「100億企業化」を専門とし、「日本の未来を担う企業の成長を加速させる」ことをミッションに据えている部門、アカウントパートナー室のマネージング・ディレクターの鈴木圭介です。今回は、非上場・上場に関わらず、経営者が持つべき100億企業化に向けた「攻めのホールディングス化(HD化)戦略」についてお話を致します。 100億企業化を実現する上では、既存事業の成長に加えて、M&A・新規事業といった複数事業を持つことが重要だと本コラムではお話をさせて頂きました。M&A・新規事業を行う際に会社を分けたままにするのか、それとも一つの会社に統合するのか、各社を束ねるHDカンパニーをするべきか、この観点における判断は非常に重要であり、難しい判断となります。税理士目線で考えれば節税効果といった税制面でのご提案のケースが多いと思いますが、事業伸長においてもHD化は重要だと考えられます。事項では、事業を伸ばすために必要な「攻めのホールディングス化」について解説をさせて頂きます。
そもそもホールディング化の意義とは、「事業執行(子会社)と経営(親会社)の分離を通じて、子会社は、独立した事業主体として事業執行に注力でき、親会社(持株会社)は、グループ全体の企業価値最大化に専念できる」と定義しています。
【ホールディング化のメリット】 ① 経営資源を効率的に配分できる ② 円滑に事業再編ができる ③ 人財登用のポジションを確保でき、キャリアパスを通じた経営幹部育成ができる ④ ビジネスモデルに応じた制度・仕組みの設計・運用ができる
①経営資源を効率的に配分できる (人・事業)本業や中核事業に影響されることなく、人財の配置や新規事業開発を行える (金)事業単位で法人化されることにより、収支や資産・資本他の財務情報が明確になる ⇒余剰資金を必要な事業部門へ移すことが可能
②円滑に事業再編ができる (買収)被買収企業を既存子会社と並列に置くことで、抵抗感や軋轢を軽減し、M&Aを円滑に進めることが可能 (譲渡)法人化で事業毎の収支、資産・資本が明確化されているので、迅速な事業譲渡の検討ができる
③人財登用のポジションを確保でき、キャリアパスを通じた経営幹部育成ができる ●事業会社社長というトップポジションを活用し、経営人財の育成・成長機会を創出できる ●本部企画・管理部門と事業子会社経営ポジションのキャリアパスを通じた、グループ経営人財の輩出が可能
④ビジネスモデルに応じた制度・仕組みの設計・運用ができる ●事業特性や市場環境に合わせた各種制度や仕組みを導入、運用することができる ●事業単位の採用・育成の仕組みを設計・運用することでスペシャリスト(専門人材)の確保が可能 ●ブランドの独立性を維持し、顧客基盤確保が可能
【ホールディング化のデメリット】 ① 総務、経理、労務他間接部門を複数抱えることでコスト増加 ② 事業会社の自立性が高まり、ガバナンスを効かせずらくなる ③ 自立性が高まることから、事業間の連携が進みずらい ④ 事業特性に合わせた制度・仕組みが導入できるが、事業間の柔軟な人事異動が難しい
上記の通り、メリット・デメリットがございますが、昨今においては、優秀な人財にキャリアパスを示せることで流出を防止できることが大きなメリットだと思います。それではホールディングス化に向けて取り組むべきことについて解説をさせて頂きます。
目的を明確にする 事例① 経営、事業の責任所在を明確にし、全社、事業成長を加速させる ⇒HD化により、グループ経営の責任者と主力事業の執行責任者を区分し明確化
事例② 事業部門の機能強化による改革遂行と新規事業開発を本格化させる ⇒HD化により、新規事業開発(M&Aを含む)を推進しやすい体制を構築しつつ、販売機能を集約化することで販売機能の強化と、本業の製造事業、新規事業の3本の柱を構築していく意図を明確化
その他の事例としては ●多角化戦略により、経営人財の育成が急務であり、経営ポジションを創出する ●低迷事業の戦略的な撤退を検討し、事業単位で法人化し、円滑な撤退を推進する ●既存ビジネスとは違うブランドを立ち上げ、独自の市場開拓をしやすくする といったHD化戦略が相性の良いケースもある一方で、ビジネスモデルや事業運営を同一化する(例:上流~下流工程のワンストップ型ソリューション)ケースではHD化で事業を分社するよりは、同一法人に事業集約したほうが成長を加速できるケースもあります。
また、制約条件が何かを把握することも重要となります。 ① HD移行に、どの程度の負担があるのか(費用、工数他) ② どのようなリスクがあるのか(事業継続、税務・会計、法務・労務他) ③ 体制移行後の事業運営上の影響は何か(取引先、仕入先、株主、地域社会、従業員)
上記の通り、将来ビジョンや既存事業ポートフォリオによって必ずしもHD化の必要性はケースによりますが、前回コラムにてお話をさせて頂いたガバナンス戦略とも密接な関係があり、単独事業では無かった経営のステージだと言えます。ホールディングス会社を設立した際には、ホールディングス化のメリットを最大化するべく、機能強化を図る必要があり、機能強化のポイントとして以下の点が挙げられます。 ① 業務の明確化:グループ全体と個々の事業の業務を区分けする ② 業務の分散:特定の人物に業務が集中しない、段取りが必要 ③ 早期の人財登用・育成:機能発揮できる人材を早期に育成
100億業化に向けてホールディングス化戦略は武器になりえるため、是非、今後の戦略の選択肢の一つにお入れください。今回は、100億企業に向けての「攻めのホールディングス化(HD化)戦略」とは?100億企業化を目指している経営者が持つべき視点とは?についてお話をさせて頂きました。長期ビジョンを構築する際にホールディングス化戦略も組み込んでいきましょう。100億企業化に向けて、事業をより伸ばす上でもホールディングス化戦略についても、お気軽にご相談ください。最適なタイミングと機能のご提案をさせて頂きます。
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