近年、中小企業のホールディングス化(HD化)が注目されています。
その背景に、自社株対策などの事業承継の目的が挙げられます。
このようなホールディングス化を、“守りのホールディングス化”と呼んでいます。
しかし、今後は多様化する中小企業の経営課題の解決を目的とする、ホールディングス化(HD化)が必要です。
つまり、“攻めのホールディングス化”が必要です。
本日は、“攻めのホールディングス化”とは、何かをお伝えします。
ホールディングス化(HD化)とは
ホールディングス化(HD化)とは、会社組織の体制・形態を指します。
グループの事業会社の株式を保有するホールディングス(持株会社)を設置します。
ホールディングス(持株会社)が親会社、事業会社が子会社となります。
ホールディングス化(HD化)の目指すべき姿
企業がホールディングス化(HD化)で目指すべきは、以下の3点です。
①所有と経営の分離を行い、企業の永続や継続的な成長
②ホールディングスとそれぞれで専念することを決め、経営効率の向上
(ホールディングス:グループ全体の経営戦略、子会社:各事業の運営)
➂代表ポストの増加による、従業員のモチベーションアップや、自社株対策
しかし、ほとんどの中小・中堅企業のホールディングス化(HD化)は、課題も多いです。
本来目指すべき目的、経営を良くすることに貢献していません。
何のためにホールディングス化(HD化)をするのか、改めて考える必要があります。
ホールディングス化(HD化)の目的意識を変える
従来のホールディングス化(HD化)は、事業承継を見据えた対策が多く見られました。
高騰する自社株式の評価額抑制や、後継者に自社株式を効率よく渡すことが目的でした。
しかし、これらの目的の場合、ホールディングスが機能していません。
たしかに、事業を運営していく上で、株価上昇は抑制されています。
しかし、単に企業数が増え、管理が複雑化など、デメリットも増えています。
むしろ、メリットよりもデメリットが大きいことも、多くございます。
そこで、ホールディングスを生かした経営にすべく、目的から変わります。
今までは、事業承継を目的とした株式関連の対策が多かったです。
しかし、企業成長における経営課題の解決に変えます。
つまり、“攻めのホールディングス化”に目的を変える必要があります。
“攻めのホールディングス化”
成長企業の経営課題
現在成長されている企業では、このような5つの経営課題が挙げられます。
①中長期的なビジョンや経営戦略が立てられていない
②1法人に複数事業が混在し、事業別で財務管理が不透明or徹底できていない
➂幹部社員の経営者意識が欠如している
④M&Aでは、資本関係が複雑になる
⑤事業会社ごとに本部機能が存在する
などです。
これらは全て、“攻めのホールディングス化”で解決できます。
“攻めのホールディングス化”による課題解決
課題①中長期的なビジョンや経営戦略を立てられていない
ホールディングス化(HD化)で、ホールディングスがグループを管理します。
そのため、ホールディングスによる、グループ経営戦略×事業戦略を構築できます。
課題②1法人に複数事業が混在し、事業別で財務管理が不透明or徹底できていない
会社ごとだった固定資産を、グループでまとめて管理をします。
すると、事業会社ごとに財務管理がしやすく、経営をしやすくなります。
事業会社ごとに上手くいくことで、グループ全体でも良い効果が現れます。
グループ全体の損益計算書、貸借対照表、キャッシュフロー計算書を見やすくなります。
課題➂幹部社員の経営者意識が欠如している
ホールディングス化(HD化)で、代表等の役職が増えます。
子会社の経営を有望な人材に任せ、経営者マインドの醸成を図れます。
課題④M&Aでは、資本関係が複雑になる
ホールディングス化(HD化)で、事業会社ごとの関係が変わります。
事業会社ごとの関係は、親子関係でなく、兄弟関係になります。
傘下の事業会社(子会社)時、手放したい企業を円滑に手放すことができます。
また、他社を買収する場合、買収した会社は、グループ傘下に入ります。
買収される側は、会社の消滅を心配することが無くなります。
結果、買収を受け入れやすくなります。
課題⑤事業会社ごとに本部機能が存在する
ホールディングス化(HD化)で、シェアードサービスが図れます。
シェアードサービスとは、「サービス(業務)を共有する」という、経営学用語です。
ホールディングス化(HD化)で各事業会社の間接部門の業務を集約させます。
集約化することで、業務標準化や、コスト削減、品質向上が見込めます。
各事業の基幹業務を、ホールディングスに集中させ、効率化・品質向上を狙えます。
以上は、一部の例です。
現在は、企業継続を一番に考えた、“守りのホールディングス化”が多いです。
“攻めのホールディングス化”で、自社に合うホールディングス化(HD化)をしましょう。
企業成長における経営課題の解決には、“攻めのホールディングス化”が必要です。
他にも、最新の業績アップ事例を踏まえて、事業に役立つ情報を発信していく予定です。
楽しみにしていてください。