本日は「日本のビジネス構造における、ある根深いパラドックス」 について、共有させていただきたいと思います。テーマは、「対・中小企業(SMB)ビジネスの難しさ」についてです。
日本企業の99.7%を占める中小企業市場。
この巨大なマーケットに対し、多くの大手企業様やベンダー様が 「大企業向けで培った高品質なサービス」を展開しようと試みています。
しかし私たちが日々コンサルティングの現場で目にするのは、「良い商品を持っている企業ほど、中小企業市場で苦戦する」 という不思議な現象です。
・大企業では絶賛される「多機能・高機能」が、中小企業では「使いこなせない」と敬遠される。
・論理的に完璧な「ROI(投資対効果)の説明」が、経営者には「ピンとこない」と一蹴される。
・リード(見込み客)は取れても、そこからの商談が驚くほど進まない。
なぜ、このような「ボタンの掛け違い」が起きるのでしょうか?
本日は、多くの企業が見落としている 「大企業と中小企業の、決定的な『言語』の違い」について、 少し深掘りしてお話しいたします。
■ 「稟議書」で動く大企業、「直感」で動く中小企業
最大の要因は決裁プロセスの違いにあります。
大企業向けの営業は、いわば「稟議書を通す作業」の支援です。 担当者を納得させ、課長、部長、役員……と階段を登るために、 「機能の網羅性」「他社との比較優位性」「セキュリティの堅牢さ」「大手導入実績」といった 『失敗しないための論理武装』が必要になります。
一方で、中小企業の決裁者は、多くの場合「オーナー社長」一人です。
彼らはサラリーマン経営者とは異なり、 「自分の財布」からお金を出しています。
彼らの判断基準は、スペック表の○×の数ではありません。
極めてシンプルで、動物的とも言える以下の3点に集約されます。
1.「で、結局どうなるの?(Before/After)」
2.「いくらかかるの?(総額)」
3.「いつ、元が取れるの?(回収期間)」
ここに多くのベンダー様が陥る「罠」があります。
作り手(ベンダー側)は、真面目であればあるほど、 商品の「機能(What)」や「仕組み(How)」を正確に説明しようとします。
「当社のAIアルゴリズムは……」「API連携の拡張性は……」しかし、日々資金繰りと現場対応に追われる中小企業経営者の脳内では、 それは「難解な雑音」として処理されてしまいます。
彼らが知りたいのは、 「そのAIを入れたら、俺の仕事は減るのか? 売上は明日にでも上がるのか?」 という一点のみです。
つまり商品そのものが悪いのではなく、 「翻訳(トランスレーション)」が機能していないのです。
大企業向けの「ハイスペック言語」を、 中小企業向けの「経営課題解決言語」に翻訳しないまま持ち込むことは、 例えるなら日本料理店でフランス語のメニューを出しているようなものです。 これではどんなに美味しい料理(良い商品)でも注文されません。
■ 「カスタマイズ」という名の落とし穴
この壁にぶつかった時、多くの企業がとる次なる一手は、「個別の要望に応える(カスタマイズ)」か、 「機能を削って安くする(廉価版)」のどちらかです。
しかしこれもまた、利益率を圧迫する「泥沼」への入り口となりがちです。
一社一社の要望に合わせてカスタマイズすれば、当然、開発工数も営業工数も膨れ上がります。 客単価の低い中小企業相手にこれを行えば、 売れば売るほど現場が疲弊する「貧乏暇なしモデル」が完成してしまいます。
では 「カスタマイズせず」に、 「価格競争にも巻き込まれず」、 「向こうから『これください』と言われる」 状態を作るには、どうすればよいのでしょうか?
その答えは、 「成功パターンのパッケージ化(型化)」にあります。
■ 中小企業経営者が、喉から手が出るほど欲しいもの
私たち船井総研は年間数千人の中小企業経営者と直接対話しています。
その中で確信していることがあります。彼らは「自由度の高いツール」が欲しいのではありません。 「同業他社が成功した、そのまま真似できる『正解』」が欲しいのです。
「御社の課題に合わせて柔軟に構築できます」という提案は、 彼らにとって「導入後に自分たちで考えなければならない」という負担に聞こえます。
逆に、「御社と同じ〇〇業界の、社員〇〇名規模の会社様は、 この『Aプラン』を導入して、3ヶ月で〇〇の成果を出しました。 御社もまずはこの通りにやってみませんか?」
という「処方箋型の提案」こそが、 彼らの意思決定コストを極限まで下げ即決を生み出します。
この転換ができるかどうかが、 SMB市場で「スケーラビリティ(拡張性)」を持てるかどうかの分水嶺です。
・自社の高機能商品を、どうやって「処方箋」にパッケージし直すか?
・その「処方箋」を、どの層(ターゲット)に届ければ響くのか?
・営業マンの属人芸に頼らず、組織として売り続ける仕組みはどう作るか?
この「SMB市場専用の翻訳と仕組み化」こそが、 今の貴社に求められているミッシングピースではないでしょうか。
■ 貴社の「良い商品」を、正しく市場に届けるために
ここまでお読みいただき、 「まさに、ウチの課題はそこだ」 「営業現場での『噛み合わなさ』の原因が腑に落ちた」 と感じられた方も多いのではないでしょうか。
もし貴社が優れた商品・サービスをお持ちであるにも関わらず、 中小企業市場でのシェア拡大に伸び悩んでいるとしたら、 それは商品の問題ではなく「市場への適合(アジャスト)の仕方」だけの問題かもしれません。
私たち船井総合研究所は6,000社以上のコンサルティング実績と、 7,000名を超える中小企業経営者ネットワークから得られた「生きたデータ」を持っています。
・どのような言葉が中小企業経営者の心を動かすのか
・どのようなパッケージであれば即決されるのか
・どのようなチャネルを使えば決済者に直接リーチできるのか
これらの知見を体系化し、 貴社の商品を「SMB市場で爆発的に売れるモデル」へと再構築する。 それが私たちが提供する「中小企業(SMB)市場開拓コンサルティング」です。
以下のページでは、本コラムでは書ききれなかった 「具体的な成功事例」や「市場攻略のステップ」を公開しています。
「大企業向けの売り方」から脱却し、 99.7%の巨大市場を「収益の柱」に変えるためのヒントとして、 ぜひ一度、目を通してみてください。
市場環境が大きく変化する今、 「良いものを作れば売れる」時代は終わり、 「顧客の文脈に合わせて届けられる者が勝つ」時代へと突入しています。
この「翻訳」のズレを修正するだけで、 停滞していた商談が嘘のように動き出すケースを、私たちは何度も見てきました。
貴社の素晴らしい商品が、 それを必要としている多くの中小企業に正しく届くことを、 心より願っております。
