本日お伝えしたいこと
第1講座でお伝えすることは主に3つです。具体的なところは第2講座以降でゲスト講座や船井総研の解説講座がありますので、まず私のところでは、なぜ今ブランディングに注力しなければいけないのかという目的や意義というところのご説明をしたいと思います。
また、採用ブランディングの定義が何かというのはかなり曖昧かなと思いますので、その部分を私達はこう思っていますということをお伝えさせていただければなと思っております。
“採用ブランディングとは…”
それでは早速中身に入っていきたいと思います。まず初めに採用ブランディングと聞いて、ネットで検索すると色々な事例が出てきて、例えば「採用サイトを変えました」「会社のロゴを変えました」何かかっこいい風に「SNSのアカウントを開設してみました」といったことなど、そういった取り組み事例ばかり出てくるのではないかと思いますが、私達は採用ブランディングをそういったロゴやサイトなどを変えることだけと定義していません。
私が採用ブランディングのテーマでコンサルティングさせていただいてとても思うことが、大手企業だと採用ブランディングをすればそれはただの企業の知名度を上げる為の広報活動になるのですが、中小中堅企業にとっては、本当に採用のため、人を集めるための手段としてブランディングがあると感じています。
ここで難しいのがやはり知名度が大手企業よりもないので、人を集めると言っても簡単には集まらないということです。それにより集まっている会社は何が違うかといいますと、まさにここの部分かなと思っていまして、初めて就職活動を通して会社を知ったけれども、「なんかこの会社いいかもな」といったことや「ちょっと好きかもしれないな」といったような好感度を抱いていただく事にブランディングの意味があるなと思っています。
後程詳しく説明いたしますが、採用難と長年言われてきましたが、今が本当に深刻なタイミングになってきている中で、色々な大手企業から中小中堅の企業まで各社があの手この手で様々な求人を出しており、求職者からすると非常に選び放題という状況になっています。
そういった中で最終的に1社までしか決められないということで言いますと、最終的には人間ですので、好き嫌いの話になってしまうと思います。そのため、中小中堅企業にとってはなんとなく好きかもしれないくらいに思ってもらって選んでもらうためにブランディングに注力していくことが一つの解としてあるのかなと思っております。
新卒採用市場から見る採用難の現状

では、今現在、採用難でかなり厳しいということをお伝えさせていただいたのですが、具体的にどれほど厳しいのかということを少し見ていきたいと思います。こちらはリクルートワークスさんが最新で出しているデータになりまして、こちらがまず新卒採用の求人倍率の調査になります。
2025年卒を対象にしたものです。有効求人倍率は恐らく皆様もチェックいただいていると思いますが、一応ご説明しますと2025年の3月、次の卒業の大学生と大学院生を対象にした大卒の求人倍率は1.75倍です。24卒の時は1.71倍だったので、微増ではありますが、そのあたりを推移しているというところです。
コロナがあった時には「一時採用を中止します」といった企業様もありましたので、「一時的にうちも採用がいけたよ」というお声も私もいただいてはいたのですが、やはり年々、コロナがあっても採用したほうがよかったよねという回答を、どの企業も持っているというところがありますので、今はどんなことがあっても採用は辞めないよという企業様がすごく増えていると思います。
その時流というのは長く続くと思っておりますので、大卒の求人倍率の上昇はもう食い止められないと思っています。特に、中小中堅と言われる、従業員数が300人未満の企業または300~1000人以下の企業の大卒の求人倍率がとてつもない勢いでこの直近2年程で上昇していることが調査結果からわかっていますので、中小中堅同士で取り合いの状況になっているというのが現在です。

