2020年以降、業種×地域の一番企業から頂くご相談
2020年以降にいただいているご相談に多いのは、こういった事柄でございます。既存事業の成長が鈍化しており、ポイントとしては地域一番企業でありながらも成長率が落ちている、といった内容が、相談として増えております。また、「新規事業を立ち上げたい」というのはこの数年明らかに増えてきておりますし、逆にそれをやろうと思っても、幹部が育っていなかったりします。また、優秀な人材がかなり転職や引き抜かれてしまう、このような中で既存の事業の限界とまではいいませんが、10年というスパンで考えた場合にワクワクしない、というご相談をいただくケースが増えています。
100億企業化×地域コングロマリット戦略を薦める理由とは?
このような中で、改めてこの100億企業化と地域コングロマリット戦略、この2つの戦略がなぜ重要なのかも含めて説明します。
私は20年弱コンサルティングをさせていただいていますが、明らかに人口減少の影響を受け始めているということを、経営相談の中で実感しております。今までは地域で一番シェアを取りますとその後も伸び続けていました。なぜなら市場が伸びていたからです。
しかし現在は多くの都市で人口が減少している、または消費力が落ちている状況下の中では、一番を取ったけれども売上が伸びないという状況が続いており、それが今までの定石と戦略が変わったというタイミングになります。これが2020年というよりも2017年ぐらいでして、2017年頃から横ばいになり2020年から明確になったようなイメージです。
これまでの定石であった単一業種一番化といった戦略から転換する必要が出てきているということが、市場から見える現状でございます。
そのような中で、もう既にご覧になられた方が多いかもしれませんが、中小企業庁が100億企業に向けて進んでいきましょうということを提唱されています。これが昨年発信された内容です。中小企業の飛躍的成長に向けた政策として100億円を目指しましょう、ということでした。
矛盾しているのではないかと思うような話なのですが、やはり小規模では限界がきているということが顕著になってきているということです。昨年、中小企業庁が発表した政策では、中小企業の100億化を目指すということが指針として発信され、実際に中小企業から100億円になった事例が多く紹介されている、という内容でした。
それに伴いまして、まだ閣議決定レベルではございますけれども、経産省がどういった戦略を取るのかという中で、税制の改正の方針にてこの中堅企業等の成長を促進する税制措置を挙げています。今まで中堅という定義はありませんでした。中堅企業が定義をされて、税制の優遇措置を出します、ということを明確に打ち出しています。100億円になるということ自体が様々な面でメリットがございます。税制の優遇はもちろん、国としてもそちらの方向に動くという中で、恩恵を受けやすいということです。逆に言えば大きくするしないに関する議論はありますが、大きくすることが正しいともいえます。
ではなぜ100億企業化なのか、をご説明しますと、100億企業というのは日本全体の1%になります。粗利率の中央値は27%換算にしておりまして、100億企業といっても種類がかなりあり実質的には粗利が27%もしくは30%ぐらいの範囲で計算しているような売上になりますから、高粗利業態であれば30億円という話になりますし、低粗利業態であれば300億円クラスでも100億円の企業レベルになっているというのが見受けられます。
一つは売上を今後どうするか、どこまで目指そうかといった場合には、明確に100億円を目指してください。日本の政策上もこれから100億円を目指すということを打ち出している中で、圧倒的にそのメリットが出てきます。ですので、まずは100億円を目指すことが大事になります。
次に地域コングロマリット戦略をなぜ進めるかについてですが、冒頭でお伝えしたように。人口が減っている縮小経済化の中、かつ経営コストが上がり続けている状況下の中では、この地域コングロマリット戦略というのが重要で有効な戦略になってきます。
同業で種別のブランドを作るというのはマルチブランドです。こちらが今までの王道パターンです。単一業種の中で価格帯に合わせてブランドを作り、クライアントの層に合わせてブランドを作るというのが今までの戦略でしたが、今回は周辺業種です。今取り組まれている得意業種以外を始めるということが、重要で有効な戦略になってきます。
地域コングロマリットはどういうものかといいますと、まずコングロマリット化することで複数の事業を持つことになりますから、浮き沈みがかなり安定化し、リスクヘッジも明確になります。また顧客の獲得や人材の採用面でも、ブランドイメージが全く変わってきますので、こちらは後ほどお伝えいたしますが、単一業種で解決できない課題を解決できるというのが最大のメリットです。かつ地域内の需要を点ではなく面で獲得していきますから、小商圏でも100億円を目指せるというところが次のポイントです。
こちらは今まで言われていたコングロマリット戦略とは異なり、“地域”コングロマリット戦略です。
地域コングロマリット企業の実態として船井総研が調査した結果では、100億円を超えている企業は全体の15%ほどございました。単独業種で100億円を超えているのは全体の1%ほどの計算でしたので、割合として高く、伸ばしやすい経営スタイルといえます。
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