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企業情報
- 会社名 深江特殊鋼株式会社
- 設立 1964年11月
- 従業員数 120名(2023年1月30日現在)
- 事業内容 鋼材/金属加工品販売業(構造用綱、工具鋼、特殊用途鋼、鍛造品、アルミニウム、ステンレスなどの材料卸し、加工・販売)
支援で得られた成果
・デジタルマーケティング、営業DXの導入と営業力アップ
・有効な新規開拓・深耕開拓の推進による商圏拡大と売上増加
1.プロジェクトの概要
深江特殊鋼株式会社は、広島県福山市に位置し、「特殊鋼」と呼ばれる鋼材を専門的に扱うものづくり商社です。特殊鋼とは、「普通鋼(鉄と炭素の合金のうち、熱処理をしないもの)」にニッケルやクロムなど特殊な元素を添加することや、成分を調整したもので、用途に応じてそれぞれの特性を生かして使用されます。
創業から60年以上の歴史を持ち、大同特殊鋼などの特殊鋼メーカーを仕入先として、自動車・機械・造船・半導体・家電メーカー及び、関連業界へ納品しています。2022年の年商は60億円で近年は、金属加工品を軸に大きな成長を続けている企業です。
プロジェクト開始前の課題
・営業が属人化していることに加え、価格競争に陥りやすい
深江特殊鋼は、地域の取引先に担当者が訪問し、商談をして注文を受ける一般的な御用聞きスタイルの営業形態を長年とっていました。そのため、社員の営業力に頼る部分が大きく、営業が属人化していることが課題となっていました。
鋼材/金属加工販売業は成熟産業と言われており、当時さらに売上を伸ばすためには、①取扱い商品の拡大 ②営業活動の効率化 ③商圏の拡大を行う必要がありました。そのためには現在の営業形態を変えなければならないという課題がありました。
提供したソリューション
・総合カタログの作成による材料商社としての差別化
・さらに、その総合カタログのWebサイト化
・新業態である加工事業の強化
・マーケティング・オートメーションやSFAの導入をはじめとしたDX営業の推進
導入後の効果
・営業における属人化の解消と営業力の強化
・有効な新規開拓の推進による商圏の拡大
・既存事業への付加価値による利益増加と新たな需要の創出
2.船井総研の取り組み
①総合カタログの作成
船井総研は、深江特殊鋼の強みを伝える手段として「総合カタログの作成」を提案しました。特殊鋼の材料特性知識や加工品ラインナップをまとめた資料を作成し、業界の標準となることを目指したのです。
総合カタログには、深江特殊鋼が厳選した金属材料・加工部品が多数掲載され、コストダウンのために必要な材料選定のポイントについても書かれています。カタログで一覧にすることにより、商品調達力の高さが一目瞭然となりました。
また、『顧客目線で役立つカタログをつくる、信頼できる会社』と認識されたことで、会社のブランド力が強化され、新規営業にも行きやすくなり、社員はプライド・勇気を持って営業ができるようになりました。総合カタログ作成により、専門的な見地で適切な提案ができる営業マンを育成する仕組みが整ったのです。さらに、会社の特徴や強みが明確になったことで、他社との差別化ができ、価格競争から脱することに成功しました。
②DX営業の推進
船井総研は、紙の総合カタログをデジタル化する「ソリューションサイトの立上げ」を提案し、DX営業の推進を図りました。近年では、多くの企業でDXが求められています。時代の変遷に伴い、船井総研は最適なソリューションを提案しています。
運用を開始したソリューションサイトは、「BTA・ガンドリル加工.COM」と「メタナビ」の2種類です。
「BTA・ガンドリル加工.COM」は、見積もりから発注まで対応できる、金属の穴明け加工を受託する専用のウェブサイトです。
「「機械加工調達ナビ~Meta-Navi~」は、材料調達から加工・納品まで一貫対応を可能とする、設計・生産技術・資材エンジニアのためのお役立ちサイトです。また、こうしたソリューションサイトを中心とするデジタルマーケティングへの取組だけでなく、合わせて世界標準のクラウド・プラットフォームであるZohoを導入することにより、営業DXを実現しました。Zohoは中小企業をターゲットに開発されているツールであるため、高機能にも関わらずローコストで導入することができることが特徴です。 Zohoの導入により、顧客の動向を分析し、ニーズを的確にキャッチできるといった効果が得られました。
例えば、Zohoの有する機能の1つ「マーケティング・オートメーション」によって、メールマガジンの受信者のうち誰がメルマガ内のURLをクリックし、どこのページにどれだけ滞在したかがわかるようになりました。その情報を基に、顧客の潜在的な困り事に対する解決策を提案できるようになったのです。
一般的に、広告を打ち出すことは、多大な費用が必要です。最小限のコストで同社の特殊鋼を必要とする人に必要な情報や提案を届けるための手段として、DX営業を推進していきました。デジタルを活用した営業形態によって、距離的にハンデのあった遠隔エリアにも営業が可能になり、当時営業拠点を設けていなかった東京を中心とする関東エリアにも商圏を広げることができました。
