- 2023年助成金・補助金最新情報
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【インタビュイー】
SATO社会保険労務士法人SATO助成金センター センター長 平 直人様
SATO助成金センター SATO行政書士法人 八島 哲寛様
SATOグループについて
SATOグループとは、行政書士法人と社会保険労務士法人の2つの士業で組織しているグループです。
また、人材会社としてキャリアアップバンクや、給与計算ECOMICのサービスなども組織をしています。
士業グループだけで大体1,000名ほどで仕事をしています。
今回のコロナ禍において、
「助成金、補助金は誰に聞いていいかわからない」
という声を数多くいただきます。
そこで、窓口一本化をして、できる限り仕事として請け負う目的で助成金センターを立ち上げました。
今回は、2023年の補助金、助成金に関する最新情報をお伝えします。
2023年の補助金最新情報➀ 中小企業生産性革命推進事業について
中小企業生産性革命推進事業には、
・ものづくり補助金
・IT導入補助金
・小規模事業者持続化補助金
・事業承継・引継ぎ補助金
が、あります。
こちらは、補正予算案が出ていて、閣議決定しています。
令和元年度から3年間で、予算3,600億円+補正予算が2,000億円でした。
令和4年度は2次補正予算案では、2,000億円+国庫債務負担=4,000億円、
2年間で4,000億円の規模で実施する予定です。
予算が下がったと感じるかもしれませんが、これまで消化していたのが約2,000億円です。
そのため、採択規模自体はあまり変わりません。
基本的には増額方向ですが、条件が追加されました。
ものづくり補助金の変更点
グリーン枠の補助上限の見直しや、要件見直しで最大で4,000万円、さらに賃上げ要件を拡大することで1,000万円、最大5,000万円の補助がもらえます。
賃上げ要件を満たすためには、年間1人当たり最低賃金を45円以上上げていく必要があります。
賃上げにかかる費用は多額になりますが、条件を達成できれば補助がもらえます。
また、グローバル市場開拓枠があります。
今まで行っていた内容に変化を加え、ブランディング・プロモーションなどの輸出関係の補助にシフトします。
小規模事業者持続化補助金の変更点
今まで免税事業者だった事業者が、インボイス対応することで、補助上限が50万円上乗せとなり、最大250万円の補助金となります。
事業承継・引継ぎ補助金の変更点
賃上げを条件に補助上限額が増えます。
元々600万円でしたが、さらに200万円加えて、合計800万円です。
事業承継・引継ぎ補助金は、「賃上げ」が1つのテーマとなっています。
2023年の補助金最新情報➁ 中小企業等事業再構築促進事業について
こちらは、事業再構築補助金です。
2022年度は予算6,123億円でしたが、2023年度は5,800億円です。
事業再構築補助金の要件緩和
今までは、要件にコロナの影響による売上減少が含まれるものに限定されていました。
しかし、新たに要件として、物価高騰が加わりました。
さらにグリーン成長枠もでき、GX(グリーントランスフォーメーション)、DX(デジタルフォーメーション)の促進と国内回帰や海外展開を促す目的で新しい枠ができました。
一番新しくできた枠がサプライチェーン強靭化枠です。
こちらの補助額が最大5億円と高額です。
要件に国内回帰が含まれています。
元々海外に拠点を持っていて、事情により国内に拠点を戻すためのものです。
限定的ですが、このような計画がある場合、大きな補助になります。
グリーン成長枠も中堅企業で1.5億円と増額しています。
グリーン成長枠の中で、新しくエントリー枠という要件緩和枠ができます。
そのため、今まで使いづらかったグリーン成長枠も使いやすくなっていきます。
グリーン成長枠の中小企業活用
今まで免税事業者だった事業者が、インボイス対応することで、補助上限が50万円上乗せとなり、最大250万円の補助金となります。
事業承継・引継ぎ補助金の変更点
グリーン成長枠は、脱炭素を目的とする補助です。
しかし、脱炭素に関する投資自体がやはりまだハードルが高いです。
実際何をすればいいのかという中小企業がたくさんいます。
例えば電気自動車を広げていく上で、
・グリーン枠
・インフラ関係
・GX(グリーントランスフォーメーション)関係
など色々ありますが、充電スタンドなどを普及させなければならない部分があります。
そのような分野において、
