はじめに
こんにちは。船井総合研究所の濱中でござます。私からは、「最短最速の営業マン育成そのポイン
トと事例」と題しまして、講座をさせていただきたいと思います。先ほど、中尾社長と正木さんのインタビューで、実際現場で何をしていたのか、一緒に試行錯誤させていただいて作り上げていったその仕組みなのですが、具体的に何をしていったのかという点をまとめながらお話しをさせていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
最短最速の営業マン育成 そのポイントと事例―会社概要
それでは中尾様のご紹介になりますが、愛知県安城市という点で従業員が55名、主にSKYLIVINGとNewRomanticHouseという商品を売られており、前年度で契約棟数が100棟、売り上げ35億となっております。
最短最速の営業マン育成 そのポイントと事例―商圏
地図で見ると、西三河エリアを中心に行っていただいております。商品もこのような商品となっております。
最短最速の営業マン育成 そのポイントと事例
私と一緒に育成を取り組み始めたときの人員体制としては、このような感じになります。
本多さん、小野寺さん、加藤さんといった若手の方がいらっしゃって、それぞれに店長がついていただいています。最初は、本多さん、小野寺さん、加藤さんの「短期間で営業力を一気に上げていきたい」という点の営業力アップのお話からスタートいたしました。現在は、この下にさらに若手の方たちが1人~2人ついているという状態になります。
最短最速の営業マン育成 そのポイントと事例―当時の営業
当時の中尾様の状況なのですが、若手の方たちの商談は基本的には営業部長である正木さんが全部このようにモニタリングをしております。
インカムを使用し商談を聞きながら都度都度アドバイスをとばしていました。そのため、飛んでくるアドバイスを若手の方がすぐにお客様につたえることで、アポがとれたり申し込みや契約が取れることもあったのですが、当時正木さんは、「なぜ、それを言えばお客さんの気持ちが盛り上がるのか」や「話が進むのか」といった、「なぜ、そうなのか」という点が言えないということを常々おっしゃっていました。逆に若手の方は「なぜ、正木さんがそのようなことを言ったのかが分からない」と話していました。
それを言えば、アポイントが取れたりお話が進むことになるのですが、「何でそう言えば、そうなるのかが分からない」と言うのです。根本的な営業力がついていない状態というのが、しばらく続いていた状況になります。そのため「若手の方が自立的に商談をどんどん前に進めて申し込みや契約を上げるためにはどうしていけばいいのか」というご相談から育成の仕組化というのをスタートいたしました。
初めに取り組んだことは、現状のフローというのを整備することから始めていきました。
実際は、中尾様でも物件に呼んできたり店舗に呼んできたりという入り口が複数ある状態でした。これは、育成のコンサルティングをするときに、最初に整備をしていくところなのですが、入り口が複数あると若手は確実に迷います。
したがって、基本的には入り口を1カ所に決めていただきます。
最短最速の営業マン育成 そのポイントと事例―新人の契約数アップに向けての取り組み
そして、このようにどの手順が正しいのかという正解を一つだけ決めるということをしていきました。
まずはモデルハウス来場していただき、そのあと9「0分の間にアポを取る」これが正解とします。お客様がいらっしゃって20分以内には着座をして、アポイント率を50%目指していこうということです。要するに、時間と、それぞれの着座、アポイント、申込、契約、それぞれのKPIのモデルとなる数値を決めてあげるということからスタートをしていきました。
入り口と出口を通関させ、どのような手順を、どのように踏めばといった正解を決めてあげたほうがやりやすいだろうということで、まずはこちらを着手していきました。
こちらは、実際に数字を取っていったのですが、きちんとモデル数値を決めることにより、アポイント率や申し込み率、そして時間みたいなところを意識していった結果、KPIがモデル数値に近付くということになりました。そのため、実際の現場がどのようになっているかということがこちらを見て分かるようになりました。
例えば、着座率が極めて高く、申込率が50%よりも随分低い状況の場合は、その新人の方は初回商談のどこかに課題を抱えていて、もしかすると初回商談の時間が30分や40分かかり、こちらの一方的な説明でお客さんを帰らせてしまっているという場合が考えられます。そのため、ロープレで、お客さんの話を聞く練習をするなど打ち手をしっかり打つことが、モデル数値と流れを決めることによって、より明確にできるようになってきました。
最短最速の営業マン育成 そのポイントと事例―”育成の仕組み化“スタート
そして、営業周りも整備をしていきました。具体的には、フロー別に細かく切り、お客様の悩み別にトークを全て見える化しました。
一定の水準のトークを「このパターンだったら、これ」というように、できる限り細かく設定をしていきました。すべてマニュアル化をし、さらに動画にするということです。