では、どれほどの母数の学生を取り合っているのかというところも出してみました。25年卒の民間企業に就職を希望する学生の数は45万人だったと調査結果で出ています。
それに加えて、学生本人がどれほどの企業規模に就職を希望しますかというところもアンケートで取っているのですが、これを見ていただくと少し怖くなるのですが、今ご参加いただいている皆様も該当する方が多いと思いますが、300人未満の企業を希望しますと言っている学生は6.6万人しかいませんでした。
そして、一つ上のレンジの300~999人未満の企業も9.5万人で、1,000人以上や5,000人以上といういわゆる大手に該当するようなところになってきますと14万人、15万人というところになります。
45万人分の6.6万人なので、市場のわずか14%しかいない学生をこれまで1年間頑張って取り合ってきたというところです。ちなみにこの6.6万人に対して300人未満の企業が出している求人の数は43万求人です。
そのため、非常に引く手数多な状態というのがとてもよくわかると思います。プラスこれについてさらに考えてみますと、怖いのが、恐らく皆様もOfferBoxなどを使われて新卒採用活動をしていますよという方も多いのではないかと思うのですが、OfferBoxはホームページを開きますと今の学生の登録数は20万人だよ、30万人だよと表示されているかと思いますが、仮に20万人だと想定したときに、その14%だと2,800人しか中小中堅企業の希望者はいません。
そして、その中でよく皆さんは業種業界で自社に合うセグメントを区切り、1回の送付数を10~200人という規模で出すと思うのですが、例えば、自社の業種業界に当てはまる人を100人出したとして、その学生は中小中堅を希望している訳ではなく業種自体を希望しているため、その100人の中から14%の中小中堅企業就職希望を出すと14人しかおらず、その中でまたオファー承諾率が3~5%だという話になりますと、「あれ、承諾数が一人しかいなくないか」といったことになり…その現象がもしかしますと今年あったのではないかと思うわけです。
それがまさにこの市場の厳しさを表しているというところもありますし、承諾数が今年少なかったのも納得だよね、と感じられるのではないかと思っています。そのため、新卒採用に取り組まれている方が本日は本当に多くご参加いただいていると思うのですが、今後もこの状況は続きますし、これを打開していくというのはかなり難しいため、その中でも「好きで何となくこの会社がいいと思うからちょっと話聞いてみようかな」と、まずこのように思ってもらうことのために力を注ぐことは必要かなと思っております。

続いて中途採用のところも見てみますと、中途採用は一概に業種業界や世代でかなりマーケットのサイズなども異なる部分があるので、数字で定義するのもなかなか難しいというところはあるのですが、こちらは2024年4月現在のデータで、転職サービスのdodaさんが調査して出した転職マーケットの概要になります。
2024年4月現在の転職の求人倍率は2.66倍と言われています。求人数に関しては昨年の同月と比べると120%を超えていて中途採用も求人があふれかえっている状態になります。
転職希望者に関しては昨年2023年の4月に比べると99.8%で、転職先を探す人の数は全く変わらないのに求人数だけ120%で増えているため、やはり採れないのも納得だよねというところがわかるかなと思います。

ちなみに他所の方の話を聞くと、「採用できているのだけど」と感じられることもあるかと思うのですが、実際に採用をしたくてできた、採用目標人数を達成できたという企業の割合と、できませんでしたという会社の割合を出しますと、2024年の1月のデータでは、必要な人数を確保できたという企業は、大手から中小まで含めて約39.2%しかおらず、確保できませんでしたという企業は58%というようなデータが中途採用の実態調査結果として出てきていますので、中小中堅だから中途採用に関しては困っているというよりも、大企業もかなり困っているという状況のようです。
そして、よく皆さんも面接をしていて感じるのではないかと思うのですが、「元々同じぐらいのレベルの会社に勤めていた転職者で、うちに来てくれそうだったのに、他企業に決まったのでそちらに行きますということで、社名を聞いてみたらめちゃめちゃ大手だった」と、そういったことが最近増えてきているのではないかと思うのですが、それもまさにここに原因がありまして、大手も人を採れなくなってきていますので、採用基準を変えたり、落とすということをしています。
今までは「到底受からないでしょ」というようなレベル感の人が受かったりしています。これは新卒もそうなのですが、学歴などで見ても、「え、それで受かったの」といったことがいたるところで発生しているということが、今の中途採用の現状としてあるのかなと思います。
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