【インタビュアー】株式会社船井総合研究所 宮井亜沙子(以下:宮井)
【インタビュイー】株式会社船井総合研究所 整体院チーム リーダー 平松勇人(以下:平松)
今伸びているビジネスモデルである、「時短整体院モデル」について、船井総研のヘルスケア支援部の平松さんより解説いただきました。
時短整体院モデルの事例企業に関して
平松:今回のモデルが整体院ということで、一般的なイメージでは整体院やリラクゼーション、マッサージ屋のイメージがあるかと思います。
そのような業態を合わせて近しい業態まで含めると、現在、全国に16万件程の店舗数があります。
その中で、今モデル店としている時短整体院は、開業5年で年商4億くらいの売上となっています。
店舗数は今12店舗で、今後も徐々に店舗を増やしていくことを見据えています。
しかし、同じような形で経営をされている会社がかなり増えていっています。
宮井:一般的な整体院の伸びと比べるとどれくらいのすごさなのでしょうか。
平松:一般的な整体院のイメージで言うと一人で、個人店で運営しているイメージをお持ちの方も多いと思います。
実際、整体院で展開している会社数は多くはなく、個人店が多いです。
このような形で経営している整体院は、ビジネスモデルがしっかりと展開されています。
宮井:時短整体院というモデルが伸びている背景はどういったところにあるのでしょうか。
整体院にも種類があります。
リラクゼーション、マッサージ屋
30分:2,980円
60分:5,980円、6,000円
この程度の価格帯で経営しています。
どちらかと言えば、体のケア、「その日疲れたから行こう」というような方が割と多いです。
一般的な整体院
反対に、治療結果を求めるような方向けもあります。
腰痛、肩こりなど、最近デスクワークも増えて、かなり悩んでいる方や症状も増えています。
このような症状に悩んでいる人がマッサージやリラクゼーションのほうに行っても、なかなか治らず、その場限りで「なんか気持ちよくなったけどまだ痛いな」と悩まれている方がたくさんいます。
そのような、治療を求める方向けに、「結果」「効果」を出す形が今回の時短整体のモデルです。
時短整体院モデル
費用
5,000円〜6,000円くらいの費用
高いところだと8,000円程
こちらのビジネスモデルでは、時間を短くしてその分料金も低価格にしています。
つまり、低価格×高効果モデル=高生産性も実現可能です。
相場よりも安く、結果も出せるということで、本当に症状に悩む方を集客しています。
時間が短くても成果が出せる技術自体で、エビデンスもきちんと取れている整体技術です。
その技術では、施術時間が大体12分で終わるものとなっています。
それでも十分効果が出せるので、エビデンスも取られて短時間でも結果が出るモデルになっています。
悩まれている方ほど、短時間でも良いので「とにかく結果を出してほしい」というニーズが高いです。
そのため、ニーズと提供するサービスがマッチしています。
時短整体院のビジネスモデル
腰痛・肩こりの慢性症状に症状を絞って根本的に改善できる施術を提供する整体院モデル
短時間(15分)×低価格(4,000)で提供
整体院やリラクゼーション業界は無資格者でもでき、未経験でも明日から整体院をしようと思ったらできる業界ではあります。
先程お伝えした時間が短くても成果が出せる技術に関しては、しっかりとした東洋医学と西洋医学の正しい医学知識に基づいています。
肩こり、腰痛に絞っていることで施術自体も絞れるので、施術者の熟練度も早くなります。
成長、教育自体も短く、熟練度も早くなるので、採用して教育し、次の展開に行きやすいビジネスモデルです。
一般的な整体院やリラクゼーションとの比較
お客様のニーズ
一般的な整体院:腰痛、肩こりやマッサージのニーズが多いが、他にも色々な症状を見ている
例えば
・腰痛
・坐骨神経痛などのしびれもある人
・自律神経系の悩みの方
など色々な症状に向けて施術している方も多いです。
時短整体院モデル:症状を絞っている
成約率
時短整体院モデル:来るお客さんの症状が同じのため、継続という観点では、成約率を非常に上げやすい
時短整体院モデルはサブスクの形を取っていて、毎月更新の月々払いのシステムです。初回の成約率は、大体70%くらいです。
一般的な整体院:成約率50%以下
リラクゼーションはそもそもサブスクをやっていないため都度払いが多く、2回目の来院率50%以下
上記のように、継続率が圧倒的に違います。
人材育成
一般的な整体院:色々なメニューに対応するため、沢山の知識と技術を学んでもらう必要がある
そのため、どうしても時間がかかり、あるいは、「なんとなく」で施術してしまっている人もいるので効果も保証できません。
時短整体院モデル:完全に技術と症状を絞っているため、大体1ヶ月くらいで、未経験の素人でもデビューさせることができます
つまり、人を育てやすいので店舗展開スピードは上げやすいです。
例えば、マッサージ屋などは、数日研修でデビューさせるところもあります。
生産性
効果でも大きな差はありますが、もう一つの差は「生産性」の観点です。
1人当たりの売上は整体院やリラクゼーションは50万から60万くらいが一般的です。
好調な店舗でも70万~80万くらいです。
