自動車販売業界、特に中小企業における新卒採用は、非常に厳しい状況に置かれています。2022年度卒の新卒有効求人倍率をみると、中小企業では学生1人に対して複数の企業が競合する状況です。学生は平均して1.5社から内定を得ており、企業規模が小さいほど、この傾向は顕著になります。さらに、業種別に見ても、自動車販売を含むサービス業は他業種に比べて競争が激しく、新卒採用は困難を極めます。このような状況下で、自動車販売店が新卒採用を成功させるには、戦略的なアプローチが不可欠です。新卒採用と中途採用では、それぞれ異なる特徴があるため、企業の経営戦略に合わせた採用手法を選択する必要があります。

新卒採用は、初期値は低いものの、成長率が高い傾向にあります。新卒者は企業の理念への共感や仕事へのやりがいを重視する傾向が強く、企業の文化を醸成する上で重要な役割を担います。一方、中途採用は、即戦力となる人材を確保しやすいというメリットがありますが、成長率は低く、労働条件を重視する傾向があります。

したがって、企業の経営戦略に合わせて、適切な採用手法を選ぶ必要があります。新卒採用は、企業の将来を担う人材を育成するための重要な投資と捉えるべきです。

自動車販売店が新卒採用に取り組むべきタイミングは、以下の状況に当てはまる場合です。

•業績は悪くないが、最近伸び悩んでいる、または横ばいである。

•10年、20年後の世代交代に不安を感じている。

•会社の業績をさらに成長させたいと考えている。

•計画的に人員を増やしていきたいと考えている。

•2店舗目以降の出店を検討している。

これらのいずれかに当てはまる場合、新卒採用を始める良い機会かもしれません。新卒採用を怠ると、以下のような問題が生じる可能性があります。

•年々の業績が停滞または徐々に低下する。

•将来を担う若手社員が育たなくなる。

•会社の世代交代が進まない。

•経営層やベテラン社員のワンマン経営になる。

•社員間の目標や方向性がバラバラになる。

新卒採用を成功させるためには、以下のステップを踏むことが重要です。

1.採用計画の策定

◦自社のミッション、ビジョン、バリュー（MVV）を明確にする。

◦売上計画に基づいた採用目標と予算計画を立てる。

◦現在の就活スケジュールを把握する。

2.採用組織の構築

◦人材開発部門（HRD）を設置する。

◦全社員が採用に関われる仕組みを整える。

◦若手社員をリクルーターとして参加させる。

3.学生の集客

◦自社の理念やビジョンにマッチする学生像を明確にする。

◦自社の魅力を効果的に伝える。

◦適切な採用媒体を選定し、イベントを企画する。

4.魅力的なイベントの実施

◦インターンシップを開催する。

◦学生層に合わせたインターンシップの種類を用意する。

◦インターンシップ参加者をそのまま選考に進める。

◦説明会や選考以外にも、インターンシップや面談を通して学生との接触回数を増やす。

5.学生の意思決定の促進

◦選考における採用条件が厳しすぎないか見直す。

◦選考中の学生との接触時間を増やす。

◦内定者のフォローを徹底する。

6.定着率の向上

◦内定者研修や新入社員研修を充実させる。

◦社員交流の機会を設ける。

◦メンター制度を導入する。

◦現場でしっかりと担当者を付けて教育を行う。

具体的な採用戦略としては、以下のような点が挙げられます。

•差別化戦略

◦立地、規模、ブランド、商品力、販促力、接客力、価格力、キャリアステップなど、自社の強みを明確にし、競合他社との差別化を図ります。船井総研が提唱する差別化の8要素（立地、規模、ブランド、商品力、販促力、接客力、価格力、キャリアステップ）を参考に、自社の強みを活かした戦略を立てましょう。

•ターゲット学生の明確化

◦求める人物像（ペルソナ）を具体的に設定し、それに合わせた採用活動を行います。例えば、自動車販売店の営業職であれば、キャンプやドライブ、音楽が好きな社交的で明るい人物像を設定できます。

•採用媒体の活用

◦ナビサイト（マイナビ、リクナビなど）、ダイレクトリクルーティング（Offer Box、キミスカなど）、合同説明会、リファラル採用など、様々な採用手法を組み合わせます。

◦地元採用を重視する場合は、ダイレクトリクルーティングに注力したり、合同説明会に積極的に参加したりすると良いでしょう。

•学生との接触回数の最大化

◦インターンシップ、面談、説明会などを通じて、学生とのコミュニケーションを密にします。

◦リクルーター面談では、学生の人柄を把握するように努めましょう。

◦カジュアルな説明会を複数回開催し、学生との接点を増やしましょう。

採用計画を立てる

まず、自社のMVVを明確にすることが重要です。MVVとは、ミッション（社会的な存在意義）、ビジョン（ミッション達成の方法）、バリュー（ビジョン実現の手段）を指します。これらを整理することで、採用活動の軸が定まります。次に、売上目標と照らし合わせながら、採用人数や職種を決定します。また、就活スケジュールを把握し、採用活動のタイミングを逃さないようにしましょう。

採用組織を構築する

採用活動を円滑に進めるために、採用組織を構築しましょう。人事担当者だけでなく、現場の社員も巻き込むことで、採用活動の質を高めることができます。特に、若手社員をリクルーターとして活用することで、学生との距離が縮まり、より効果的なコミュニケーションが期待できます。

学生を集める

自社のターゲットとなる学生像を明確にし、彼らに響くようなメッセージを発信しましょう。自社の強みや価値観を整理し、どのような媒体を使って学生にアプローチするかを検討します。 自動車販売店の営業職のペルソナ例を参考にすると、趣味や価値観が近い学生に響くような採用活動が効果的です。

魅力的なイベントを制作する

インターンシップや説明会など、学生が自社を深く理解できるようなイベントを企画しましょう。インターンシップでは、実際の業務を体験してもらうことで、学生の適性を見極めることができます。リクルーター面談では、学生の疑問や不安に寄り添い、企業への理解を深めましょう。

学生の意思を固める

選考過程では、学生とのコミュニケーションを密に取り、企業への理解を深めるように努めましょう。選考の前後に面談を行い、学生の不安を解消することも重要です。内定後も、内定者交流会や親御さん向け説明会を開催するなど、学生の入社意欲を高めるためのフォローを行いましょう。

定着率を上げる

入社後の研修やメンター制度を通じて、新入社員の成長をサポートしましょう。キャリア面談や社員交流会を開催することで、社員のモチベーションを高めることができます。

船井総研では、自動車販売店様からの採用に関するご相談を多数いただいております。新卒採用は、企業の成長に不可欠な要素です。 自動車販売業界で新卒採用を成功させるためには、戦略的なアプローチと、採用活動全体の質の向上が重要です。もし、貴社が新卒採用にお悩みでしたら、ぜひ船井総研にご相談ください。豊富な経験と専門知識を持つコンサルタントが、貴社の状況に合わせて最適な戦略を提案させていただきます。まずは、お気軽に無料相談をご利用ください。