また、ソリューションサイトの作成やチャットボットの設置によって、見積りの自動化をはじめとした商談フローの定型化ができ、業務効率を上げることにも寄与しています。
③新業態である加工事業の強化
事業成長に伴い、さらなる発展のため、材料の販売だけでなく「材料を加工する」新業態への進出を提案し、付加価値の向上を狙いました。
従来は創業事業として、鋼材を仕入れて売る、特殊鋼の鋼材商社として事業を展開してきました。お客様は鋼材を購入後自社で加工するのが当時の常識であったため、鋼材供給とワンストップで製品に近い形状まで加工対応することは忙しいお客様の課題解消となり、当社の強みにもなります。
また、同社は、24時間稼働の無人切断ラインを始めとして自動化に特化した設備を多数保有しており、高いQCDでサービス対応することが可能です。
加工業へ進出した経緯について、木村氏は語ります。
「“加工品にする”ということを、お肉の販売で例えると、ただお肉そのものを売るのではなく調理することで、何倍の値段で売れる可能性が生まれます。
それが創意工夫であり、ある意味“デザイン”だと思っています。私は、製造業に足りないのは、デザイン力だと考えます。例えばお菓子も、パッケージングに工夫を加えることで、何倍のお金をいただける可能性があります。製造業も『付加価値をつけること』に注力すべきだと考えました」
ただしこれは、言葉ほど簡単ではありません。顧客である加工会社の仕事を奪いかねず、取引先に不利益をもたらしてしまう可能性もあることです。
大手ECサイトのサブスクリプションの1つに書籍の読み放題が追加されたことにより、本屋が衰退してしまう。そのようなことが起こりえます。それについて木村氏は見解を語りました。
「私たちが目指すのは、『部品加工業の皆さんに愛されるものづくり商社』です。
お客様がエンドユーザーに納める最終の部分やそれにかかる重要な工程はお客様が従来通り行い、それ以前の下働き(ベース加工)を担う位置づけを目指しています。
例えば『レストランで玉ねぎを洗って皮をむく仕事』は、農家の人がしても、八百屋の店員がしても、レストランのシェフがしても変わらない『ベース作業』です。そのようなベースとなる加工作業を私たちがすることで、加工会社のお客様の業務効率を向上できます。
お客様の会社が1社だけで『玉ねぎの自動皮むきライン』を開発するのは採算性に問題がありますが、わが社が多くの顧客からの依頼に共通するベース作業を一手に引き受けることで、採算性を確保し自動ラインを開発することもできるわけです。
お客様の仕事を奪うのではなく、多くの製造業が儲かるために、私たちができることをする、それがわが社の社会的使命と考えています。
製造業はデザイン力が足りないと申しましたが、加えてものづくりの未来を創っていくためには、若い人に『将来その仕事をしたい』と思ってもらえる存在にならなければならない。そのためには『お客様と共にカッコ良く儲ける』形を整えたいと思っています」
そのような、木村氏の掲げる大きな構想を実現するための提案を、船井総研は多々行っています。
3.船井総研を選んだ理由
船井総研の送った「鋼材流通業の方に向けたセミナー」の案内から「これだけ業界のことを詳しく知っているコンサルティング会社はない」と興味を持ち、セミナーにお越しいただいたのが深江特殊鋼株式会社とのお付き合いのきっかけでした。
深江特殊鋼株式会社代表の木村氏は語ります。
「『社員の頑張りを成果につなげたい』という思いから、コンサルティングを依頼しました。ソリューションサイト構築の際には提案にとどまらず、船井総研のコンサルタントが提供した素材を基に、一緒に企画をしていきました。また、支援の中で出てきた将来展望について、まだ抽象的であっても熱く語り合うことがあります。船井総研のコンサルタントを自分の会社の社員の一人のように思っています。
船井総研が好きなのは、必ず施策のたたき台、何かしらゼロからイチを起こすためのものを用意してくれるところです。何か材料があれば、それを検討する形でテンポ良くプロジェクトを動かしていけますから。
船井総研は提案だけでなく、実施していく、成果につなげるところまで責任を持ってくれます。船井総研は、一生懸命お客さんのために喜ばれることをしよう、日本のためにやろうという志が非常に高い社員が多いと思っています」
4.担当者コメント
「深江特殊鋼の木村社長は、『製造業が未来を描く、若い人に“ものづくりの仕事をしたい”と思ってもらうためには“カッコいいこと”が大事であり、また製造業の会社が手を取り合って、みんなで成功しようという意識の非常に高い方です。
そのための新しい取り組みに対しても『まずやってみて、うまくいけば継続、ダメならやめる』とスタンスがはっきりされています。
私たちも、新たな提案を日々行い、実行する、継続するものについては具体的な素材を提供する形で、木村社長の言われる“社会的使命”を実現できるためのサポートをし続けていきたいと考えています」
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