今回の時短整体院モデルは時間が短い分、一般的なところよりは安いけれども短時間でそれなりの金額をいただくので、大体100万から120万くらいとなります。
・短期間で人を育てやすい
・売上もすぐに立てられる
→給与もしっかり与えられる
→労働環境も整えやすい状況が作れる
そのため、継続した雇用、さらには展開もスムーズにしていきやすいと思います。
宮井:ニーズを絞るということは、商圏も狭まるのでしょうか。
平松:このモデル自体は商圏人口で言うと15万人以上を基準としています。
15万人で大体1店舗あたりの売上350万から400万くらいを3人で作っていくモデルです。
日本全国で考えると、15万人以上の商圏はかなり多いところです。
一般的な商圏の取れる範囲として、ある程度の都心部とかだと1.5kmから2kmくらいで、地方では2kmから3kmくらいです。
上記が一つの目安になりますので、基本的には多くのエリアで展開が可能です。
時短整体院モデルの初期投資イメージ
平松:基本的にはこの時短整体院モデルは新規事業としてされる方が多いです。
そのため、新規事業でのポイントをお伝えします。
初期投資
開業までの家賃(2ヶ月分):600,000
採用コスト:400,000
開業までの人件費:1,000,000
初期教育費用:500,000
内装リフォーム・設備費用:3,000,000
備品:750,000
施術ベッド3:150,000
HP作成費用:250,000
開業販促費:500,000
合計金額:7,150,000
※施術者2名スタートの場合
基本的な初期投資の内訳:店舗の広さとして15坪から20坪(3名でやる場合)
15坪で、坪単価×20万円くらいを多めに内装費用としてみています。つまり、300万円くらい内装費用がかかってきます。
開業販促費、採用コストも含めてゼロから立ち上げて人を雇い、準備期間を2ヶ月~3ヶ月かかるとして、700万円が目安となっています。
今いる人材を活かし、今の店舗のスペースを使う場合は、もっと初期投資は低くなります。
ビジネスモデルのポイント
① 初期投資:700万円
② 店舗営業利益:30%
③ 投資回収(最短):8ヶ月(初月で単月黒字も可能)
④ 1人施術者生産性:100〜120万円/月以上
⑤ 採用・教育:無資格者の素人でも1ヶ月で戦力化
⑥ 立地:15坪、3ベッドから可能、空中店舗化
⑦ オープンまでの準備期間:最短3ヶ月(3〜6ヶ月が目安)
※参入しやすく、サブスク型なので高収益×安定経営を実現
初期投資700万円で大体1店舗あたりの売上が4,000万円です。
店舗の営業利益としては1店舗あたり大体30%を見ております。
投資回収は初月から単月黒字も十分可能、最短で8ヶ月を見ております。
遅くとも1年以内には十分投資回収ができるので、低投資で高収益が目指せるビジネスモデルです。
1人あたりの生産性が業界平均の2倍から3倍近くになりますので、人件費を人あたり支払っても十分利益が作りやすいです。
整体系のビジネスは無資格者、素人でもできるため、
・どういう技術をやればいいのか
・教育に時間がかかるのではないか
・再現性がないのではないか
とよく言われます。
しかし、モデル店も無資格者且つ未経験で、1ヶ月半くらいで十分戦力化できています。
そのため、再現性は高いと言えるでしょう。
新規参入の場合、有利な業種はありますか?
平松:色々な業種の方からお声をいただいています。
例えば歯科、介護系、呉服屋などです。
全く関係のないような業種も多いですが、無資格者、素人でも大丈夫なところがポイントなので、
・介護系の事業をしていて生産性も低いし、重労働で離職率が高いところの人をそのままこちらの事業に展開する
・整体には美容系のビジネスは相性がいいので、美容師やエステ系は参入もしやすい
という風になっていると思います。
誰でも実現できる技術と、対応のパッケージのため、本当に色々な業種の方が新規参入できるビジネスになっています。
参入障壁は低い
完全に新規立ち上げで、テナントを借りる形で基本的には3ベットを最小モデルとしています。
しかし、今店舗があり、BtoCのビジネス向けでやってらっしゃるところで、その1区画を使って1ベットからやることもできなくはないので小さく始めて広げていくことも可能です。
整体やリラクゼーションは店舗数が多いので、参入障壁自体は低い業界です。
その代わり、集客部分と継続(サブスク)部分が、やり方次第で全然変わります。
一般的な整体院は50%以下くらいで、離反率(例えば100人いた患者さんのうちどれくらい月あたりで離反されるのか)が、一般的には30%以上が基本的です。
100人いたら30人以上離反となります。
そのために新規を30人、40人呼ばないと維持できないですが、このモデル自体は離反率を15%以下を目指せるようにしたいと思っています。
サブスクで狙えるモデルですので、モデル店は10%を切っています。
100人いたら10人呼べば十分安定し、集客ももっと増やせるので、十分安定して売上を作れることを考えると参入はしやすいですが、あとの継続部分でどうしても難しくなるのがこの整体リラクゼーションだと思っています。
つまり、離反率を低くするため、先ほどの技術が参入障壁となり、他社と差別化して生き残っていくポイントになっていきます。