外来栄養食事指導料をわかりやすく解説

外来栄養食事指導料とは
外来栄養食事指導料は、医師の指示に基づき、管理栄養士が患者ごとに作成した食事計画案などに基づいて指導した際に算定することができます。
外来栄養食事指導料は1と2の2つに分かれています。外来診療の患者が対象で、入院中の患者には適用されません。
2024年6月診療報酬改定でのポイント
2024年6月の診療報酬改定で、初回指導から情報通信機器(ICT)を用いた指導による算定が可能となりました。
外来栄養食事指導料1と2の違い
外来栄養食事指導料は、外来栄養食事指導をする管理栄養士がクリニックに所属しているかどうかで1と2に分かれます。
● 外来栄養食事指導料1
クリニックに直接雇用されている管理栄養士が指導する場合
● 外来栄養食事指導料2
クリニックで雇用していない外部の管理栄養士が指導する場合
算定点数と指導時間
算定点数一覧
区分 | 方法 | 初回指導 | 2回目以降 |
外来栄養食事指導料1 | 対面 | 260点 | 200点 |
ICT | 235点 | 180点 | |
外来栄養食事指導料2 | 対面 | 250点 | 190点 |
ICT | 225点 | 170点 |
外来栄養食事指導料を算定する場合は以下の時間をかけて指導する必要があります。
● 初回:おおむね30分以上
● 2回目以降:おおむね20分以上
外来栄養食事指導料の適応病名について
対象 | 算定基準 |
糖尿病食が必要な患者 | 医師による病名の診断がされていれば算定可能 ※糖尿病予備軍の方は算定ができません |
高血圧症患者に対する減塩食が必要な患者 | 医師による病名の診断がされていれば算定可能 ※塩分の総量が6g未満のもの |
脂質異常症食が必要な患者 | 空腹時定常状態におけるLDL-コレステロール値が140㎎/dL以上である者 又はHDL-コレステロール値が40 ㎎/dL未満である者 若しくは中性脂肪値が150㎎/dL以上である者 |
高度肥満症患者に対する治療 | 肥満度が40%以上、又はBMIが30以上 |
腎臓病食が必要な患者 | 医師による病名の診断がされていれば算定可能 |
心臓疾患等の者に対する減塩食 | 心不全・心臓弁膜症の病名が診断されていれば算定可能 |
痛風食が必要な患者 | 高尿酸血症(血清尿酸値が7.0㎎/dlを超えるもの) |
低栄養状態にある患者 | 低栄養状態にある患者とは以下のいずれかの場合である ア GLIM基準により低栄養と判定された患者 イ 医師が栄養管理により低栄養状態の改善を要すると判断した患者 |
がん患者 | 医師による病名の診断がされていれば算定可能 ※良性腫瘍やポリープなどは算定不可能 |
摂食機能又は嚥下機能が低下した患者 | 医師が「硬さ・付着性・凝集性」などに配慮した嚥下調整食に相当する食事を要すると判断すれば算定可能 |
嚥下困難者のための流動食 | 嚥下機能低下がある旨を記す必要があり、がんの場合はがん病名で算定可能 |
貧血食が必要な患者 | 血中ヘモグロビン濃度が10g/dL以下で鉄不足に由来する場合に算定可能 |
腸管の機能が低下している患者に対する低残渣食 | 医師による病名(クローン病や潰瘍性大腸炎等)の診断があれば算定可能 |
肝臓病食が必要な患者 | 医師による病名の診断がされていれば算定可能 肝庇護食、肝炎食、肝硬変食、閉鎖性黄疸食など |
胃潰瘍食が必要な患者 | 医師による病名の診断がされていれば算定可能 |
十二指腸潰瘍の者に対する潰瘍食が必要な患者 | 医師による病名の診断がされていれば算定可能 十二指腸潰瘍の場合も胃潰瘍食として取り扱って差し支えない |
てんかん食が必要な患者 | 外傷性のものも含む難治性てんかん・グルコーストランスポーター1欠損症又はミトコンドリア脳筋症の患者に対して算定可能 グルコースに代わりケトン体を熱量源として供給することを目的に炭水化物量の制限と脂質量の増加が厳格に行われたものに限る |
侵襲の大きな消化管手術後の患者に対する潰瘍食 | 消化管系のがん病名があればがん病名でも算定可能 侵襲の大きな消化管手術の術後において胃潰瘍食に準ずる食事を提供する場合は特別食の加算が認められる |
外来栄養食事指導料を算定するメリット
生活習慣病や肥満症等の患者が多いクリニックでは、医師が栄養や食事に関する説明を一人で担うと、大きな時間的負担が生じることがあります。
実際、糖尿病や脂質異常症、高血圧症などでは、患者の生活習慣に踏み込んだアドバイスが必須ですが、そのカウンセリングだけで10分以上かかる場面も少なくありません。
もし管理栄養士が在籍(あるいは外部連携)していれば、医師は診察や治療方針の説明に集中し、詳細な食事指導や指導計画の作成は管理栄養士に任せることが可能となります。
結果的に医師の負担を軽減するとともに、患者の満足度向上にもつながります。
外来栄養食事指導料算定時の注意点と運用のコツ
外来栄養食事指導料を算定するには、管理栄養士による指導が行われた事実を診療録(カルテ)等で記録し、時間要件と対象患者要件を満たすことが必須です。
また、外部連携で管理栄養士を呼ぶ場合は契約形態や報酬分配などを含めて明確化する必要があります。
導入コストを抑えるために非常勤の管理栄養士を活用する方法や、オンラインで複数の医療機関をサポートする管理栄養士と契約する方法も考えられます。
クリニックの規模や患者数、診療科目に応じて柔軟に検討していきましょう。
まとめ
外来栄養食事指導料についてまとめると
・対象となる患者に管理栄養士が20分~30分以上指導することで算定が可能
・栄養指導を行う管理栄養士が当該保険医療機関に所属していれば外来栄養食事指導料1、所属していなければ外来栄養食事指導料2として算定する
・指導開始の初月のみ月2回まで算定可能、その後は月1回算定が可能
・外来化学療法を実施している悪性腫瘍の患者に対しては月2回算定が可能だが、その場合は施設基準を満たした上で届け出が必要
外来栄養食事指導料を実際に算定していくにあたり、以下のようなことが重要となります。
①管理栄養士(外部または内部)の確保
②栄養指導の件数増加に向けての院内および院外マーケティング
外来栄養食事指導料の算定や、ご自身のクリニックでの栄養指導開始にあたってご不明な点がある場合は、コンサルタントとの無料経営相談をお気軽にご利用ください。
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