例えば
・車自体の電池の性能をもっと良くしていく
・充電器の性能を上げていく
など、価格が下がれば益々普及していくため、研究や開発には使いやすいです。
しかし通常の中小企業の場合、研究や開発分野に関わっていることが少ないです。
結果的に中小企業での活用は難しいと言えます。
グリーン成長枠が中小企業で広く普及するのは、これからだと思います。
円安を活かした経済構造の強靭化
2023年度の施策として、円安を活かした経済構造の強靭化のテーマがあります。
1.コロナ禍からの需要回復、地域活性化
■(1)地域一体となった観光地・観光産業の再生・高付加価値化
⇒観光地域づくり法人(DMO)(国土交通省)
補助金ではありませんが、DMO(観光地域づくり法人)の取り組みもご紹介します。
コロナ禍からの需要回復、地域活性化の観点の取り組みです。
自治体単独や、地方自治体が連携して、観光を盛り上げる取り組みをします。
■(2)コンテンツ海外展開促進・基盤強化事業
⇒J-LOD(経済産業省)
アニメなどのサブカル系や、映像関係の海外進出を支援するものです。
これも以前からやっている事業です。
■(3)外食産業事業継続緊急支援対策
⇒外食産業業態転換補助金(農林水産省)
外食産業事業継続緊急支援対策のための取り組みです。
農林水産省の管轄で行いました。
こちらは、予算が少ないながら申請数がとても多かったです。
結果、採択率が15%と低めでした。
2023年度も行う予定ですが、申請される方は気を付けてください。
※2023年5月現在、今年度の申請はまだ開始していません。
■(4)統括団体による文化芸術需要回復・地域活性化事業
⇒アートキャラバン2(文部科学省)
こちらは、大規模向けの文化関係での取り組みです。
文化関係の需要回復や地域活性事業も2023年も継続して行なう予定です。
中小企業等の輸出拡大の補助については、継続路線です。
2.中小企業等の輸出拡大
(1)食品産業の輸出向けHACCP等対策施設整備事業
HACCPの要求を満たしている施設しか輸出ができない国の制限があります。
そのためのHACCPの認定・取得を目指すための事業です。
(2)特定生活関連サービスインバウンド需要創出促進基盤強化事業
こちらは新設の補助金です。
ブライダル産業など、特定生活関連サービス産業のインバウンド需要獲得に向けたものです。
予算が約12億円で計上されています。
(3)海外市場開拓・有志国サプライチェーン構築等促進事業
こちらも新設の補助金です。
予算が190億円ついています。
アメリカなどの有志国、つまり関係性の良い国に輸出拡大をするための補助金です。
具体的には、新規輸出中小企業1万社支援プログラムです。
幅広い輸出に対して支援しようということです。
輸出に関する商品開発やブランディング、ECを活用した販路開拓の取り組みも支援しています。
円安を好機に捉えて、輸出を活かそうという意図です。
グリーントランスフォーメーション(GX)の促進
グリーントランスフォーメーション(GX)の促進に、グリーンイノベーション基金事業があります。
こちらは、10年間で予算2兆規模と大きな事業です。
カーボンニュートラルへの取り組み、技術開発促進への取り組みを基盤にしています。
また、経済産業省が主導で、ZEH・ZEB・LCCMというような住宅関係に関する脱酸素の取り組みを支援しています。
こちらも予算が拡大していて、中小企業問わず皆様に関係あるもので、クリーンエネルギー自動車導入促進補助金があります。
活用された方もいるかと思いますが、EV車やPHV車(プラグインハイブリッド車)とか、クリーンエネルギーの車を買うときに補助金がもらえるものになっています。
予算は700億円と大きく用意されています。
それに連動して、クリーンエネルギー自動車の普及促進に向けた充電インフラ等の導入補助金も行っています。
予算が200億円と、増額になります。
最後に省エネルギー投資促進支援事業等補助金があり、大きい投資が必要なものが多いため、大枠は大企業向けのものになっています。
中小企業向けにも枠を用意しています。
高効率の空調や冷凍設備、照明、ボイラーなどを導入して炭素排出量を減らす動きを支援するものです。
資金繰り支援等
補助金ではありませんが、2023年度に始まる制度についても、ご紹介します
ゼロゼロ融資の借り換え保障制度が、2023年から実施されます。
既に借りてらっしゃる事業者様もたくさんいらっしゃるかと思います。
返済期限は一律で近づいていました。
