現在、土地家屋調査士業界は、以下のような複合的な課題に直面しています。

● 働き方改革への対応

残業規制などにより、従来の業務体制の見直しが求められています。

● 低生産性からの脱却

案件数の減少や単価交渉の常態化で、収益の確保が難しくなっています。

● 深刻な人手不足

少子高齢化や賃金問題により、優秀な人材の確保が困難になっています。

これらの課題を解決し、経営を安定させるには、生産性の向上が不可欠です。

私たちは、そのための具体的な解決策として、「ワンマン測量」と「分業制」の導入を推奨しています。

私たちが提唱する生産性とは、「人時生産性 = 売上（粗利）÷ 総労働時間」です。

これを高めるには、以下の2つのアプローチが重要になります。

1. 売上を上げる

業務の効率化で処理件数を増やし、売上を最大化します。

2. 労働時間を下げる

無駄な作業をなくし、効率的に業務を進めます。

この2つのアプローチを同時に実現するのが、「ワンマン測量」と「分業制」です。

1. ワンマン測量：測量スタイルを根本から変える

従来の測量は、2人1組で行うのが一般的でした。

しかし、自動追尾型の機器を導入すれば、1人での測量が可能です。

これにより、人件費を削減し、同じ人数でより多くの案件をこなせるようになります。

2. 分業制：業務フローを再構築する

測量担当者が最初から最後まで全ての業務を行うのではなく、専門性の高い業務と定型業務を分けるのが分業制です。

これにより、それぞれが自分のスキルに応じた業務に集中でき、全体の業務効率が格段に向上します。

これらの施策を導入することで、事務所の経営は大きく改善されます。

● 人件費を大幅削減

測量人数を減らし、補助業務をパート社員に任せることで、人件費が理論上半分になります。

● 処理件数を倍増

人員効率が上がるため、同じ人数でも処理できる案件数が2倍に増えます。

● 採用難を克服

少人数でも多くの業務をこなせる強靭な組織に変わり、人手不足に左右されません。

● コア業務に集中

資格者は、測量や顧客対応といった本来集中すべき業務に時間を割けます。

● 労働環境の改善

業務効率化により、従業員の負担が軽減され、ワークライフバランスが向上します。

● 営業活動を強化

業務に余裕が生まれ、新規案件の獲得や顧客との関係強化に時間を投資できます。

土地家屋調査士事務所の業務は多岐にわたりますが、成功している事務所は、専門性の高い業務を資格者が、専門知識をあまり必要としない業務をパート社員が担当する体制を築いています。

具体的には、「事前調査」「図面作成」「成果物作成」「納品」といった業務を担う「CADセンター」のような部署を設置することを推奨します。

分業を成功させるためには、以下のポイントを押さえることが重要です。

● 業務の標準化

誰でも迷わず作業できるよう、調査範囲や手順、成果品のフォーマットを固定化します。

● 情報共有の徹底

測量データだけでなく、現地の写真や手書きのスケッチなどもリアルタイムで共有し、社内連携を強化します。

● 属人化の防止

資料の保存先を統一し、誰でも必要な情報にアクセスできる体制を整えます。

実際にこの体制を導入した事務所は、未導入の事務所に比べて約3倍の案件を処理しています。

例えば、従業員5名の事務所では、未導入が4件のところ、導入済みは12件を処理。15名の事務所では、未導入が22件に対して導入済みは74件と、規模が大きいほどその効果は顕著に現れます。

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