就労継続支援×介護|人材不足を解消、新たな収益の柱を築く新規参入ガイド

概要
介護事業者様向け、本業の介護事業と「就労継続支援事業」を戦略的に組み合わせる新規参入ソリューションです。
介護施設で発生する清掃、調理補助、事務作業などの「間接業務」を、自法人で運営する就労継続支援事業所に切り出す(法人内アウトソーシングする)ことで、介護職員の業務負担を大幅に軽減し、深刻な人材不足の解消と離職率の低下を目指します。
同時に、国の給付費を基盤とする安定した「ストック型事業」を新たな収益の柱として確立し 、法人全体の経営安定化と成長を実現します。
介護業界の動向
介護業界の人材不足は慢性的・構造的な問題です。厚生労働省の統計では、介護サービス職の有効求人倍率は3.41倍(全国平均1.31倍)、特に訪問介護員は14.14倍と、求職者1人に対し14件以上の求人がある深刻な採用難を示しています。
離職率も13.1%(民間企業では15.0%)と高い水準にあり、多くの事業所が人材定着に苦慮しています。
これらの問題は、採用コスト増大、人件費高騰、既存職員への過度な業務負担として、直接的に経営を圧迫しています。
しかし、問題の本質は単なる人員数ではなく、専門知識を持つ介護職員が、清掃、リネン交換、事務作業といった「間接業務」に多くの時間を費やしている非効率な業務配分にあります。
この「ワークデザイン」こそが、職員の専門性を活かせず、現場の疲弊と高い離職率に繋がる根本原因であり、真の解決策は、職員が専門業務に集中できる環境を創り出すことにあります。
介護×就労継続支援ビジネスがうまくいく理由
■ 理由1
介護事業の構造的課題(人材不足・業務疲弊)を根本から解決できる介護現場の疲弊の大きな原因は、介護職員が清掃、ベッドメイク、調理補助などの非専門的な「間接業務」に追われていることです。
自法人で就労継続支援事業所(特にB型)を運営し、これらの業務を「生産活動」として体系的に切り出し、利用者に担ってもらう仕組みを構築します。
これにより、介護職員は本来の専門業務(個別ケアや入居者との対話)に集中できます。
ある法人では、この仕組みで介護職員の業務時間を1日2時間以上削減し、業務負担を理由とした退職者が大幅に減少しました。
■ 理由2
就労支援事業の最大の経営課題を、事業モデル自体がクリアしている 就労継続支援B型事業所の約35%は赤字であり、その最大の理由は「安定した生産活動(仕事)の確保ができない」ことです。
外部企業からの継続的な受注は困難が伴います。
しかし、介護事業者が参入する場合、親会社である介護施設が最大の「顧客」となります 。
日々必ず発生する清掃、洗濯、調理補助といった業務が安定した仕事の源泉となり、事業開始当初から収益基盤が確立されているため、最大の経営課題をクリアした状態でスタートできます。
■ 理由3
確実な成長市場(障がい福祉市場)に参入できる 障がい福祉サービスの利用者数は10年間で約2倍に増加しています。
関連する国の予算も過去17年間で約3倍の1.6兆円を超える市場へと成長しました。
特に、就労継続支援B型事業所は、過去9年間で施設数が約2倍に増加したにもかかわらず、需要は依然として供給を上回る状況が続いており、安定したニーズが見込める成長市場です。
介護×就労継続支援ビジネスの具体的な流れ
■ ステップ1:事業計画策定と「業務切り出し」の設計
まず、自法人の介護施設から、どのような間接業務を(例:清掃、リネン交換、調理補助、事務補助など)どの程度の業務量、いくらの委託費で切り出すかを具体的に計画します。
ある成功法人では、介護現場の業務を「事務系(データ入力等)」「清掃系」「介護補助系(ベッドメイク等)」「調理系(食器洗浄等)」「販売・施設保全系」の5つの専門コースとして再構築しました。
これを基に、人員配置計画、必要な設備、収支シミュレーションを作成します。
