◆開催日時:2020年6月3日(水)
◆講師:船井総合研究所 松井 哲也
1.ホールディングス会社(持株会社)とは?
最初ですが、ホールディングス会社とはということで、このあたりはもうご存じの方も多いので、簡単にしますがholdです。保有ということです。
グループ子会社となる事業会社の株式を保有する親会社を指します。
純粋の持株会社と事業持株会社というかたちで二つありますが、当初は事業持株で包まれるケースもありますが、あるいはここで止まってるケースなんかも、まだあると思うんですけれども、船井総研もそうなんですけど純粋持株会社です。
いわゆる単体で、事業会社を管理・統括します。こんな役割まで持っていけるといいなというところで、ホールディングスは大きく二つに分かれます。
2. 一般的なホールディングス体制
あとよく言われますが、所有と経営の分離ということで、経営者=株主さんでありますけれども、このあたりを株主部分と所有者とそれからこれは各事業になると思うんですけれど、経営者とで分けていくということで、POINT①:オーナーさんが、ホールディング会社株式を保有。POINT②:ホールディングスが子会社株式を保有。POINT③:ホールディングスに各事業会社がある。
こんな状態が一般的な体制といわれております。
3.一般的なホールディングス化のメリット・デメリット
あとは、メリット・デメリットです。
このあたりは、一番言われるのが、下のほうに税務と書いておりまして、よくホールディングスというと、やはり、自社株対策といわれております。
事業継承に絡めてこのあたりでいわれるケースが多いです。
地域の会計士さんや税理士さんとまずは、ホールディングスにしておとこうという話はあるのですけれども、やはり一番大事なのは、上側に書かれてあります経営戦略であって、より組織を強くし成長させるためのホールディングスです。
これが本来のメリットとして使っていただきたい方法論です。
それが攻めのホールディングスと言っております。
4.ホールディングス体制とカンパニー制の違い
あとは、よく言われるのが、ホールディングスとそれからカンパニー制、事業部制の違いです。
ちょっと簡単に整理したいのですが、組織面でいうと、同じ会社の中で、事業会社移行、事業カンパニー移行、それぞれが出てきたりして、メイン会社が中心になってしまって、逆にやりにくいという場合もあり、なかなか客観的に観れる立ち位置がないというようなことはよくあります。
しかし、ホールディングスの場合は、先ほどの純粋の持株でホールディングス会社が事業会社から切り離された状態で、俯瞰的、客観的な鷹の眼というような、グループ全体の最適化を観れる、これが非常にいいなと思います。
あと、M&Aなんかも同列だとなかなか事業性の中に新たなM&Aで入ってしまうと、多少なりとも衝突する部分が出てきてしまい非常にやりにくいです。
逆にホールディングス体制になれば、親子関係の視点から見ても、事業会社同士は親子関係ではありませんので、ホールディングス側が非常に客観的に見やすい状況で買収した会社様が入りやすいので、完全に横並びの体制で同じ事業会社としてやっていきやすい立ち位置になります。
あとは財務です。財務に関しては、カンパニー事業部だとほとんどの企業さんが、部門別のキャッシュフローまでなかなかいかなくて損益で止まっているケースが多いです。
ホールディングス化することで、事業会社も最低限のPLBSキャッシュフローも見られます。
ホールディングス側は固定資産の管理やグループファイナンス等の高度な投資や借入を担当して、各事業会社のPL・BSキャッシュフローもしながらホールディングス側も全社のPLBSCFや固定資産やグループ管理をします。このように財務のステップが非常に上がると言われておりますので、その点も非常に大きいと思います。
あとはホールディングスということを生かせるのであれば、経営者を育成するのがいいです。
逆にホールディングス化していても経営者の方が全て同じだと、ホールディングスの利点が生かせないので、事業会社それぞれで経営者を育成することをお勧めします。
最後に採用についてです。採用面もホールディングス化することで地域に対する影響力が出てきたり、多事業化していく中でより高度な人材を採用していくところが多くなるのですけど、人材が取りやすくなる側面もあると思っています。
5.なぜ今、中小企業のホールディングス化が注目を浴びているのか?
次になぜ今、中小企業のホールディングス化が注目を集めているのかについてです。
歴史はいろいろとありましたと書いてあります。
終戦、戦後、1990年代とありますけど、1997年以降に金融法の改正で持ち株会社化が可能になりますが、大企業中心だったのが2010年以降から中小企業でもホールディングス化を実施するところが増えました。
増えたとはいっても事業承継からくる自社株対策が圧倒的に多いです。
これをわれわれは守りのホールディングスと呼んでいます。
昨今ですが、片やホールディングス化の制度を生かして企業の経営課題とか未来に向けて成長するための課題を解決するためのスキームとして活用されるところもあります。
このあたりが攻めのホールディングスということになります。
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