こちらの借り換え保障制度も活用すると、元本の返済猶予が最大5年と新たに設定されます。
枠も拡充されております。
今まで紹介してきた補助金に関する投資をしたい時に活用できます。
事業拡大をお考えの方は融資制度も上手く活用していただければと思います。
補助金からわかる、2023年の政府の方針
補助金を通じて、政府が重視しているとわかるのが以下の3点です。
・GX(グリーントランスフォーメーション)
・賃上げ
・円安を活かした輸出
また、新しい補助金も出てきています。
そして補助金の上限額は今年と同等くらいです。
2023年については、国の支援は変わらず継続していくと考えられます。
2023年の助成金最新情報
最新情報として2つの制度をご紹介します。
助成金は、補助金と異なり、採択制ではなく、要件を満たせば受け取れる制度が多いです。
その反面、予算が今非常に小型化しています。
財源が今、雇用調整助成金にほとんど遣われていることが原因として挙げられます。
ここ3年で6兆円を超えています。
そのため、なかなか財源が確保できないという印象があります。
元々コロナの以前に国は、働き方改革を推進していました。
コロナを除くと、働き方や賃上げに力を入れているため、この分野の助成金が使いやすいです。
➀働き方改革推進助成金
働き方改革推進助成金は、2023年度から新設された制度です。
元々国は一部職種の働き方改革には5年の猶予を設けていました。
建設業やトラックのドライバーや医師などです。
これらの職種については、あとから時間外労働などを規制する方針でした。
今回、その猶予を終え、働き方改革を決定する時期が到来します。
そのため、国は助成金を使って他業種と同じように時間管理していく制度を考えています。
建設業や運送業では、多く利用されると考えています。
現場に出る方々、トラックやダンプカーなどを運転する方々が、影響を受けます。
元々36協定で時間外労働を許可していましたが、特にこの2つの業種はその時間がほぼ無制限でした。
しかし、これは流石にいけないため、ある一定基準を設けることになります。
しかし、何もないところで上限を作るのも大変な状況です。
なんとか助成金制度を使いながら後押しするので実現してくださいというものです。
例えば建設業の場合、
・重機やクレーンを入れ、手作業をクレーンを使って早く作業ができる
・重機を1台→2台に増やして、作業時間を短縮でき、労働能率が上がる
などで時間外労働を減らす狙いです。
また、トラックのドライバーでは
・配車システムの導入や、時間管理システムの導入で正しい時間管理ができる
など、システム導入で、36協定の時間も下げられれば、助成金が支給されます。
こちらの助成金は、投資額の3/4、もしくは3/5が支給されます。
36協定の時間をどこまで下げるかにより上限額が変わります。
重機等はかなり高額なものが予想されます。
高額なものを思い切って入れた場合に助成金として申請しやすいということです。
全従業員の残業時間平均が60時間以下になった場合、上限の250万円が出るわけではありません。
あくまで36協定の上限時間に基づいたものです。
今まで残業時間上限100時間で設定していたものを、60時間、50時間にするということです。
36協定の上限時間以上の残業は、法令違反になってしまいます。
そうなると、助成金の申請はできません。
企業は、リスクを負って働き方改革を進めていくことになります。
➁業務改善助成金
業務改善助成金は賃上げに率先しているところです。
会社で1番時給単価の低い方々を30円以上引き上げた場合に使える助成金制度です。
「何人賃金を引き上げるのか」×「いくら金額を引き上げるのか」のマトリックスで決まります。
最大600万円、最小で30万円で申請できます。
こちらも先ほどの働き方改革推進助成金と同様で掛けた費用に対して助成金が支給されます。
支給率は掛けた費用9/10、3/4です。
多くの費用をかけて労働能率の増進を図る場合、助成金額も多く申請できます。
しかし、こちらに関しては、単に賃金を引き上げただけでは申請できません。
何か設備を導入して
・労働能率が上がった
・時間外労働が減った
・自分の作業が早く終わることで、他の従業員の手伝いができ、全体の効率が上がった
といった筋書き、ストーリーが必要になります。
国としてかなり推している制度です。
つまり、賃金の引上げと設備投資への効率化が進むことで、助成金が支給されます。
他にも、最新の業績アップ事例を踏まえて、事業に役立つ情報を発信していく予定です。
楽しみにしていてください。