■ ステップ2:事業所設立準備(人員・設備・資金)
・人員確保
管理者、職業指導員・生活支援員に加え、事業指定の必須要件である「サービス管理責任者(サビ管)」を確保します 。
サビ管は一定の実務経験と研修修了が必要なため、早期の確保が最重要課題です。
・物件確保
設備基準(訓練・作業室、相談室、事務室、衛生設備など)を満たす物件を選定・改修します。
建築基準法や消防法への適合も必須です。
・資金調達
物件改修費、備品購入費、数ヶ月分の運転資金などの初期投資を計画します。
日本政策金融公庫など公的融資の活用も検討します。
■ ステップ3:指定申請と事業開始
人員と設備の基準を満たす目処が立ったら、行政(都道府県など)の担当窓口と「事前協議」を行います 。
事業計画や図面を基に指導・助言を受け、計画を修正します。
その後、運営規程や勤務一覧表など膨大な申請書類を提出し 、「現地調査」を受けます。すべての審査をクリアすると「指定通知書」が交付され、事業を開始できます。
■ ステップ4:運営開始と「好循環」の創出
地域の相談支援事業所等を訪問し、利用者募集(営業活動)を開始します。
本モデルの強みは、事業開始と同時に親会社(介護施設)から安定した仕事が供給される点です。
これにより、利用者はすぐに生産活動に取り組め、安定した工賃を得ることができます。
これが「安定した仕事の提供 → 高い工賃の実現 → 国からの高い報酬単価(保険収入)の獲得 → さらなる経営の安定」という強力な好循環を生み出します。
成功のポイント
①「ワークデザイン変革」と位置づける
単なる業務委託ではなく、介護職員を間接業務から解放し、専門性を発揮できる環境を創る「ワークデザインの変革」として取り組むこと。
②「就労継続支援B型」を選択する
利用者と雇用契約を結ぶA型に対し、B型は雇用契約がないため、利用者の体調や能力に応じた柔軟な業務提供が可能です。
清掃や調理補助など日によって業務量が変動する介護施設の間接業務と相性が良く、事業リスクも比較的低いため、新規参入に最適です。
③「サービス管理責任者(サビ管)」を早期に確保する
事業指定の必須要件であり、支援の要となる専門職です。
実務経験と研修修了が必要なため、自法人からの登用または外部採用を早期に計画することが成功の鍵です。
④「親会社=最大の顧客」として好循環を創る
親会社である介護施設が安定的に業務を発注し続けることが、最大の成功ポイントです。
これにより就労支援事業所は安定した収益(生産活動収入)を確保でき 、高い工賃を利用者に支払うことができます。
その結果、国から得られる保険収入(訓練等給付費)の単価も高くなり、経営が安定する好循環が生まれます。
参入条件①初期必要人員数
(例:利用定員20名の場合)
・管理者: 1名(サービス管理責任者との兼務が一般的)
・サービス管理責任者(サビ管): 1名以上(※一定の実務経験と指定研修の修了が必須)
・職業指導員・生活支援員: 合計で常勤換算2.0名以上(利用定員÷10)
期待できる数値効果
▼ コスト削減・業務効率化効果(親施設:介護事業側)
| 人件費削減(事例) | 月あたり約25万円(年間300万円) |
| 業務時間削減(事例) | 介護職員1日あたり平均2時間以上削減 |
| 職員定着率(事例) | 業務負担を理由とした退職者が大幅に減少 |
▼ 採用効果(法人全体)
| 採用チャネル増(事例) | 障がい福祉事業の求人をきっかけに介護職員を7名採用 |
▼ 収益性(新規事業:就労継続支援B型側)
| 平均収支差率(利益率) | 5.2% |
| 収益構造 | ①介護施設からの業務委託費(生産活動収入)+ ②国からの訓練等給付費(保険収入)の二本柱 |
※数値はあくまでもモデルであり成果を約束するものではありません。
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