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- 人・企業の「独自固有の長所」の見つけ方と作り方【長所伸展法】
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はじめに
今回は独自固有の長所の見つけ方、作り方についてお伝えさせていただきます。
「独自固有の長所」という言葉は、船井流ではポピュラーな言葉ですが、改めて検索してもなかなかヒットしないと思います。
こちらの言葉は船井総研の3代目社長であった小山政彦がつくった言葉です。
もともと弊社では「長所伸展法」を初代社長である船井幸雄の時代から提唱し続けておりましたが、
この「独自固有の長所」はそれをコンセプトとして、より際立たせたものになります。
分かりやすく説明いたしますと、非代替性が高い魅力を磨き続けよう
(=キラー化を推進しよう)という考え方です。
独自固有の長所を確立することができれば、会社にとっても、個人にとっても
良いことばかりだということは皆様お分かりかと思いますが、
そのような得難い人材をどのように見つけるのかという問題が
どのような業種にも降りかかると思います。
独自固有の長所を持つ人材は、独自固有のサービスを提供できるかもしれません。
例えば、スターバックスコーヒーでブラックエプロンを身に着けた方は、
各々のお客様に合ったコーヒーをブレンドしてくださるコーヒーの専門家です。
このような独自固有の人材を作っていこうというのが、船井流の考え方になります。
長所と短所と欠点
まずは長所の観点からお伝えさせていただきます。
皆様も長所という言葉はよく聞くと思いますが、
長所の見つけ方や伸ばし方に関してはよく分からない方が多いと思います。
ぼんやりと「長所は伸ばしたほうがいい」とは最近の教育論でも言われておりますが、
ではそもそも「長所」とは一体何なのでしょうか?
長所について深く考える際、
船井総研では個人の特性を3つの観点に分けて考えています。
それが、「長所」と「短所」と「欠点」です。
短所と欠点は明確に異なりますので、船井総研では分けて考えます。
改めまして、長所を見つけるという観点からお話をさせていただきますが、
人の最も良い長所とは、自他共に「この人の長所はこれだ」と認めている特長のことです。
ただ実際には、自分ではこれが自分の長所だと思っているが、
他人から見ると別のところを一番の長所だと言われる、というケースがあります。
心理学の話になりますが、心理学には「ジョハリの窓」という考え方があります。
これは、自分自身の特性を
「自分が知っている/自分は気づいてない」
「他人は知っている/他人は気づいてない」
という2軸で分析する自己分析モデルです。
・自分も知っているし、他人も知っている(解放の窓)
・自分は気づいていないが、他人は知っている(盲点の窓)
・自分は知っているが、他人は気づいていない(秘密の窓)
・自分も他人も気づいていない(未知の窓)
これに則ると、「才能があるのに自他ともに気が付いていない場合」すらあるということがわかります。
そして、ジョハリの窓の考え方に基づくと、自他ともに知っている個人の価値を磨いていくことが大事になります。
長所を見つけるための観点は様々ですので、自分自身で長所だと気づける場合もあれば、
自分以外の方々から指摘されるかたちで見つかることもあります。
「自分の好きなこと」を伸ばして「自分自身の長所」を創る
そして、世の中でお金を稼げている方たちの多くは、自分の長所を活用しています。
例えば、歌手などの芸能人は単純に歌が上手いからとか、
端正な顔立ちだからということで売れているわけではありません。
各々に個人にしかない長所があるからこそ人気を得てお金を稼げているわけです。
そのような長所を見つける際にはおさえるべきポイントがありますが、
企業の長所を見つけて伸ばすことを大切にしている弊社でも、
経験の浅いコンサルタントの場合、長所を見つけ出すのは難しいことです。
むしろ逆に短所ばかりが目に付いてしまいます。
そして、自分の長所とは、自分で自分の良いところが分かっていれば大丈夫です。
自分自身の長所は、自分自身が得意なことや好きなこと、夢中になれることの中から見つかる可能性が高いです。
つまり、「長時間行っても苦にならないこと」が自分自身の長所になりやすいわけです。
私の場合ですと、話すことになると思います。
このように「自分自身の好きなことを磨き続けて長所にしていこう」というのが船井総研の考え方です。
短所を是正するよりも長所を伸ばし強みとする「長所伸展法」
例え話になりますが、昨今のオリンピック出場選手の経歴をWikipedia等で追っていくと
幼少期や少年期から全日本代表になるなどの、輝かしい経歴を持っておられる方が多いです。
そのような方々でも、高度な科学的トレーニングなどを受け、
さらには実戦経験を積んでいかなければ、勝ち残ることが難しくなります。
この話を会社に置き変えますと、社員の長所を見つけて育むのが得意な会社とそうでない会社とでは、
社員の育成度合いが結構違います。
この話は新規事業にも言えることで、自社の強みを磨き新規事業に活かすことが得意な会社もあれば、
得意ではない会社も必ず存在するということを理解していただきたいと思います。
しかし、「ここまでできて一人前」である基本レベルを下回っている特徴は、「短所」ではなくその人の「欠点」になります。
