職員の定着と成長を実現する「障害福祉 人事評価制度」

激化する人材争奪戦!変わりゆく障害福祉業界の現状
現在の障害福祉業界は、大きな転換期を迎えています。
2014年には約8万6千件だった事業所数が、2021年には約13万5千件まで増加しました。
わずか7年間で事業所は1.5倍近くに増え、毎年平均7,000件もの新規事業所が生まれている計算になります。
これにより、職員の獲得競争は激しさを増しています。医療・福祉業界全体を見ても、入職者数よりも退職者数の方が多い状況が続いており、人材確保はますます困難になっているのが現状です。
職員が辞めていく主な理由としては、「人間関係」に次いで、「理念や運営への不満」「収入の少なさ」「将来への不安」といった、より本質的な不安が上位を占めています。
この激しい競争の中で、貴法人が優秀な人材を確保し、定着させていくためには、業界全体の給与動向や近隣他法人の状況を常に把握し、適切な給与設定を行うことが不可欠です。
人材定着の鍵を握る「人事評価制度」
貴法人でも、以下のようなお悩みはありませんか?
● 同じ仕事内容なのに、職員によって給与がバラバラで説明が難しい
● 評価制度はあるものの、形骸化して機能していない
● ほとんどの職員がB評価で、頑張りが給与に反映されないためモチベーションが上がらない
● 人事担当者がおらず、評価制度の運用まで手が回らない
● 管理職の責任だけが増え、誰も昇進したがらない
● 一律昇給で人件費が高騰し、将来の経営に不安がある
これらの課題を解決し、持続可能な法人経営を実現するためには、適切な人事評価制度の導入が非常に重要です。
人事評価制度は、単に給与を決めるだけのツールではありません。
それは、職員一人ひとりのパフォーマンスや生産性を向上させ、組織全体の成長を促すための重要なメッセージです。
適切な制度があれば、職員は正当な評価や処遇を受けられ、安心して働きながら成長することができます。
評価制度を成功させるためのポイント
人事評価制度を効果的に機能させるためには、「構築」と「運用」の2つのステップが欠かせません。
まず、制度を構築する前に、「どのような人材に育ってほしいか」という人材戦略を明確にすることが重要です。これにより、採用基準や育成方針が定まります。
そして、一度制度を作ったら終わりではありません。導入前に必ずプレ実施を行い、職員からのフィードバックを取り入れるなど、常に制度を見直し続けることが成功の鍵となります。
また、人材育成を目的とした人事評価制度では、「PLAN(計画)」「DO(実行)」「ACTION(改善)」のサイクルを回すことが特に重要です。「CHECK(確認)」は現状を把握するための通過点と捉え、次の行動にどうつなげるかを重視しましょう。
2025年問題に対応!「福祉・介護職員処遇改善」への取り組み
2025年問題を視野に入れた「福祉・介護職員処遇改善」への対応は、貴法人にとって喫緊の課題です。
この処遇改善加算を取得するには、主に以下の3つの要件を満たす必要があります。
1. キャリアパス要件
職員が将来を見据えてキャリアを形成できるよう支援するための要件です。
● 職位・賃金体系の整備: 職位を2段階以上設定し、昇格の要件や職位に応じた賃金体系を明確にする。
● 研修制度の実施: 職員の資質向上のための目標や具体的な計画を立て、研修の機会や費用の援助、シフトの配慮などを行う。
● 昇給の仕組みの整備: 経験、資格、評価のいずれかに応じた昇給の仕組みを整備する。ここでも人事評価制度が深く関わってきます。
2. 月額賃金改善要件
職員の月額賃金を具体的に改善するための要件です。
3. 職場環境等要件
職員が働きやすい環境を整備するための要件で、具体的な取り組みが求められます。貴法人の状況に合わせて、以下の取り組みを検討することをおすすめします。
● 採用強化の取り組み
・経験や資格にこだわらない、幅広い人材を採用する仕組みを作る(例: 求人サイトで「未経験者歓迎」と明記する)。
・法人の経営理念や支援方針、人材育成方針を明確にし、周知する。
● スキルアップ支援
・上司や担当者による定期的なキャリア面談の機会を設ける(例: 月1回の1on1面談)。
・研修の受講状況と人事評価を連動させる。
● 多様な働き方の推進
・有給休暇の取得目標を設定し、定期的に取得状況を確認する。
・業務のマニュアル化や役割分担を見直すことで、特定の職員に負担が偏らないようにする。
● 心身の健康管理
・事故やトラブル対応のマニュアルを整備する。
・業務やメンタルヘルスに関する相談窓口を設置する。
● 業務改善の取り組み
・5S活動(整理・整頓・清掃・清潔・しつけ)を実践し、職場環境を整える。
・業務フローの見直しやマニュアル作成で、情報共有や作業負担を減らす。
● 働きがいの向上:
・定期的なミーティングでコミュニケーションを円滑にする。
・支援の成功事例や利用者・家族からの感謝を共有する機会を設ける。
これらの要件は、単なる行政への対応ではなく、採用力の強化と職員の定着に直結する重要な施策です。
行政が人材への投資を支援してくれている「今」こそ、組織体制と人材戦略を見直す絶好の機会と言えるでしょう。
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