デジタル営業DXが今話題になることも多いかなと思いますが、しっかりと動画にし、それを目で見て、耳で聞いて、覚えるということです。
今の若手は覚えることも早いので、トップ営業マンやモデルとなる営業マンが実際の現場を想定してしゃべることにより、抑揚やリズムも体の中に入ってくると思います。会社で新人の方などがそうだとは思いますが、棒読みになることがあると思います。それをトップ営業マンなどの話し方を勉強そまねることで、いきなり現場で使えるクオリティになったということがありました。したがって、しっかり動画化をしてあげるということです。
続いて、重要な点になりますが、トークや考え方などを動画化し、さらにはそのトークが「なぜそういうふうな流れになっているのか」や「そもそも住宅営業というのは、どういうふうに考えていくべきなのか」というような背景となる考え方である「なぜそうなのか?」という解説動画を作っていきました。
先ほど、正木さんがおっしゃっていたように、「なぜそうなのか」を教えることができないと言われていましたが、若手はトークを覚えるということも大事なのですが、「なぜそういう流れなのか」という点をしっかりと解説されていればいるほど、腹落ち度合いも深く、より自分の言葉でしゃべれるようになりますし、覚えるのも早いです。
したがって、しっかりと解説動画もプラスしてあげるというのが、この仕組みを作るうえでの重要なポイントになってくるかと思います。
次、その動画を見たのかどうかや、どれぐらい理解しているのかというチェックテストや動画視聴の管理をしてあげるという点です。
これは、上司や幹部の方が行っていきます。管理をしてさぼらないように「みんなでやっていこう」と、徹底することです。新人の方に「動画を視聴してほしい」と言うだけでは、なかなかできない方もいらっしゃるので、そこをしっかりと会社側が管理してあげるという体制も同時に構築をしていきました。
これは管理の画面なのですが、いつ視聴して、いつチェックテストが終わり、どこを間違えたのかを管理して、そのあとにフィードバックをするということを徹底してやっていきました。
もちろんロープレもしっかりとやっていただきました。動画を覚えて、チェックテストを受け、しっかりと知識もつけ、ロープレに臨んでいただくということです。
これは、週に2~3回店舗ごとに行ったり店舗をつなぎ全社で行ったりと高頻度でやっていただきました。そのため、若手の方も徐々に話せるようになってきたのですが、中尾社長や正木さんと話をしていたところ、「思うような成果にはつながらない」という点が出てきました。要するに、あまり数値として成果が出ていないということです。
最短最速の営業マン育成 そのポイントと事例―営業の見える化
では、「なぜ成果につながらないのか」という点です。
実際の音声を録っていただき、それを聞くと、実際の商談ではこのようになっていたのです。先ほどの若手の小野寺さんという方の録音音声なのですが、お客様が「そこらへんはなかなか土地が見つからないのではないのですかね」ということを言われ、土地という点がお客様の気になるところだと小野寺さんは思っていたのです。
動画の中には、20分程度の土地に対する対応のトークも入っていたので、この土地というキーワードが出た瞬間に「土地トークだ」と思い、土地トークに一気に入っていったのですが、結果的には、そこまでは土地が気になっていないお客様でした。よくよく話を聞くと、土地より資金面が気になっている方だったのです。要するに、お客様が気になっていないことを、しっかりと長々と話してしまうケースが多くありました。トークは上手にできるため、お客様からキーワードが出てきた瞬間に、それを発動させてしまい、気になっていないことを話してしまうというように、お客様をつかみきれないということが現場で起きていました。トークはできるが、話を聞けていないため、お客様をグリップできないということがありました。
そのため、営業のときにトークを話すだけではなく、聞く力を高めていけば、つかめるのではないかと考え、営業に必要な聞く力を分解し、それを要素に分けて、実際に音声を採点できるようにしていきました。
深耕力、テスクロ力とありあますが、お客様が一番気になっていること、家づくりを止めてしまっている要因、例えば、家族の反対や資金面の問題やいろいろあると思うのですが、一番の重たい不安を共有するのに必要な力というのを分解して、それぞれ点数を出すようにしていきました。
詳細な項目をご説明していきますが、深耕力です。
これは、お客様の不安を深堀りし、ヒアリングしていく力と定義しています。例えば、お客様が「これどうなんだろうな」と反応をしたときに、若手の方だとスルーしてしまうときが多いのですが、「どうかしましたか」というなど、もう1個深く掘って「何か気になりますか」というヒアリングする力です。次に、テスクロ力です。「でしたら、進めていくのも良いのでは」「仮にこれが大丈夫ならいけますよ」など、お客様の背中を押す力です。
そのように六つの項目で成り立つヒアリングの力というのを分解していき、点数が低いところが、ご自身の課題になるので課題を克服する指摘がしやすくなります。
点数を出すことによって・・・