他社のレベルより少し劣る特徴が自社の「短所」になります。
そして、最後の他社レベルより突き抜けている特徴が、その人・その企業の「長所」です。
長所、短所、欠点の具体的なたとえ話をさせていただくと、
小さな商店街にあるお店の取扱商品が魚、野菜、お惣菜だとして、
鮮魚は他店よりも評判がいいとなると、鮮魚はそのお店の長所になります。
逆に野菜が他店よりも美味しくないとなると、そこはそのお店の短所になります。
そして、お惣菜は気分次第であったりなかったりで基本的には扱っていないとなると、お惣菜はそのお店としては欠点になります。
このような短所や欠点を是正するために本業を疎かにして
是正に注力しすぎる方もおられるかと思いますが、そうなってしまっては本末転倒になってしまいます。
なぜ、本末転倒なのかといいますと、余力をすべて短所や欠点の是正のためにつぎ込んでしまったとしても
本来の魅力である長所は伸びず、結果的に集客にもつながらないからです。
利益が減る可能性すらあり、実際にこのような事例は頻繁にお聞きしております。
そのため、弊社では欠点を短所の水準にまで押し上げてからは、
短所の部分はあえて触れず、長所を伸ばすことだけに注力しています。
このような思い切った決定を取りにくい会社様が多いのが現状だと思いますが、
短所を無理やり是正するよりも、長所を磨き続けて独自固有の長所にするほうがいいだろうという考え方が「長所伸展法」です。
そして、プロ中のプロの世界では長所一点突破で稼いでいますし、
実際にその長所に賛同してくれる方が増えれば増えるほど稼げる金額は大きくなっていきます。
長所に賛同していただけること、いいねと言ってもらえることを一生涯やっていくのが人生だと考えています。
文章を書くのが好きな方はそういった職業に就くでしょうし、
野球が好きな方は野球選手を目指されると思います。
各界の有名選手も、好きなことをされているからこそ応援されているわけです。
例えば、イチロー選手が歌を歌っているところを見続けるよりは野球関連のことをされているほうが応援したくなる方は多いと思います。
このように周囲の期待と自分の得手不得手を考えて仕事をしないと、
需要と供給が釣り合わずビジネスとして成立しなくなってしまいます。
ところが、日本は戦後の教育の成果なのか、一億総中流という言葉がそうさせたのかは定かではありませんが、
長所を伸ばすのではなく欠点を補うことや短所を伸ばすことに注力しすぎたので、世界に対する英才教育をすることができなかったわけです。
この辺りの考え方は長所伸展法や独自固有の長所を得るために重要になりますので、覚えていただければと思います。
現在の市場規模と将来の市場規模を考えることが大切
そして、マーケットごとの需要と競合具合についてです。
この部分はよく考えていただきたいのですが、簡単に言いますと
非常に魅力的な市場に参入しようとしても、既にその市場にはどうしようもないほどに大きな競合相手がいたとして、
それでも勝ち残れればチャンスがあるから参入するのか、
それとも市場は小さいですが参入すれば業界トップになれる市場に参入するのかは悩みどころだと思います。
当然、競合相手が多くても生き残れるほどに企業規模が大きければ参入したほうが早いです。
しかし、競合は少なければ少ないほどいいので、弊社では「競合の少ない小さな市場」をおすすめしております。
ちなみに併せて厄介な市場もご紹介させていただきますが、最も厄介なのは小さな市場なのに競合が多い市場です。
具体的にはYouTube業界などです。
このように様々な市場がある中で自分たちがどのように動いていくのかが、長所伸展のためには重要になります。
例え話として、筆者の話をさせていただきますが、私はアパレル業界から転職し、
主に百貨店やスーパーマーケットなどのコンサルティングを手掛けておりました。
百貨店やスーパーマーケットのコンサルティングは事業規模がもともと大きい場合が多いので難しいわけですが、
競合相手が非常に少ないので、コンサルティングを続けていました。
結果としてこの領域でのコンサルティングで私がトップに立てたのかは分かりませんが、
このように競合相手が少ない市場を見つけるための視点も大事になります。
このことに付随して大事なことは現在の市場規模と将来の市場規模を考えることです。
現在は大きくても将来小さくなる市場や現在は小さいですが将来大きくなる市場など様々あると思いますが、
将来の市場規模を予想しそこに自社の長所を合わせることが重要になります。
このように自社の強みを育て、将来の市場に合わせることが時流適応になります。
そして、時流適応を続けていく中で徐々に専門性を高めていくことで、
「独自固有の長所」を持った唯一の会社になることも可能です。
例えば、日本の京都などは観光産業において唯一無二の独自性を誇っていますし。
日本は世界で最も創業100年以上の会社が多い国なのでそのような意味でもある程度の集客力を持っています。
このような付加価値を磨きこんで提供することができれば、日本という国の独自固有の長所として
外貨などを獲得することがしやすくなるというのが観光立国の基本的な考え方になります。
このような独自固有の長所を持つという発想は、国づくりだけでなく企業などにおいても大事になります。
今回は「独自固有の長所の見つけ方、作り方」についてお話させていただきました。
これにて今回の記事は終了とさせていただきます。
次回の記事も楽しみにしていただけると幸いです。
ありがとうございました。