フォトウエディング市場における時流とユーザー動向
早速、フォトウエディングの市場と動向についてお話しできればと思うのですけれども、こちらは船井総研のお付き合い先のスタジオ二社様のお問い合わせ数の推移を出しています。こちらは、2022年の1月から2023年の3月までの最新のデータを出しています。
まず、青い線のA社様に関しましては、2022年の後半から年始にかけてお問い合わせ数が減少している状態になっています。それに対して、オレンジ線のB社様に関しましては、2023年の年始からお問い合わせが減少している状態になっています。3月は一瞬上がっていますが、こちらは季節指数によってやや上がりますので、例えば4月、5月の春のシーズンに向けて3月は増えていく時期でもありますし、そういったところで増減は出てくるものなのですけれども、それでも2022年の3月と2023 年の3月で比べましても、去年までの勢いは見られないので去年に比べると減少傾向にあるのが今のフォトウエディングの最新の現状です。
では、どうしてお問い合わせ数が減少してきたのかというところですが、まずそもそも婚礼希望者が戻ってきていて、フォトウエディングのユーザー数が減少していることが一番の理由です。コロナ禍においては結婚式ができないので、結婚式を考えられている方も考えられていない方もフォトウエディングを検討する動きがあり、お問い合わせ数自体は増えていましたが、婚礼希望者が戻ってきたシーズンに関しましては式場に行く動きに変わってきたわけです。
そして、二つ目が写真以外の興味、関心が出てきたことが挙げられます。コロナ期間中は家族やお二人で楽しむことのできる商材に興味関心が高まっていましたので、例えば秘密空間の写真館で家族写真を撮ることや二人でフォトウエディングを撮ることに興味、関心が高まりがちだったのですけれども、コロナの規制が緩んできまして、旅行支援の再開などで写真から旅行や娯楽に興味関心が移ってきたので、旅行などにお金をかけるようになってきてしまったことも理由も挙げられると思います。
三つ目が、2021年、2022年はフォトウエディングのバブル期と船井総研では呼んでいるのですけれども、フォトのバブルが落ち着いてきてコロナ前の水準に戻ってきたことで、コロナで結婚式できなかった層や延期をしていた層がフォトウエディングに流れてきたわけですが、そういった方々も一通りフォトを撮影し終わったり、一通り結婚式が終わったとので、層のストックがなくなってきたという理由も挙げられると思います。
しかし、一番大きいところは、フォトウエディングの層と前撮りの層の差別が明確化してニーズが明確化して分かれてきたことにあると思います。フォトウエディングの層ではそもそも結婚式をしないので、例えば本格的なチャペルで撮影がしたい、挙式風の写真が撮りたいというニーズがあり、結婚式をしない分写真や衣装にこだわって予算を投下していきたいという動きがありました。これに対して前撮り層は、コロナにおいて結婚式ができるかわからないので、憧れのドレスを着て、チャペルやスタジオ、ロケーションなど好きな場所で撮影をしていきたいというニーズがありました。
このように両者共ニーズが似ていたので、コロナ禍においてはまとめてフォトウエディングと呼んでいました。
現状もフォトウエディングの層は変わらず、結婚式風の写真が撮りたい、チャペルで撮りたい、結婚式しない分お金をかけて写真を残したいというニーズになっていますが、前撮り層は後々結婚式を行うことが決まっていますので、結婚式場では撮れない、例えば作り込まれたスタジオセットや好きなロケーションスポットなどで撮影がしたいというニーズが高まってきています。また、結婚式を控えているので、なるべく予算を抑えながら写真を残していきたいという考えもありますので、フォトウエディング層と前撮り層の予算感も変わってきています。
ですので、今まではフォトウエディングと一括りにしていましたが、これからも一括りにしてしまうと、前撮り層のニーズとの解離が起きてしまう可能性がありますのでフォトウエディングを一括りにして高単価で売っている場合、価格があまりにも高すぎると前撮り層の方が離れてしまいますので、フォトウエディング層と前撮り層の差別化を行っていくべきだと思います。
また、フォトウエディングのプレイヤーさんがコロナ禍において増加してきたことによって、1スタジオあたりシェア数が少なくなってきてしまいますので、1スタジオあたりのフォトウエディング市場は更に狭くなってきていますので、このような現状を踏まえて、今後どのような対策をしていけばいいのかをお伝えできればと思います。
まず今後の業界としましては、前撮り層と前撮りなし婚層という2軸がメインターゲットになっていきます。これはコロナ以前からもそうだったのですけれども、ここがしっかり差別化され、この2軸がメインターゲットとして別れてくるとなると、見せ筋の価格が集客に影響を及ぼしてくる可能性が高くなってきます。
また、細かいWEBマーケティング施策を泥臭く続けられるスタジオが生き残ってくると思いますが、これは大手の企業さんに上場されているフォトウエディングのスタジオ様や全国的に展開されている企業様も多くいらっしゃいますが、大手の方を見ていても売上が伸びているところ、減っているところ、集客が伸びているところ、減っているところの明暗がわかれてきている状態になっています。この明暗がわかれているポイントとして何があるのかと言いますと、WEBマーケティングを細かくとにかく泥臭くやっているスタジオさんがお問い合わせ数や売上が増えている。要するに弱肉強食の流れになっています。そのため、WEBマーケティングの施策も細かく行っていく必要があります。
そして最後に、フォトウエディングのユーザー数の減少に伴って、お問い合わせが減って集客が奮わないところが増えています。では、どのように売上を増やせばいいのかと言いますと、フォト以外の追加商品の受注やオプションの販売などの単価アップ施策が必要になります。
動向から見る今後のフォトウエディング戦略
業界的に今後はこのような3軸で推移していくと思っています。先ほども少しお伝えしましたが、フォトウエディングの売上を立てるには、売上の方程式を考える必要があります。売上の方程式としては客数と組単価を掛け合わせたものが売上になりますので、客数の確保のためにWeb集客を地道にどれだけやっていけるかが重要になります。また、組単価に関しましては、プランをどのような金額感で組まれていて、どのような金額帯のプランが選ばれているか、またオプションが販売できているか、追加で受注できているか、フォト以外の商品も組めるところは追加で受注をしていくためにも、組単価を上げていくことによって客数が少々減っても、単価が上がれば売上が立つサイクルが生まれると思っています。
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