SSBJ基準での開示に向けて、市場も慌ただしく動き出していることを感じています。
2026年3月期は開示基準導入となり、任意適用開始でもあります。
開示の義務化だけを見れば、以下の分類となります。
① 時価総額3兆円以上:2027年3月期
② 時価総額1兆円以上:2028年3月期
③ 時価総額5000億円以上:2029年3月期
④ プライム全企業:203X年
⑤ スタンダード・グロース・非上場有報提出企業:任意適用促進
上場企業が時期だけを見れば自社の時価総額から判断をして、その逆算から取組みを進めていくこととなっていくことも多いと思われます。しかし、現段階は2027年3月期の対象となる時価総額3兆円超えの大企業のみが動いているとはなりません。2026年4月~2027年3月の実績を開示するということは、現段階で既に改善の成果が見えていなければならないということになっていきます。
開示するということは当然開示が目的とならず、ステークホルダーとの対話となるものです。企業の価値を対話する為に手段としての開示があり、価値向上ストーリーに基づくものでなければなりません。
冒頭の慌ただしくなっている表現は、3兆円超え企業が開示対応に慌てているのではなく、そのサプライチェーン全体、また時価総額に関わらず取組みを進める企業に波及しているというものです。つまり中堅・中小企業には関係が無いということは、全くございません。
【既にSSBJ基準の開示準備は進んでいる】
2026年3月時点において、多くの日本企業がSSBJの「草案」段階から準備を進め、直近の有価証券報告書やサステナビリティレポートでSSBJ基準を強く意識した(あるいは準拠を明記した)開示を始めています。SSBJ基準は国際基準であるIFRS(ISSB)基準と整合性が高いため、既にIFRS対応を進めている企業が開示をリードしています。
【SSBJ基準のポイント】
1. 有価証券報告書との「同時開示」に向けた決算早期化
2. 財務情報との「結合(Connectivity)」
3. Scope 3(サプライチェーン排出量)の精緻化
4. ガバナンスプロセスの「実効性」開示
5. 自社固有の「重要性(マテリアリティ)」の絞り込み
【SSBJ基準開示における主要な構成要素(S2:気候関連開示)】
TCFD賛同をしてきた方には、当然のような内容になっております。
しかしSSB基準は、従来のTCFD提言をベースにしつつも、投資家がより正確に企業価値を比較できるよう「情報の厳密さ」が一段引き上げられています。SSBJ S2(気候関連開示)では、単に「取り組んでいます」ではなく、「財務的な影響額」や「具体的なレジリエンス(適応力)」への言及が求められています。
また詳細を詰めていくなかで以下のような課題に当たっていきます。
「TCFDをやっていればSSBJも大丈夫」と思われがちとなりますが、実際にはいくつか「強制力」と「具体性」が増したポイントが以下となります。
これらの通り、SCOPE3の開示に向けて一次データ取得が多く影響を受けることとなる為に、サプライチェーンへの影響が拡がり出しているとも言えます。
【中堅・中小企業への影響】
この数年、顧客からESG関連の質問状やアンケートが届いているとの話は多く聞こえてきます。全ての購買品というよりも、影響度が高い上位比率から情報収集を進めていることも多く、それが二次請け、三次請けへと拡がってもいます。
これらはESGでもEの要素だけでなく、Sの社会分野や人権、またGのガバナンス分野での情報セキュリティやBCP等それぞれに単独の質問のケースもあります。その情報を集めることは、最終顧客が求めているからでもあります。
特に、欧州電池規制、企業サステナビリティ報告指令(CSRD)、炭素国境メカニズム(CBAM)等の欧州規制は影響も大きく、担保としてのエビデンスが必要にもなっています。先のESG調査だけでなく、ECOVADIS等のESG評価機関を活用している企業も増えております。
EのSCOPE3となれば、サプライチェーン全体となる為に、各社において一次データ取得が進んでいますが、それは現状把握でしかありません。大切なことは、精微なデータ取得が重要なわけではなく、削減またはゼロに出来るかが重要となっていきます。それを顧客が求めているからです。
【顧客が求めることを供給できることが価値提供】
ビジネスにおいては顧客が求めていることついて、常に想定以上を追求していく必要があります。顧客が困っている、求めていることを供給できるからこそ、価値が生まれ、収益も生まれていきます。
SSBJ基準の対応は、上場企業だけが考えることではなく、それに関わる全ての方々へリスクと機会にもなっていきます。
時流を知り、それを上手く自社で活用してこそ時流適応でもあります。決して別世界と捉えず、ビジネスとして活かす機会に捉えて頂ければと思います。
| 執筆者: サステナビリティコンサルティングチーム/ 金融機関アライアンス室 ディレクター 貴船 隆宣 きふね たかのぶ |
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