思います。DXレポートに書かれている内容は後ほどご紹介させていただきます。
そして、企業は今、変革を求められています。この変革というのは今の既存の枠組みや取り組みとは違った取り組みを行って成果を出す。違った枠組みでビジネスモデルを組み替えてアップデートしていくということです。そして、先程も出てきた2025年の崖とは何なのかですが、こちらは2025年以降国で最大で年間12兆円の経済損失が生じる可能性があることです。ではなぜそのような損失が生じてしまうのかについてですが、それは複雑なシステムが老朽化しブラックボックス化した場合に国際競争力の遅れや日本経済の停滞によって約12兆円の経済損失が生じる可能性があるとDXレポートに記載されています。
そして、話は変わりますが、コロナウイルスが流行り始めたときに地域や自治体ごとの新型コロナウイルスの感染者数を国に報告する時にFAXが使われていてFAXが届いたか否か、感染者の集計が間違っているという誤報があったのも皆様の記憶に新しいのではないかと思います。感染者数の集計くらい自治体ごとにスプレッドシートで管理できないのと思ったりもしますが、いまだに日本中がこのような現状です。
このような現状にならないために我々がしなければならないことこそDXなのですが、2025年の崖を乗り越えるために国も本気でDXに取り組んでいます。スライドにも書いてあります通り既存事業や組織の改善、最適化、企業文化やビジネスモデルの変革がDXでございます。
こちら、弊社の会員様はもしかしたらご覧になられたことがあるかもしれませんが、あらためてご説明させてください。三つのステップがございまして、一つ目のステップがデジタイゼーションで業務をアナログからデジタルに切り替えていくことです。具体的にはFAXで取りまとめていたものをスプレッドシートで取りまとめるなどです。二つ目のステップが業務プロセスをデジタルで効率化することです。例えばシンプルにスプレッドシートを使って社内の数字を共有するだけでもデジタルの効率化です。紙媒体やリアルの文字だと間違えて消してしまったり、処分してしまったら見ることができませんし、特定の場所にいかなければ情報を得ることができませんが、Excelやスプレッドシートなどに取りまとめておけばPCやスマホ上ですぐに確認ができます。私はこれも一つのデジタイゼーションだと思っています。
最後のDXについてはビジネスモデルのアップデートをしていただきたいです。具体的には下に書いてありますが企業がビジネス環境の激しい変化に対応してデータとデジタル技術を活用してビジネスモデルを変革させていただきたいです。ただDXを行ったからと言っていきなり集客数が100件を超えたり、契約率が+30 %になったり、毎月2.000万の売上を取ってくる営業マンを量産できたりはしないと思います。このような大前提をご理解いただいた上でうまくデジタルツールを活用して成果を出されてる会社様の事例をこの後ご紹介させていただければと思います。
こちらのDXはより皆様の業績アップスピードを加速させていくものであるとお考えいただければと思います。そして、DXをする際大量のデジタルツールがありますが、便利だからという理由だけで導入するのは絶対にやめてください。本当に失敗しますし、むしろ自社の業績アップや課題解決のために必要なツールを導入していくのが本来あるべき姿ですので、見境なくツールを導入するのではなく、一見地味でも自社の課題解決や自社の業績を伸ばすための働きができるツールを導入していただきたいです。弊社ではプロダクトアウトDXと呼ばせていただいておりますが、製品が素晴らしいから導入してみるのではなくて、マーケットインDXで自社の業績アップや課題解決のために必要なツールを導入していただきたいです。このセミナーをお聞きいただいてる方にどのような経営課題があるか分かりませんが、例えば受注粗利は取れたけれども完工粗利率が下がってしまう問題を解決するためにはどうしたらいいのか、WEB集客が弱いので集客DXにはどのようなものがあるのかなどが悩みだと思います。
事例紹介
これまでの話を踏まえて事例を挙げさせていただきます。ご紹介する会社様は宇都宮市に本社が存在する株式会社住泰様の代表取締役の千葉社長でございます。千葉社長はスマホやタブレットを効率的に活用し生産性も高く長く働ける会社にしていきたいと強く願われています。
株式会社住泰様は業績が非常に好調でコロナの中でも成長しておりまして、塗装業界やリフォーム業界が苦戦を強いられていた直近の2月に単月受注売上が単月で7,600万円を達成しておられ恐らく3月も7,000万円から8,000万円で着地する予想になっておりますが現状の年商レンジは8億円と少しになっています。ただかなりのハイペースで成長しておりますので、成長のひずみは様々な部分に出ていました。
例えば毎日社員が残業することで深夜産業につながり、それが離職につながります。株式会社住泰様のとある営業マンの方にお話を伺ったときに「毎日朝七時に出勤して夜の十時まで働くことでやっと売上数値を作っている。売上の目標は上がっているけれども本当に疲弊感が募っている」とのことでした。
店長陣や営業部の主任クラスがその状態なのを他の方が見ると、このようにはなりたくないので離職につながるわけです。株式会社住泰様は延びてはいますが、ここ数年で離職した社員が多くいらっしゃいます。これだけ業績が伸びてるとすごく好調な会社様だと思えるかもしれませんが、残業が繰り返されて離職につながって営業マンからこの会社の働き方に関してマイナス発言が出ることも多くありました。
そして二つ目の案件対応力減少してしまって契約率が18%も下がってしまったことについてですが、これは当時年商が1億円と少しだった時は社長とナンバー2の営業だけで会社の売上を作っていたのですが、現在千葉社長は営業に出ておらず今の売上は社長以外の新人の方も含む営業マンたちがつくっていますので、なかなか契約率が伸びず、社長やナンバー2の方が中心に行っていた時の営業と比べて契約率が20%近く下がってしまっているわけです。契約率が下がってしまうと元々取れていた契約数を取るのにいつも以上に販促費がかかってしまうという課題もありました。三つ目の問題点として、受注した段階では粗利が○○%あったけれども完工粗利の段階で○○%に下がってしまう問題がありました。例えば、受注段階の粗利率40%で受注していたものが6%ダウンして34%になってしまう、35%で受注していたものが6%下がって29%になってしまうといった受注粗利と完工粗利の乖離がありました。このようになってしまう原因を調べてみたんですけれども原因は営業マンごとに違いましたので、会社全体で-6%になっている一つの要因があるというよりも、ヒューマンエラーが積み重なって-6%になっていたということです。
そして四つ目が月商1.5ヵ月分の未入金問題です。例えば月商が7,000万の月で説明いたしますと工事は完工しているのに7,000万円×1.5で1億円と少し未入金があることに気がつかなかったという課題がありました。もちろんこのセミナーをお聞きいただいている会社様が全てこれに当てはまるかと言われたらそうではないと思いますし、会社様ごとに異なる課題がある中で、住泰様が課題解決のために取り組まれたのがマーケットインDXです。まずは毎日社員が深夜残業をしていると離職に繋がってしまうので業務時間を短くする業務DXを行いました。二つ目の案件対応力の減少により契約率が18 %落ちてしまっていたので、契約率を上げる営業DXを行いました。三つ目に粗利が落ちてしまっていたので、完工粗利と完工粗利率を上げる施工DX、四つ目の未入金が多かったという課題については、自社のPL/BS/CSなどの財務資料を改善するための財務DXを行っています。
それぞれの自社の悩みを解決するためには何をするべきかをこちらのスライドにまとめさせていただいております。スライドには細かく書かせていただいておりますが、結論として一つ言いたいのは集客をして、塗装をしてほしいというお客様に代金をいただくまでが、マーケティングのプロセスだと思っています。こちらの・・・